M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約5分

,

エンバイオHD、太陽光のNER社から住宅用・EPC事業を譲受

エンバイオHD、太陽光のNER社から住宅用・EPC事業を譲受|M&A Times

土壌汚染対策や再生可能エネルギーによる発電事業を手がけるエンバイオ・ホールディングス(6092・東証スタンダード)は2026年10月16日、2026年11月設立予定の新設子会社が長野県駒ヶ根市のネクストエナジー・アンド・リソース(NER社)の太陽光関連4事業を譲り受ける事業譲渡契約を締結したと発表しました。

発表の概要

NER社は2013年7月設立、資本金1億円で、太陽光発電設備の開発・販売・設置工事と保守を手がけています。代表取締役は伊藤敦氏で、大株主は相手先の希望により非公表です。エンバイオグループとは太陽光発電設備で取引関係があります。

案件の条件一覧を見る譲渡元・譲受側・対象事業・スキーム ほか(8項目)
項目内容
譲渡元ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社(長野県駒ヶ根市赤穂11465番地6、代表取締役 伊藤敦、2013年7月1日設立、資本金1億円)
譲受側エンバイオ・ホールディングスが2026年11月に設立予定の新設子会社
対象事業①住宅用太陽光発電設備の開発・販売事業
②産業用太陽光発電設備のEPC事業
③太陽光発電設備の運営・保守(O&M)事業
④海外事業(NER社ベトナム法人の株式譲渡契約の締結も別途予定)
スキーム事業譲渡
譲受価額相手先との守秘義務契約により非開示(外部専門家による財務・法務デューデリジェンスの結果および不動産鑑定評価等を踏まえた協議・交渉で決定。決済は事業譲受期日に現金、資金は自己資金および金融機関からの借入で調達予定)
前提条件NER社の2027年1月開催予定の株主総会における特別決議/建設業法に基づく事業譲渡の承継認可/NER社における主要な取引先の同意の取得/NER社の資産に設定された担保権の解除等
契約締結日2026年10月16日(取締役会決議日と同日)
効力発生日(事業譲受期日)2027年2月1日(予定)

背景

エンバイオHDは太陽光発電の事業環境について、大規模発電所の新規開発機会が縮小する一方、電気を使う場所に近い屋根上・自家消費型へ大きく転換しつつあると説明、中でも住宅の屋根にパネルを設置する住宅用太陽光を今後の重要な成長分野と位置づけています。

同社の自然エネルギー事業は2020年以降、太陽光の軸足を物流倉庫や学校等の屋根上に移してきましたが、住宅用の商品企画力と全国の販売チャネルは本件でNER社から取り込む形になります。同社はこのほか、譲受けの背景となる事業環境として、再エネ需要の拡大で既設発電所を長期に安定稼働させ価値を高めるニーズが高まっていることと、海外でも事業機会の拡大が見込まれることを挙げています。

NER社についてエンバイオHDは、住宅用太陽光で豊富な商品企画力と全国の販売チャネルを持ち、産業用ではEPC・O&Mで培った技術力があると評価しています。東南アジアを中心とした海外展開と日本メーカーとしての信用力も強みに挙げ、本事業譲受により次の4点のシナジーを見込んでいるとのことです。

  1. 住宅等の屋根上太陽光発電を中心とした事業機会の創出
  2. EPC・O&M事業の拡大による業務効率化と収益性向上
  3. NER社の技術力とエンバイオグループの発電所運営ノウハウを掛け合わせた既設太陽光発電設備の資産価値の向上
  4. 両社の顧客基盤と事業ネットワークの統合による事業機会の拡大

なおエンバイオHDは中期経営計画2030にて自然エネルギー事業の売上高を2026年3月期の24億円から2031年3月期に103億円へ4.2倍に伸ばす目標を掲げ、その手段として倉庫や商業施設等の屋根を活用した自家消費モデルの展開、リパワリング等の既設発電所バルク案件の有効活用、海外事業の推進を挙げています。資金配分でもM&Aを含む成長投資を柱の一つとしています。

本件のシナジーのうち既設発電所の資産価値向上と、譲り受ける海外事業はこの戦略と重なります。一方で住宅用太陽光は同計画に記載がなく、今回の譲受けで新たに加わる領域です。

今後の予定

新設子会社の設立は2026年11月、効力発生日は2027年2月1日を予定しています。前提条件の一つであるNER社の株主総会特別決議は2027年1月に予定されており、手続の状況等により日程が変わる場合は速やかに開示するとしています。

本事業譲受けは企業結合会計基準上の「取得」に該当する見込みで、会計処理と2027年3月期業績への影響は精査中です。

解説

本件でNER社は会社ごと売るのではなく、住宅用太陽光の開発・販売やEPC・O&Mなど4事業を事業譲渡で新設子会社に移す予定です。実行には株主総会の特別決議に加え、建設業法に基づく承継認可や主要な取引先の同意、資産に設定された担保権の解除等が前提条件として付いています。

事業譲渡なら譲りたい事業だけを売り、会社そのものや他の事業は手元に残せますが、許認可は自動では移らず、取引先との契約の引継ぎや担保の整理も個別に必要になるため、株式譲渡より実行までの手続が多くなりがちです。

株式譲渡と事業譲渡で必要な手続がどう違うかは、株式譲渡と事業譲渡の違いで詳しく解説しています。

※本記事は2026年10月16日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典

次に読む