AIインフラストラクチャー事業などを手がけるイオレ(2334・東証グロース)は2026年10月15日、WOODMAN株式会社を株式交換で完全子会社化すると発表しました。WOODMAN株1株にイオレ株5,727.38株を割り当て、交付株式数3,436,428株×基準株価582円で計算すると対価総額は約20億円(編集部試算)です。
発表の概要
WOODMANは2017年10月設立、東京都品川区の企業です。AIサーバー・ストレージの販売を基盤にモジュール型AIデータセンター開発へ事業を広げてきました。従業員15人で、小野慎二郎氏が98%、末崎秀昭氏が2%を保有しています。
案件の条件一覧を見る対象会社・株式交換完全親会社・スキーム・株式交換比率 ほか(10項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象会社 | WOODMAN株式会社(東京都品川区東品川二丁目5番8号、代表取締役社長 小野慎二郎、資本金300万円、発行済株式600株、従業員15人) |
| 株式交換完全親会社 | 株式会社イオレ(証券コード2334・東証グロース、東京都港区西新橋一丁目6番11号、代表取締役社長兼CEO 瀧野諭吾) |
| スキーム | 株式交換(イオレを完全親会社、WOODMANを完全子会社とする) |
| 株式交換比率 | WOODMAN株1株にイオレ株5,727.38株(算定の前提に重大な変更が生じた場合は両社の合意で変更することがあります) |
| 交付株式数 | イオレの新株式3,436,428株(予定、発行済株式総数の7.97%) |
| 対価の算定 | 算定機関はSakura Accounting合同会社。WOODMAN株は市場価格がないため類似会社比較法(ジーデップ・アドバンス、HPCシステムズ、リョーサン菱洋ホールディングスのPERを使用)により1株3,081,458〜5,784,705円と算定。両社協議でWOODMAN株1株を3,333,333円、イオレ株は2026年10月14日終値582円として比率を決定 |
| 契約締結日 | 2026年10月15日 |
| 株主総会 | イオレ臨時株主総会2026年11月27日(予定)、WOODMAN臨時株主総会2026年11月中(予定) |
| 効力発生日 | 2026年11月30日(予定) |
| 対象会社の業績 | 2025年9月期実績:売上高23億4,631万6,000円・営業利益1億3,455万3,000円 2026年9月期見込:売上高128億4,541万4,000円・営業利益3億5,091万9,000円 |
背景
イオレとWOODMANは本件に先立ち提携関係にありました。2026年1月30日にはデジタルダイナミック、SuperX AI Industriesを含む4社でモジュール型AIデータセンターに関する戦略的提携の覚書を締結し、WOODMANは用地・ユーティリティ等の検討や関係各所との調整に向けた情報提供で協力してきました。
イオレは本件の目的について、データセンターの開発・構築・運用に必要な機能をグループ内に取り込みAIインフラの供給能力と事業開発力を強化するためと説明しています。
具体策としてネオクラウド事業の立ち上げ加速、AI実装・AI計算・金融の3層統合モデルの循環強化、経営統合による事業開発の加速、希薄化を上回る中長期的な株主価値の創出の4点を挙げています。
イオレは完全子会社化にあたり現金取得でなく株式交換を選択。WOODMANの株主を自社株主とすることで両社の利害を中長期的に一致させ、現金流出を抑制して成長投資の資金余力を維持する狙いです。
イオレは2025年8月公表の中期経営計画にて2028年3月期に売上高220億円、営業利益33億円を目指すとし、AIデータセンター事業では推論特化AIデータセンター市場への参入とAIデータセンターの全国展開という方針を掲げています。今回の開示でもイオレは統合後に100MW級の大規模拠点に加え中小規模のAIデータセンターを国内各地で複数展開する方針を示しています。
今後の予定
本株式交換はイオレとWOODMANの臨時株主総会(11月27日、11月中予定)の承認を前提に、効力発生日は2026年11月30日(予定)です。WOODMANの経営陣・従業員は引き続き事業運営に参画する予定で、WOODMANの業績は2026年12月からイオレの連結業績に取り込む計画です。
新株発行に伴いJAIC-Web3ファンド(無限責任組合員は日本アジア投資。議決権比率10.34%→9.57%)と吉田直人氏(同10.07%→9.32%)はイオレの主要株主に該当しなくなる見込みです。JAIC-Web3ファンドは大株主順位1位のままになるとイオレは想定しています。
解説
Sakura Accounting合同会社は、WOODMAN株を2025年9月期実績と2026年9月期見込の利益の平均に類似上場会社3社のPERを当て30%の非流動性ディスカウントを差し引いて算定しました。
2028年9月期以降の案件拡大は見積もりが困難としてDCF法は採られず、開示は「事業計画に織り込まれた将来の成長可能性は評価に含まれておりません」と明記しています。
WOODMANは2026年9月期に前期の約5.5倍の売上高を見込んでいますが、約3割は単年度の大型案件(売上高約40億円)のため、算定の際は前期実績との平均を使ってその影響をならしています。
非上場企業の売却でも急成長の見込みがそのまま価格に乗るとは限らず、計画上の成長を評価してもらうには受注の確度など裏付けを示せるかが問われます。
詳しくは企業価値評価の3つのアプローチで解説しています。
※本記事は2026年10月16日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典
- 株式会社イオレ(証券コード2334)「株式交換によるWOODMAN株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約の締結並びに主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」(2026年10月15日)
- 同・日経電子版 開示情報ページ
- 株式会社イオレ「事業計画及び成長可能性に関する事項(中期経営計画2026ー2028)」(2025年8月14日・PDF)
- 株式会社イオレ公式サイト

