日本郵船は2026年7月31日、持分法適用関連会社のNSユナイテッド海運(証券コード:9110)を対象に、1株10,600円でのTOB(株式公開買付け)を開始する予定だと発表しました。自己株TOBと株式併合を組み合わせ、日本郵船と日本製鉄のみが株主となる非上場会社とする計画です。
発表の概要
NSユナイテッド海運は、鉄鉱石・石炭など鉄鋼原料の海上輸送を担うばら積み船大手で、東証プライムに上場しています。日本郵船が18.55%、日本製鉄(国内最大手の高炉メーカー)が33.36%を保有する持分法適用関連会社です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象会社 | NSユナイテッド海運株式会社(証券コード:9110、東証プライム) |
| 公開買付者 | 日本郵船株式会社(証券コード:9101、国内最大級の総合海運会社) |
| スキーム | TOB+自己株TOB+株式併合(スクイーズアウト)による非公開化 |
| 買付価格 | 1株10,600円(前営業日終値7,740円に36.95%のプレミアム) |
| 買付予定数の下限(・上限) | 下限3,524,375株(所有割合14.96%)・上限なし |
| 買付期間(開始予定) | 2026年11月下旬〜12月下旬を目途に開始予定 |
| 対象会社の意見 | 賛同表明及び応募推奨 |
背景
日本郵船は、対象会社との事業上・人的関係を踏まえ、非公開化後も日本製鉄が持分法適用関連会社とできる比率を確保することが企業価値向上に資すると判断したと説明しています。保有比率は日本郵船83.33%、日本製鉄16.67%です。
自己株TOB価格が本体TOBより2,924円(28%)低い7,676円なのは税制上の理由です。法人株主の日本製鉄が自己株TOBに応じると、税法上のみなし配当の益金不算入規定が適用され、本体TOBに応募した場合と税引後手取りが同水準になります。この差により、一般株主向けのTOB価格をより高く設定できます。
今後の予定
今後は日本・豪州・中国・ブラジルの競争法クリアランス取得後、2026年11月下旬〜12月下旬を目途に本TOBを開始予定です。成立後の2027年1月上旬に自己株TOBを実施し、未応募株式は2027年4月中旬までに株式併合によるスクイーズアウトを経て非公開化を完了する計画です。
解説
本件は上場企業同士の大型TOBですが、非上場会社の株主整理を検討する経営者にも参考になります。自己株TOB価格を本体TOBより低く設定し、法人株主の益金不算入制度を活用して税引後手取りをそろえつつ、一般株主に有利な条件を提供する設計は、自社株買いによる株主整理にも通じます。対価の設計は株主構成や税務によって変わるため、早めに専門家へ相談することが重要です。会社売却の進め方完全ガイドも参考にしてください。
次に読む
※本記事は2026年7月31日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

