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NISSHA、買収3カ月半でUSM譲渡へ 買収前に循環取引が判明

NISSHA、買収3カ月半でUSM譲渡へ 買収前に循環取引が判明|M&A Times

NISSHA(証券コード7915・東証プライム)は京都市に本社を置き産業資材・ディバイス・メディカルテクノロジーなどを展開する企業で、2026年9月4日、ベトナムの医療機器メーカーUSM HEALTHCARE MEDICAL DEVICES FACTORY JOINT STOCK COMPANY(以下USM)の保有株式全てをUSM取締役のVÕ XUÂN BỘI LÂM氏へ譲渡すると発表しました。2026年5月の連結子会社化から3カ月半での決定で、買収前のUSMで循環取引を中心とする不適切な会計処理があったためとNISSHAは説明しています。

発表の概要

USMは2012年10月設立、ベトナム・ホーチミン市サイゴンハイテクパークの医療機器メーカーで従業員199名(2026年3月末時点)です。NISSHAは2026年5月にUSM株式60%を取得し連結子会社化していましたが、今回の株式譲渡契約で保有全株式をLAM氏へ譲渡します。LAM氏は買収後も40.00%を保有し続けており、譲渡完了後はLAM氏側がUSMの株主に戻る形になります。

項目内容
譲渡元(売り手)NISSHA(連結子会社Nissha Vietnamを含む)
譲渡先(買い手)VÕ XUÂN BỘI LÂM氏(USM取締役、2026年1月のNISSHA株式取得時の主要な売主)
対象会社USM HEALTHCARE MEDICAL DEVICES FACTORY JOINT STOCK COMPANY(ベトナム・ホーチミン市サイゴンハイテクパーク)
事業内容医療機器の製造・販売
スキームNISSHA保有の全株式16,960,877株(NISSHA単独59.99%・連結子会社Nissha Vietnam保有分0.01%の合計60%)の譲渡
譲渡価額守秘義務により非開示
契約締結日2026年9月4日(同日取締役会決議)
株式譲渡実行日2026年9月中旬に50%分、2027年9月中旬〜2028年9月中旬に残り10%分(予定)

背景

NISSHAは2026年1月23日、取得価額非開示のままDCF法による第三者算定に基づきUSM株式取得を公表、ベトナム当局との確認事項発生で実行を4〜5月へ延期しつつも、2026年5月20日に完了していました。2026年2月12日の決算説明会資料(3月23日訂正版)も事業ポートフォリオ上「医療機器CDMO(アジア)」をプロブレムチャイルドの象限に位置づけ、M&Aの3年計画250億円以上に対し2年実績136億円と記載していました。

連結子会社化後のPMI(買収後の経営統合プロセス)と初回連結決算の過程で判明した経緯をNISSHAは2026年8月4日付で開示しています。7月10日に外部専門家を含む調査チームを設置し7月22日の中間報告後7月25日に簿外債務の可能性が判明、7月27日に会計監査人と協議のうえ「USMの適正な決算を行うことは困難」との判断に至り、8月6日予定だった中間決算発表を延期しました。半期報告書の提出期限延長は8月13日に関東財務局へ承認申請書を提出し翌14日に承認され、新たな提出期限は2026年10月23日となっています。

NISSHAは「本件は当社による買収前にUSMの役職員によって開始されたものであり、当社が関与した事実はありません」としており調査は継続中です。

今後の予定

譲渡は2026年9月中旬に50%分、2027年9月中旬〜2028年9月中旬に残り10%分を段階的に実行する予定です。2026年12月期の個別・連結決算で関係会社株式売却損益を計上見込みですが、金額・通期業績予想への影響ともに精査中です。NISSHAはUSMへ資金を貸し付けており9月4日開示の取引関係欄に記載されています。USMの2025年12月期業績は売上高416,587百万ベトナムドン・純利益28,030百万ベトナムドンと開示されていますがUSMの不適切な会計処理を調査中のため調査前の数値である旨の注記が付いています。

解説

元株主への売り戻しという結末はオールアバウトがみらいバンクをMILIZEへ譲渡した事例とも重なりますが、あちらは「早期のシナジー創出は容易ではない」との売り手の判断による元親会社への譲渡である一方、本件は買収前の不適切な会計処理の判明が理由とされる点で性格が異なります。

本件は連結子会社化から3カ月半でPMIと初回連結決算の過程で買収前の不正会計が判明し、売主本人への段階的な売り戻しと半期報告書の提出期限延長という形で手仕舞いに至った事例です。会社の売却や事業承継を検討する経営者にとって、一般に買い手は決算の正確性について表明保証を求めるものであり、売り手側も日頃から自社の会計・管理体制を整えておくことが交渉と譲渡後のトラブル回避の土台になります。

※本記事は2026年9月4日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典

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