東京商工リサーチの調査で、主力事業を他社へ事業譲渡した後に倒産する「事業譲渡後の倒産」が2025年度に213件発生したことがわかりました。2024年度の227件と合わせた2年間の平均は220件で、前回調査の平均189件を上回る増勢が続いています。
調査結果の概要
東京商工リサーチが「事業譲渡後の倒産」動向を調査しました。今回の調査は2024年7月実施の前回調査(2019〜2023年度が対象)に次ぐ2回目です。倒産集計時点で主要事業を他社へ譲渡していたことが判明した事例を対象とし、再生計画に基づく再建型倒産のスポンサー譲渡は含みません。
案件の条件一覧を見る調査名・件数・前回調査との比較・産業別 ほか(8項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 「事業譲渡後の倒産」動向調査(東京商工リサーチ、2回目) |
| 件数 | 2025年度213件・2024年度227件(2年平均220件) |
| 前回調査との比較 | 前回調査(2019〜2023年度)平均189件を上回り増勢 |
| 産業別 | サービス業他151件(34.3%)・製造業110件(25.0%)・小売業52件(11.8%)・卸売業45件(10.2%)で上位4産業が81.3% |
| 業種別 | 旅館,ホテルが31件(7.0%)で最多。次いで一般貨物自動車運送業13件(2.9%)・受託開発ソフトウェア業9件(2.0%)・土木工事業7件(1.5%) |
| 形態別 | 特別清算240件(54.5%)・破産189件(42.9%) |
| 負債額別 | 1億円以上5億円未満が163件(37.0%)で最多。負債1億円以上は298件(67.7%)。最大は旧ビッグモーターの(株)BALM(2024年12月民事再生、負債831億円)で、伊藤忠グループなど新スポンサーが設立した(株)WECARSに全事業を譲渡 |
| 業歴別 | 10〜50年未満256件(58.1%)・50〜100年未満131件(29.7%)・100年以上3社。業歴50年以上が約3割を占める。10年未満は50件(11.3%) |
背景
東京商工リサーチは破産の構成比が43.0%(前回39.0%)に上昇したと分析しています。経営不振企業が破綻時に資産性の高い事業を売却してから破産するケースが増えているとみています。業歴50年以上の老舗企業は他社にない経営資源を抱えており、譲渡先で従業員の雇用が継続される可能性も残ります。
一方でこうした経営資源を持ちながら倒産に追い込まれる背景には、経営者の事業承継問題が大きく影響していると東京商工リサーチは分析しています。同社は代表者の高齢化が加速するなかで「事業承継へのアシストが急務になっている」としています。法的整理に限らない多様な再建手法が広がっており、今後も増加が続くとの見方です。
解説
本調査では業歴50年以上の老舗企業が全体の約3割を占めました。譲渡先で従業員の雇用が継続される可能性がある一方、借入金などの債務は旧会社に残り清算の対象になります。事業だけを切り離して存続させる構図です。
資産性の高い事業を持つ中小企業でも、事業承継の対策が遅れれば倒産局面での事業譲渡に追い込まれる可能性があります。資金繰りに余力があるうちに会社売却の準備を進め、第三者への承継や売却を検討することで選択肢を広げられます。
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※本記事は2026年9月22日時点の公表情報に基づいています。

