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シェアリングテクノロジー、TOBで上場廃止へ 1株1,550円

シェアリングテクノロジー、TOBで上場廃止へ 1株1,550円|M&A Times

シェアリングテクノロジー(3989、東証グロース市場、『暮らしのお困りごと』の解決を仲介するマッチングプラットフォーム「生活110番」を運営)は2026年9月9日、MBKパートナーズ系ファンドが出資するMP-2606株式会社による公開買付け(TOB)に賛同し、株主への応募を推奨すると発表しました。TOBが成立すればスクイーズアウト手続きを経て完全子会社化・上場廃止となる見込みです。

発表の概要

シェアリングテクノロジーは2006年11月設立の株式会社リッツを前身とし、2012年に『暮らしのお困りごと』領域の専門サイト運営でWEB事業を開始しました。2015年6月に総合プラットフォームサイト「生活110番」の運用を始め同年9月に現商号へ変更、2017年8月に東証マザーズへ上場し2022年4月のグロース市場移行を経て現在に至ります。連結子会社3社を含むグループで事業を展開しており、今回のTOBは対象者の完全子会社化・非公開化を目的とするものです。

案件の条件一覧を見る対象会社・公開買付者・スキーム・買付価格 ほか(7項目)
項目内容
対象会社シェアリングテクノロジー株式会社(証券コード3989、東証グロース市場)
公開買付者MP-2606株式会社(MBKパートナーズ系ファンドが発行済株式の全てを保有する目的会社、2026年6月11日設立)
スキームTOBによる完全子会社化・非公開化。成立後は株式併合等によるスクイーズアウト手続きを経て上場廃止へ
買付価格普通株式1株につき1,550円(新株予約権は1個1円)
買付期間2026年9月10日〜2026年10月27日(30営業日)
買付予定数の下限16,030,200株(所有割合63.58%)・上限なし
対象会社の意見賛同及び応募推奨(決議に参加した取締役6名全員一致。新株予約権者の応募可否は各自の判断に委ねる)

背景

非公開化を検討した理由についてシェアリングテクノロジーは、2025年12月の代表取締役CEO交代を機に企業価値向上策の検討を始めたためと説明しています。主要な検索プラットフォームのアルゴリズム変更や広告出稿競争の激化に伴う顧客獲得コストの上昇に加え、生成AIの台頭でエンドユーザーの検索行動や情報収集の過程そのものが変化するリスクへの対応が課題となっており、非公開化により上場維持コストを抑えつつ事業変革に取り組む方針です。

本件で特徴的なのは対象者側が主導した入札プロセスです。財務アドバイザーを通じてプライベート・エクイティ・ファンド14社・事業会社5社の計19社にパートナー候補として打診し、14社から秘密保持契約の差し入れを受けたうえで2026年6月上旬に一次入札を開始しました。MBKパートナーズを含む4社が法的拘束力のない意向表明書を提出し、憶測報道後に加わった1社を含む5社が一次入札に参加、うち3社(後に4社)を二次入札に招聘しデューデリジェンスを実施しています。8月14日の最終期限に法的拘束力のある最終提案を提出したのはMBKパートナーズのみで、8月19日に最終候補として独占交渉権を付与されました。

価格交渉では対象者と特別委員会が8月19日・21日の2回にわたり再検討を要請したものの、MBKパートナーズは1,531円の提示を維持しました。転機となったのは筆頭株主であるAVI(Asset Value Investors、所有割合28.08%)との応募契約交渉です。8月28日に交渉を開始したところAVIから価格引き上げの要請があり、9月3日にMBKパートナーズが1,550円へ増額を提示、9月4日にAVIが応諾し9月9日付で応募契約を締結しました。

プレミアムの算定では2026年6月26日のMergermarketによる非公開化の憶測報道を境に基準を使い分けています。憶測報道前の終値995円を基準にすると1,550円は55.78%のプレミアムとなる一方、報道後に株価が急騰したため公表前営業日(9月8日)の終値1,498円を基準にすると3.47%にとどまります。第三者算定機関JOIBによる算定結果は市場株価法(基準日9月8日)1,250円〜1,526円、市場株価法(基準日6月26日)995円〜1,140円、類似会社比較法847円〜978円、DCF法1,279円〜1,521円で、1,550円はDCF法のレンジ上限を超える水準です。取締役会は類似140事例のプレミアム(公表前営業日終値比の平均50.88%・中央値38.24%等)との比較も賛同理由に挙げています。

買い手のMBKパートナーズは2005年3月設立、日本・中国・韓国の東アジア3カ国に特化した独立系プライベート・エクイティ・ファームで、運用金額は約330億米ドル、日本では弥生やUSJ、コメダ、TASAKI、アコーディア・ゴルフ、ツクイホールディングス、HITOWA、アリナミン製薬、ソラストなど17社22件の投資実績があります。本件では投資先HITOWAのライフサポート事業をシェアリングテクノロジーへ会社分割で承継させ、両社のブランド力・顧客基盤を生かした相互送客や商品・サービスの拡充を図る方針です。

今後の予定

公開買付期間は2026年9月10日から2026年10月27日まで(30営業日)で、決済開始日は2026年11月4日を予定しています。応募株式が買付予定数の下限(16,030,200株、所有割合63.58%)に満たない場合、応募株式の全部について買付けを行いません。下限を満たしても対象者株式の全てを取得できなかった場合は、株式併合によるスクイーズアウト手続きを経て完全子会社化し上場廃止となる見込みで、関連議案を審議する臨時株主総会の基準日は決済開始日と同じ2026年11月4日となる予定です。

解説

本件で着目すべきは、特別委員会による2度の再検討要請では1,531円から動かなかった価格が、筆頭株主AVIとの応募契約交渉を通じて1,550円まで引き上がった点です。会社側が19社に打診し最終的に法的拘束力のある提案をMBKパートナーズ1社に絞り込んだ入札プロセスで競争環境を作った上で、応募契約という別の交渉チャネルが最後の価格引き上げにつながりました。

売却・承継を検討する経営者にとっては、買い手候補を広く募る入札プロセスの設計と、主要株主を含む複数の交渉窓口を持つことが対価の水準に直結し得ることを示す事例といえます。また憶測報道で株価が急騰したケースのプレミアムは報道前の株価を基準に評価される点も、株価動向とM&A交渉の関係を考えるうえで参考になります。具体的な準備の進め方は会社売却の進め方ガイドで確認できます。

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※本記事は2026年9月9日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典