M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約5分

,

オレンジページ、ベビーカレンダー傘下に JR東日本が全株譲渡

オレンジページ、ベビーカレンダー傘下に JR東日本が全株譲渡|M&A Times

ベビーカレンダー(7363・グロース市場)は2026年9月15日、東日本旅客鉄道(JR東日本、東証プライム・9020)が保有する株式会社オレンジページの全株式を取得し連結子会社とすることを取締役会で決議したと発表しました。同日付でJR東日本との間に株式譲渡契約を締結しています。

発表の概要

オレンジページは1988年設立、東京都港区の会社です。雑誌『オレンジページ』を中心とした出版事業を軸に、料理教室紹介サイトの運営やオンライン講座、体験型スタジオでの講座開催、生活雑貨のEC販売など「食」と「暮らし」の領域でコンテンツとブランドを培ってきました。

直近3期の売上高は21億5,400万円、23億6,200万円、28億2,800万円と拡大が続き、営業損益は3億7,500万円の赤字から2億7,500万円の赤字、2,100万円の赤字と赤字幅が縮小しています。

項目内容
譲渡元東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本、東証プライム・証券コード9020)
取得対象株式会社オレンジページ(発行済株式9,910株の全株式、議決権所有割合100%)
事業内容出版(雑誌『オレンジページ』等)、Webメディア運営、生活雑貨のEC販売、料理教室・講座運営など「食」と「暮らし」領域の情報発信
スキーム株式譲渡による完全子会社化。株式譲渡実行日までにオレンジページから東日本旅客鉄道へ、事業運営に必要な運転資金を残したうえで約20億円の配当を実施予定
取得価額株式500百万円(5億円)+アドバイザリー費用等(概算)7百万円、合計507百万円(概算)
契約締結日2026年9月15日
株式譲渡実行日2026年11月2日(予定)

背景

取得理由についてベビーカレンダーは、妊娠・出産・育児領域を起点に生活、健康、介護など幅広い領域でメディア事業を展開しており、既存事業のさらなる成長とコンテンツ制作・運営に関するノウハウを活用した事業領域の拡大を図るためと説明しています。

オレンジページは1988年の設立以来、雑誌『オレンジページ』をはじめとする出版事業を中心に「食」と「暮らし」の領域でコンテンツと高いブランド力を培うとともに、EC、イベント・講座等にも事業領域を広げてきました。

両社の統合によるシナジーについてベビーカレンダーは、自社が培ってきたWebメディアの運営、コンテンツ制作、SEO等のデジタルマーケティングに関するノウハウを活用することで、オレンジページ社が有する豊富なコンテンツのWeb領域における展開や収益機会の拡大を図れる上に、オレンジページ社が有する出版・EC等の事業基盤やノウハウを活用することで、自社のコンテンツについてもWebメディアにとどまらず出版・EC等への展開が可能になるとしています。

また買い手の事業戦略から見ると、ベビーカレンダーは2025年12月期第1四半期決算説明資料の「成長戦略(領域拡大)」で、妊娠・出産・育児起点からくらし情報メディアやシニア情報メディアなどライフステージ全域へ事業領域を広げる方針を掲げており、食と暮らしの領域で豊富なコンテンツとブランド力を持つオレンジページ社の取得は、自社が掲げるこの領域拡大方針の一環と位置づけられます。

今後の予定

取得価額は、譲渡前の配当実施を前提にベビーカレンダーが行った財務・税務・法務等のデューデリジェンスの結果とオレンジページ社の財政状態等を総合的に勘案し、両社の協議・交渉を経て決定されました。

株式譲渡実行日は2026年11月2日を予定しており、株式譲渡実行後、オレンジページ社はベビーカレンダーの完全子会社となり、同日にオレンジページ社で臨時株主総会を開催し役員構成を決定する予定です。オレンジページ社の商号および所在地について変更の予定はありません。また本件が2026年12月期の連結業績に与える影響は現在精査中で、開示すべき事項が生じた場合は速やかに知らせるとしています。

解説

本件はJR東日本という大企業グループが、非上場の完全子会社であるオレンジページ社の全株式を専門メディア企業へ譲渡した事例です。オレンジページ社の営業損益は直近3期で3億7,500万円の赤字から2,100万円の赤字まで縮小しており、取得価額はこうした財務状況を踏まえたデューデリジェンスの結果とオレンジページ社の財政状態等を総合的に勘案し、両社の協議・交渉を経て決定されたとのことです。

大企業が事業ポートフォリオの見直しにあわせて非上場子会社を売却する動き(カーブアウト増加の背景)は近年広がっています。また本件は、買収価格が会社の値段として最初から決まっているわけではないことを示す例でもあります。具体的には、実行前に約20億円を配当で売り手のJR東日本に戻し、その後に残る財務状態とデューデリジェンスの結果を踏まえて5億円という価格が決まりました。会社に残す現金の量や財務内容の評価によって、価格が変動することがわかります。

※本記事は2026年9月15日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典

次に読む