株式会社エス・エム・エス(SMS、東証プライム2175。医療・介護従事者の人材紹介や介護事業者の経営支援を手がける)は2026年10月21日の取締役会で、自社のストレスチェック代行サービス事業を簡易新設分割で新設する完全子会社「株式会社ストレスチェック」に承継させ、その全株式をウェルネス・コミュニケーションズ株式会社(WCC、東証グロース366A)へ譲渡すると発表しました。
発表の概要
譲渡の対象事業は労働安全衛生法に基づくストレスチェックの実施代行やオンライン受検システムの提供等を担い、医療機関・介護事業所向けに顧客基盤を持ちます。2026年3月期の売上高は1億7,900万円でした。
案件の条件一覧を見る譲渡元(売り手)・譲受側(買い手)・対象事業・スキーム ほか(7項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元(売り手) | 株式会社エス・エム・エス(東京都港区、代表取締役社長 髙畑正樹、2003年4月設立。高齢社会に適した情報インフラの構築を目的とする事業) |
| 譲受側(買い手) | ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社(東京都港区、代表取締役社長 松田泰秀、2006年7月設立。クラウド事業・ソリューション事業) |
| 対象事業 | ストレスチェック代行サービス事業(実施代行、オンライン受検システムの提供、結果集計・分析、面接指導の調整等) |
| スキーム | SMSが簡易新設分割(会社法805条、株主総会の承認不要)で新会社「株式会社ストレスチェック」(資本金100万円)に対象事業を承継させ、WCCがその全株式(100株)を株式譲渡で取得する予定。WCCは取得後に新会社を簡易吸収合併(会社法796条2項)する予定 |
| 譲渡価額 | 非開示(当事者間の守秘義務)。WCCは第三者算定機関の評価結果を参考に協議・交渉を経て決定したと説明 |
| 対象事業の規模 | 2026年3月期売上高1億7,900万円(外部顧客向け。SMS連結売上高647億3,500万円の0.3%)/2026年3月31日現在の資産3,000万円・負債300万円(承継額は効力発生日までの増減を加除して確定) |
| 日程 | 取締役会決議・株式譲渡契約締結 2026年10月21日/分割期日・株式取得実行 2026年12月1日(予定)/吸収合併契約締結 2026年12月1日(予定)/吸収合併効力発生 2027年1月1日(予定) |
背景
買い手のWCC(企業・健康保険組合向けに健康管理クラウド「Growbase」を提供)は自らもメンタルヘルスサービス「Growbase Mentally」内でストレスチェックを提供しており、本件は同じサービスを営む事業の取得です。
WCCは本件により医療機関・介護事業者を中心とする対象事業の顧客基盤や営業・運営ノウハウ、専門人材を取り込み、「Growbase Mentally」の販売拡大と医療機関向けのサービス展開の強化を図るとしています。
サービス強化の背景として、WCCはストレスチェック制度の対象範囲拡大による市場成長を織り込んでいます。2025年5月14日公布の改正労働安全衛生法により労働者50人未満の事業場へもストレスチェックを義務化することとなり、2028年4月1日に施行予定です。
またWCCは2026年5月14日公表の決算説明資料の中で2027年3月期を「M&A等、非連続成長投資の加速」の年とし、事業ポートフォリオの拡充の方針を掲げており、本件はこの方針の一環と位置づけられます。
なお本件はSMSが対象事業を会社分割で切り出し外部へ譲渡するカーブアウトです。SMSは2026年4月28日に開示した2026年3月期決算説明資料の「企業価値最大化に向けたロードマップ」で示したとおり、注力領域への経営資源の集中に向けて事業ポートフォリオを見直してきました。
そのなかでSMSはグループの注力領域との関連性や今後の成長投資の優先順位を踏まえ、対象事業の一層の成長とサービス品質の維持・向上のためにはWCCの下で運営することが最適と判断し譲渡を決定したとのことです。
今後の予定
本会社分割の効力発生日と株式譲渡実行日はいずれも2026年12月1日(予定)です。WCCは株式取得の実行を前提に2027年1月1日(予定)で新会社を簡易吸収合併し、経営資源の集約や業務運営の効率化を図るとしています。
株式譲渡の実行に伴い新会社はSMSの連結の範囲から除外される予定です。両社は2027年3月期の連結業績への影響を軽微と説明しています。
解説
SMSが切り出すのは連結売上高647億3,500万円のうち1億7,900万円、構成比0.3%の一部門です。SMSは開示で、新会社が対象事業の資産・負債や契約上の地位に加え従業員との雇用契約も承継すると説明しています。
本件のように会社分割を使えば顧客と運営を担う人材がそろったまま事業単位で引き渡せるため、会社全体を売らなくても買い手の評価対象になり得ます。
小さな一部門だけでは買い手がつかないと諦める前に、まず専門家に相談してみるのも一手です。M&A Timesの無料相談では状況に応じて仲介会社や専門家をご紹介しています。
※本記事は2026年10月21日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典
- 株式会社エス・エム・エス(証券コード2175)「会社分割(簡易新設分割)による子会社の設立及び当該子会社の株式譲渡(子会社の異動)に関するお知らせ」(2026年10月21日・PDF)
- ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社(証券コード366A)「株式会社エス・エム・エスのストレスチェック事業を承継する新設会社の買収(株式取得)及び吸収合併に関するお知らせ」(2026年10月21日・PDF)
- ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社(証券コード366A)「2026年3月期 決算説明資料」(2026年5月14日・PDF)
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- 株式会社エス・エム・エス「事業内容」

