株式会社イクヨ(証券コード7273、東証スタンダード)は2026年8月4日、民事再生手続中の株式会社EVモーターズ・ジャパンから「EVバス事業」を譲り受けることを取締役会で決議しました。
発表の概要
イクヨは自動車の内外装樹脂部品など装備品の製造・販売を手がける上場企業です。譲渡元の株式会社EVモーターズ・ジャパン(福岡県北九州市若松区、代表取締役社長 角英信、資本金4,118百万円)は電気自動車・充電設備の販売・メンテナンス等を手がけ、現在は民事再生手続中です。今回の事業譲渡でイクヨは同社保有のEVバス事業の土地・建物・機械・設備等の資産と販売済みEVバスの製品保証を譲り受けます。譲渡対象に負債は含まれません。
EVモーターズ・ジャパンのEVバスは大阪・関西万博の会場アクセス輸送に約190台納入され大阪メトロが商用EV車として採用していましたが、万博期間中に事故や不具合が相次いで使用中止となり、2025年11月にはブレーキホースが損傷するおそれがあるとして中型EVバス85台のリコールを国土交通省に届け出るなど、車両の不具合をめぐった一連の報道で社会的信用が低下していました。
大口顧客だった大阪メトロは2026年3月末に同社製EVバスを今後使用せず、路線バスへ転用できない場合は購入代金の返還請求を検討する旨を発表、国土交通省も大阪メトロに交付した車両補助金の返還を求める方針を示すなど影響が広がる中、EVモーターズ・ジャパンは4月1日付の契約解除通知を受けて資金繰りが悪化し、4月14日に約57億円の負債を抱えた状態で民事再生法の適用を申請しています。
東京商工リサーチによるとEVモーターズ・ジャパンはイクヨをスポンサーとして選定し、イクヨの支援の下でEVバス事業を継続するとしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元 | 株式会社EVモーターズ・ジャパン(福岡県北九州市若松区、民事再生手続中) |
| 譲受側 | 株式会社イクヨ(証券コード7273、東証スタンダード) |
| 対象事業 | EVバス事業(土地・建物・機械・設備等の資産、製品保証を含む。負債なし) |
| スキーム | 事業譲渡 |
| 譲受価額 | 非開示(民事再生手続における裁判所の許可後に公表予定) |
| 契約締結日 | 2026年8月10日(予定) |
| 実行予定日 | 2026年11月頃(予定) |
背景
イクヨは成長戦略でCASE(電動化・自動運転・コネクテッドカー)対応の新規事業開発やM&Aの活用を掲げており、本件はその一環と位置づけられます。開示によればEVモーターズ・ジャパンの車両制御技術や自動運転システムのインテグレーションノウハウを獲得し自動運転プラットフォーム開発を加速する狙いとのことです。環境製品群・電力制御技術も取り込みエネルギーマネジメント事業を拡大し、品質保証・ガバナンス対策としてイクヨの管理プロセスを導入して改善を図る方針です。
今後の予定
契約締結日は2026年8月10日、譲渡実行日は同年11月頃をそれぞれ予定しています。本件は対象会社の民事再生手続における裁判所の許可が前提で、譲受価額は許可後に公表される見通しです。イクヨの2027年3月期連結業績への影響は現在精査中としています。
解説
民事再生手続に入った企業でも事業に価値があれば買い手が現れ、資産や製品保証を引き継ぐ形で事業が存続し得ることを示す実例です。一般に再生手続ではスポンサー企業への事業譲渡や、新会社に事業を移して再建する第二会社方式といった手法が用いられます。会社全体の存続が難しくても価値ある事業単位なら事業譲渡で雇用や取引関係を引き継げる可能性がある点は、売却・承継を検討する経営者の参考になるでしょう。
※本記事は2026年8月6日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典
- 事業譲受に関するお知らせ(株式会社イクヨ、2026年8月4日)
- (訂正)「事業譲受に関するお知らせ」の一部訂正について(株式会社イクヨ、2026年8月5日)
- 株式会社イクヨ 今後の成長戦略に関するお知らせ(2025年7月30日)
- 弊社取扱い車両のリコールに関するお詫びとお知らせ(EVモーターズ・ジャパン、2025年11月28日)
- EVモーターズが民事再生法を申請 負債57億円、万博バスで不具合(日本経済新聞、2026年4月14日)
- 大阪メトロ、EVバス購入代金の返還請求検討も 路線バス転用不可なら(日本経済新聞)
- 大阪万博で使用のEVバス、国交省が大阪メトロに補助金返還要求へ(日本経済新聞)
- 株式会社EVモーターズ・ジャパン TSR速報(東京商工リサーチ、2026年4月14日)

