ユニゾン・キャピタル株式会社が運営するPEファンドは2026年10月16日、人材派遣・請負会社の譲受を重ねるビジョンクラフト株式会社の株式を取得したと発表しました。
発表の概要
ビジョンクラフトは2022年11月設立で、中堅・中小企業の譲受事業と事業承継戦略事業(M&Aの仲介・アドバイザリー)を手掛けています。ユニゾンはビジョンクラフトを「人材領域におけるM&Aおよび買収後の事業成長支援を手掛ける連続M&A企業体」と説明しています。
ビジョンクラフトがこれまで自社の譲受事業で傘下に迎えた主な会社として、北陸を中心に人材派遣を展開するG&Gホールディングス(2024年4月参画)と半導体工場の製造請負を手掛けるテクノヒューマンパワー(2024年11月参画)があります。ビジョンクラフト公式サイトによると傘下各社を合わせたグループ売上高は182.7億円(直近期合計)、グループ従業員数は1,227名(2024年12月末時点)です。
案件の条件一覧を見る出資者(ファンド)・対象会社・共同提携先・スキームの呼称 ほか(6項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出資者(ファンド) | ユニゾン・キャピタル株式会社が運営・管理するファンド(ユニゾン・キャピタル6号投資事業有限責任組合) |
| 対象会社 | ビジョンクラフト株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長CEO 守安智、2022年11月7日設立) |
| 共同提携先 | 株式会社A3 Capital(AI・テクノロジーを活用した投資および投資先企業の成長支援、2024年1月設立) |
| スキームの呼称 | ユニゾンは「株式を取得」、ビジョンクラフトは「資本業務提携を実行」と表現 |
| 取得比率・取得価額・取得元 | 公表資料に記載なし |
| 実行日 | 2026年10月16日 |
背景
ビジョンクラフトは2022年の創業以来「企業の生産性向上を通じて、地方創生に貢献する」をミッションに掲げてきました。公式サイトでは譲受方針として「『売らない』+『生涯支援』」や「従業員の雇用、待遇を維持向上」を挙げています。
代表取締役社長CEOの守安智氏は、会社と社員を「安心して託せる先」を探す経営者に向けて「本提携によって、当社はその受け皿として、より多くの企業を、より早く迎え入れる力を得ました」と述べました。本提携の狙いとしてビジョンクラフトが挙げるのは次の3点です。
- ユニゾン・キャピタルの資金力を背景に自ら株式を譲り受ける体制と人材を強化し、毎年複数社のペースで新たな企業をグループに迎える
- ユニゾン・キャピタルの経営支援ノウハウで、グループ各社の経営基盤とガバナンスを強化する
- A3 Capitalの知見を活用し、グループ各社の業務効率化と人材育成を進める
一方のユニゾンは、人材派遣・請負業界には採用・育成や営業・DXに経営資源を割けず成長機会を生かしきれていない中堅・中小事業者も少なくないと説明しています。そのうえでビジョンクラフトを中核にそのような事業者のM&Aを進めるとのことです。
ユニゾンは公式サイトの投資実績にて、小規模な歯科クリニックや調剤薬局のグループ化を担う企業への投資を紹介しており、ビジョンクラフトについては「現場系人材事業会社のグループ化を企図した連続M&A企業体」と記しています。
今後の予定
ビジョンクラフトは毎年複数社のペースでの譲受を目指すとしていますが、次の譲受先や日程は公表されていません。
解説
「売らない」や雇用・待遇の「維持向上」を譲受方針に掲げてきたビジョンクラフトは、今回ユニゾンのファンドを株主に迎えて資金力を背景に毎年複数社の譲受を目指す体制を整えました。
一方でユニゾンの出資主体は投資事業有限責任組合で、この形態のファンドには一般に運用期限があります。ユニゾン公式サイトの投資実績に載る案件はいずれも投資から数年で事業会社や他のファンドへ譲渡されています。
一般にファンドが中核会社を通じて連続買収を進める型では、ファンドの売却対象は傘下の会社ではなく中核会社そのものです。ただし傘下の会社を売らないかどうかは中核会社の株主と経営陣の判断で決まります。本件ではビジョンクラフトの株主にPEファンドが加わったため、売り手が「売らない」を前提に会社を託すなら、方針が変わるリスクは織り込んでおく必要があります。
売り手の側でできるのは「売らない」や雇用・待遇の維持を最終契約の条項として残すことです。契約の相手は買い手の法人なので、買い手の株主が変わっても契約の義務は残ります。ただし一般に期間は数年に区切られ、破られた場合の救済も損害賠償にとどまるため、永続の保証にはなりません。
会社を託した後にすぐに再承継されたり待遇が変わったりすることが心配な方は、買い手に「売らない」をどこまで契約に書いてもらえるか、そうした条件を受け入れる買い手がほかにいないかを専門家に相談してみるのも一手です。M&A Timesの無料相談では状況に応じて仲介会社や専門家をご紹介しています。
※本記事は2026年10月18日時点の公表資料に基づいています。最新の状況は当事会社の公表資料をご確認ください。
出典
- ユニゾン・キャピタル株式会社「ビジョンクラフト株式会社の株式取得に関するお知らせ」(2026年10月16日・PDF)
- ビジョンクラフト株式会社「ユニゾン・キャピタルおよびA3 Capitalとの資本業務提携に関するお知らせ」(PR TIMES、2026年10月16日)
- ビジョンクラフト株式会社公式サイト「会社概要」
- ビジョンクラフト株式会社公式サイト「譲受事業」
- ユニゾン・キャピタル株式会社公式サイト「Investments」

