経済産業省は2026年8月31日、令和9年度(2027年度)税制改正要望を公表しました。事業承継税制の抜本見直しをはじめ、中小企業の事業承継・M&Aに関わる複数の項目を盛り込んでいます。
要望の概要
税制改正要望は毎年夏に各省庁が財務省などへ提出するものです。年末に公表される与党税制改正大綱で最終的な結論が示されます。今回の経産省要望には事業承継税制の見直しのほか、M&A関連の準備金制度や株式評価方式に関する項目が含まれています。
案件の条件一覧を見る公表日・要望主体・事業承継税制・M&A準備金(中小企業事業再編投資損失準備金) ほか(6項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年8月31日 |
| 要望主体 | 経済産業省 |
| 事業承継税制 | 特例措置を「稼ぐ力」強化型の措置へ抜本的に見直し・強化するよう要望 |
| M&A準備金(中小企業事業再編投資損失準備金) | 適用期限を3年間延長し、計画認定手続きの見直しを要望 |
| 取引相場のない株式の評価 | 見直しにあたり事業者の懸念を踏まえた慎重な検討を要望 |
| 早期事業再生法関連 | 同法を利用する企業向けに事業承継税制の免除要件見直しを要望 |
現行制度と期限
事業承継税制の特例措置は、事業承継時の贈与税・相続税の負担を実質ゼロにする時限措置です。法人版は猶予対象株式数の上限がなく、猶予割合は贈与税・相続税ともに100%で、雇用確保要件を満たさない場合でも猶予を継続できます。
適用期限は法人版が2027年12月31日までの贈与・相続等で、特例承継計画の申請は2027年9月末までに必要です。個人版の適用期限は2028年12月31日まで、計画申請は2028年9月末までとなっています。計画申請期限については事業承継税制、特例承継計画の提出期限が2027年9月末に延長で既報の通りです。
解説
特例措置の適用を検討する経営者にとって、計画申請期限の2027年9月末は約1年後に迫っています。制度の具体的な姿は2026年末の与党税制改正大綱で示される見通しです。今回の要望は単純な期限延長ではなく、事業承継を契機に「稼ぐ力」強化に取り組む中小企業等を後押しする措置へ「抜本的に見直し・強化を行う」というものです。
見直し後の具体的な内容は現時点で決まっていません。M&A準備金の延長要望も同様に検討段階で、買い手側の税負担を平準化する措置として位置づけられています。
事業承継の検討を税制の結論待ちで先送りする必要はありません。また、計画申請の準備は早めに進めておく価値があります。会社売却の進め方を含めた選択肢の整理も並行して検討しましょう。
次に読む
※本記事は2026年9月22日時点の公表情報に基づいています。税制改正の内容は今後の与党税制改正大綱・国会審議で変わる可能性があります。

