株式会社フェローテック(証券コード6890・東証スタンダード)は2026年9月17日、株式会社日本抵抗器製作所(証券コード6977・東証スタンダード)の普通株式を公開買付け(TOB)により取得し完全子会社化すると発表しました。買付価格は1株1,901円で、日本抵抗器製作所の代表取締役社長ら大株主2名は保有全株の応募に合意しています。
発表の概要
フェローテックは半導体等装置関連・電子デバイス・車載関連・その他の4事業セグメントを展開し、子会社等98社(2026年3月31日現在)を有する企業です。日本抵抗器製作所は富山県南砺市に本社を置き、抵抗器・ポテンショメーター・ハイブリッドIC・電子機器の開発製造を手がけています。自動車用の角度センサなども手がけ、生産拠点を日本・中国・タイに置いています。
連結売上高は2023年12月期7,166百万円・2024年12月期6,454百万円・2025年12月期5,905百万円と2期連続で減収しました。経常損益も2024年12月期104百万円の損失・2025年12月期136百万円の損失と2期連続の赤字でした。対象会社の2025年12月期決算短信によれば純損失は376百万円です。
取得条件は次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象会社 | 株式会社日本抵抗器製作所(証券コード6977・東証スタンダード) |
| 公開買付者 | 株式会社フェローテック(証券コード6890・東証スタンダード) |
| スキーム | 公開買付け(TOB)による完全子会社化 |
| 買付価格 | 普通株式1株につき1,901円 |
| 買付期間 | 2026年9月18日から2026年11月5日まで(30営業日) |
| 買付予定数の下限(上限) | 618,700株・所有割合50.01%(上限は設定なし) |
| 対象会社の意見 | 賛同及び応募推奨 |
対象会社の第2位株主で代表取締役社長の木村準氏(所有割合8.61%)と第8位株主で社外取締役の今井芳範氏(所有割合3.25%)は、保有する対象会社株式の全て(合計146,663株・所有割合11.85%)について本公開買付けへの応募に合意しています。買付予定数の下限を本基準株式数1,237,203株に対する過半数の株式数に設定した一方で上限は設けておらず、下限以上の応募があれば応募株式の全部を買い付けます。本公開買付けに要する資金は2,351百万円(約23.5億円)と開示されています(買付予定数1,237,203株×1,901円)。
背景
日本抵抗器製作所側の事情としては、燃料・原材料価格の高騰・物流コストの上昇・円安による海外生産コストの上昇に加え産業機械市場の回復の遅れや人材不足といった経営課題を開示にて挙げています。こうした環境を踏まえ日本抵抗器製作所は2025年4月頃から資本政策や提携の検討を始め、複数の候補を比較した上で2025年11月頃にみずほ証券を通じてフェローテックへ打診しました。
上記背景から、フェローテックは2025年11月21日に日本抵抗器製作所役員と面談、同年12月25日には富山工場を視察した上で2026年1月26日に買収の可能性を含む提案書を提出しています。これに対し日本抵抗器製作所は2026年2月9日、「経営陣の高齢化が進む中で明確な後継者が定まっていないこと」を踏まえフェローテックの完全子会社となることも有力な選択肢として協議を継続する意向を回答しています。
なお本件で見込むシナジーは、①フェローテックの海外販売網を生かした対象会社製品の販売拡大、②車載関連事業で培った自動化・生産効率化のノウハウを対象会社の生産体制に適用すること(2023年12月に完全子会社化した大泉製作所で実施した技術開発と生産自動化の同時並行支援と同様の手法を想定)、③対象会社の固定抵抗器・角度センサの技術者とフェローテックグループの温度センサ・サーモモジュールの技術者の協業によるシステム単位での新製品の共同開発、④車載関連事業における相互補完と製品ミックスの改善、の4点です。
また価格交渉の経緯は以下の通りです。フェローテックは2026年8月17日に1株1,740円を提示しましたが対象会社の特別委員会から4回にわたり再提案の要請を受けました。最終的に9月15日の1,901円提示を9月16日に対象会社と特別委員会が応諾しています。提案の推移は次の通りです。
| 提案日 | 提案価格 | 提案前営業日の終値比プレミアム(9月2日提案は前々営業日基準) |
|---|---|---|
| 2026年8月17日 | 1,740円 | 19.02% |
| 2026年8月24日 | 1,825円 | 22.48% |
| 2026年9月2日 | 1,900円 | 30.67% |
| 2026年9月9日 | 1,900円で据え置き | ― |
| 2026年9月15日 | 1,901円(対象会社が応諾) | 37.45% |
今後の予定
買付期間は2026年9月18日から11月5日までの30営業日で、法定の最短期間である20営業日より長く設定されています。フェローテックは本公開買付けの成立後、対象会社の株主を自社のみとする完全子会社化のため株式併合によるスクイーズアウトの手続きを対象会社に要請する予定です。この手続きが実施されれば、対象会社株式は東京証券取引所スタンダード市場での上場を廃止する見込みです。
下限を総議決権数の3分の2でなく過半数とした理由についてフェローテックは対象会社の過去3年間の定時株主総会における議決権行使比率の平均57.08%・最大60.09%を踏まえ、株式併合の特別決議は過半数の株式取得でも実現可能と判断したと説明しています。対象会社は上場廃止に伴う取引先への影響や資金調達・社会的信用への影響について、具体的な悪影響は想定していないとしています。
解説
日本抵抗器製作所は1964年10月の東証2部上場から60年以上にわたり株式を上場してきた企業です。それでも「経営陣の高齢化が進む中で明確な後継者が定まっていないこと」を理由に完全子会社化を検討しています。上場企業であっても後継者不在が資本政策の選択を左右する事情は、非上場のオーナー企業と変わりません。
また下限を総議決権数の3分の2でなく過半数に設定した設計は、過去の株主総会での議決権行使比率という実績データに基づいています。買い手は取引の成立可能性を高めるため、対象会社の株主構成の実績まで踏まえて条件を設計しています。
※本記事は2026年9月17日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典
- 株式会社日本抵抗器製作所(証券コード:6977)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ(フェローテック)
- 株式会社フェローテックによる当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ(日本抵抗器製作所)
- フェローテック 適時開示(日本経済新聞)
- 日本抵抗器製作所 適時開示(日本経済新聞)
- 株式会社日本抵抗器製作所 会社概要
- 株式会社日本抵抗器製作所 2025年12月期決算短信

