日本化薬株式会社(証券コード4272、東証プライム市場)は2026年9月7日開催のサステナブル経営会議で、子会社の三光化学工業株式会社(神奈川県高座郡寒川町、代表者 椚瀬彰氏)に対し会社法第179条に定める特別支配株主による株主売渡請求の通知を行い、完全子会社化に向けた手続きを開始することを決議しました。
発表の概要
三光化学工業は臭化メチル事業と不動産賃貸事業を手掛ける日本化薬の子会社で、資本金は21百万円です。日本化薬は対象会社との連携強化を進めてきたとしたうえで、グループ経営の更なる効率化及び経営資源の有効活用を図るため完全子会社化することが企業価値向上に資すると判断したと説明しています。議
決権所有割合は2026年3月期の45.0%から2026年9月7日時点で89.7%まで上昇しており、今回の手続きで残る少数株主から全株式を取得し100%子会社化します。
案件の条件一覧を見る対象会社・特別支配株主(当社)・スキーム・議決権所有割合の推移 ほか(7項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象会社 | 三光化学工業株式会社(神奈川県高座郡寒川町、代表者 椚瀬彰氏、臭化メチル事業・不動産賃貸事業、資本金21百万円) |
| 特別支配株主(当社) | 日本化薬株式会社(東証プライム市場・証券コード4272) |
| スキーム | 会社法第179条に定める特別支配株主の株式等売渡請求 |
| 議決権所有割合の推移 | 2026年3月期45.0%→2026年9月7日89.7%→2026年10月13日100.0%(予定) |
| 株主売渡請求の通知日 | 2026年9月8日 |
| 取得日(売渡株式譲渡日、予定) | 2026年10月13日 |
| 業績影響 | 負ののれん発生益を計上見込み(金額は精査中、軽微の見込み) |
背景
資本関係の経緯を有価証券報告書で確認すると、三光化学工業は2021年3月期から2025年3月期までの5期にわたり議決権32.9%を保有する持分法適用関連会社でしたが、2026年6月19日提出の2026年3月期有価証券報告書では保有割合が45.0%に上昇しており、その後2026年9月7日までに89.7%へさらに引き上げられました。
手続きの位置づけを補足すると、特別支配株主の株式等売渡請求は総株主の議決権の10分の9以上を保有する株主が他の株主全員に株式の売渡しを請求できる制度です。合併や株式併合など株主総会決議を要する完全子会社化の手法と異なり、対象会社の取締役会承認のみで手続きが進む点が特徴です。
今回の開示は2026年9月7日時点の議決権所有割合を89.7%と記載していますが、90%の要件に至るまでの過程は説明されていません。また同要件は特別支配株主完全子法人の保有分を合算し総株主の議決権を分母として判定するため、開示記載の割合と必ずしも同一の基準ではありません。
今後の予定
三光化学工業への株主売渡請求の通知は2026年9月8日付で行われ、株式売渡請求に係る取得日(売渡株式譲渡日)は2026年10月13日を予定しています。同日付で三光化学工業は日本化薬の完全子会社となる見込みです。会社法第179条の8により、対価に納得できない売渡株主は取得日の20日前の日から前日までの間、裁判所へ売買価格決定の申立てができます。日本化薬は本件に伴い負ののれん発生益を計上する見込みとし、金額は精査中としつつ影響は軽微になるとしています。
解説
本件は、会社法上のスクイーズアウト手法の中でも取締役会承認のみで進められる株式等売渡請求が進行中の実例です。相続や増資を重ねるうちに株式が分散し少数株主を抱える中小企業にとっても、少数株主整理の選択肢の一つになり得ます。
一方で売渡請求を受ける少数株主には、対価に納得できない場合に裁判所へ売買価格決定を申立てる権利が会社法179条の8で保障されており、締め出される側にも対抗手段がある点は押さえておきたいところです。
非上場株式を保有する経営者や役員は、将来自らが売る側にも、買い取りを迫られる少数株主の側にもなり得ます。非上場株式の売却方法や価格の考え方は非上場株式は売却できる?譲渡の方法・価格・税金で解説していますので併せてご覧ください。
次に読む
※本記事は2026年9月8日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

