東証スタンダード上場のアスリナ(証券コード3647)は2026年9月24日、民事再生手続中の株式会社MAKE VALUE(MV社)が展開するオーダーカーテン専門店「カーテンファクトリー」のテキスタイル事業を事業譲渡により譲り受け、新たな事業として開始すると発表しました。
アスリナは太陽光発電所の販売・運営を中心とした環境エネルギー事業と基礎化粧品などのサステナブル事業を手掛け、連結子会社を通じてライブコマース事業も展開しています。2026年2月に旧商号のジー・スリーホールディングスから現社名へ変更しました。
発表の概要
本契約はMV社が裁判所の許可を取得することを効力発生の条件としており、アスリナは2026年9月24日付で許可が得られたことにより本事業譲受けの実施が確定したとのことです。
譲渡対象の「カーテンファクトリー」は、顧客ごとのニーズに応じたカスタムメイドが可能なオーダーカーテン専門店として20年以上にわたり事業を続けてきており、川崎高津店・横浜店・港北店・洋光台店の4店舗と移動ショールームを構えています。
譲受事業の2026年6月期の業績は、MV社からテキスタイル事業部門の経営成績として提供された資料によると売上高437,308千円(約4億3,700万円)・経常利益15,006千円(約1,500万円)でした。
案件の条件一覧を見る譲渡元・譲受側・対象事業・スキーム ほか(9項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元 | 株式会社MAKE VALUE |
| 譲受側 | 株式会社アスリナ(証券コード3647) |
| 対象事業 | オーダーカーテン専門店「カーテンファクトリー」のテキスタイル事業(オーダーカーテンの販売事業) |
| スキーム | 事業譲渡(現金決済) |
| 譲受価額 | 30,000千円(3,000万円)及び事業譲受実行日時点における棚卸資産相当額(棚卸資産は実行日時点の実地棚卸及び本契約に定める評価方法に基づいて確定する予定。参考値として8月31日時点で12,000千円(約1,200万円)程度) |
| 取締役会決議日 | 2026年9月16日 |
| 契約締結日 | 2026年9月17日 |
| 裁判所許可取得日 | 2026年9月24日 |
| 実行予定日 | 2026年9月30日(予定) |
背景
アンティーク家具の輸出入販売や不動産事業を手掛けるMV社(2008年設立・資本金1億円)は事業領域を拡大させるなかで資金繰りが急速に悪化しました。2026年7月13日に民事再生手続開始の申立てを行い、同日付で保全命令及び監督命令を受けています。東京商工リサーチによると、MV社の負債総額は債権者71名に対して約48億2,300万円で、「黒字とされていた事業が、実際は赤字だったなど決算に疑義」も生じたとしています。
同リサーチによると、MV社の古物売買事業は申立て前の2026年3月に東証スタンダード上場のサイバーステップホールディングスが譲り受けることが公表されていました。MV社の直前事業年度の純資産・総資産は、民事再生手続中で正確な財務情報の確認が困難であるため開示されていません。
アスリナが買い手となった経緯について同社は、MV社の事業存続を支援するパートナー候補として紹介を受け、MV社が手掛ける事業への支援について協議を重ねてきたと説明しています。両社の関係についてアスリナは、資本関係・人的関係はなく、自社子会社の株式会社MF6がMV社と仕入取引を行っていると記載しています。
アスリナは2026年7月14日付の第3四半期決算短信で事業ポートフォリオの見直しを進めているとしており、9月24日の開示でも既存事業の強化と並行して経営資源の選択と集中を図りつつ新たな事業領域への参入を進め、収益の柱を確立することを重点課題の一つに挙げています。本件はこの方針の一環に位置づけられます。
カーテンファクトリーは店舗販売網・顧客基盤・仕入先との取引関係などオーダーカーテン販売に関する実績と知見を持っており、アスリナはこれらの事業基盤を承継することで自社グループの新たな収益基盤の確保が見込めるとともに、グループが推進するサステナブル事業との連携及びサービス領域の強化・拡充が期待できると説明しています。
一方でアスリナ自身は損失計上が続いています。2026年8月期第3四半期累計(2025年9月~2026年5月)の営業損失は243百万円でした。同短信は2023年8月期から3期連続の損失に加え、安定的な収益源となる事業が構築中である点から継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるとしており、対策として安定的な収益力の向上と健全な財務基盤の構築に取り組んでいます。
今後の予定
事業譲受実行日は2026年9月30日、事業開始日は2026年10月1日を予定しており、アスリナは本事業譲受けに伴いテキスタイル事業部を新設する予定です。MV社において本事業に従事する従業員については、本人の同意を得たうえでアスリナが新たに雇用する予定です。
アスリナは事業譲受価額のほか、事業開始時点で運転資金及び商品の仕入等に係る支出が総額30,000千円程度発生する見込みとしており、デュー・デリジェンスや事業価値算定等の特別に支出する金額は精査中としています。本事業譲受けによる2027年8月期の業績への影響は精査中で、2026年10月13日公表予定の決算短信の業績予想に織り込むとしています。
解説
アスリナは30,000千円と実行日時点の棚卸資産相当額でテキスタイル事業を譲り受ける予定で、開示には「MV社が負担する債務その他の負債は承継いたしません」と明記しています。
アスリナが譲受けの判断根拠として挙げたのは、MV社提供の資料で2026年6月期に経常利益15,006千円を計上していた事業の店舗販売網・顧客基盤・仕入先との取引関係でした。会社が資金繰りの悪化で民事再生手続に入っても、こうした基盤を持つ事業単位であれば負債と切り離して引き継ぎ手が付き、そこで働く従業員も本人の同意を得たうえで買い手に雇用される道が残ります。
資金繰りの悪化や赤字・債務超過を理由に諦める前に、自社のどの事業に引き継ぎ手が付き得るのかを専門家に確かめてください。M&A Timesの無料相談では状況に応じて仲介会社をご紹介しています。
※本記事は2026年9月25日時点の公表資料に基づいています。最新の状況はアスリナの適時開示をご確認ください。
出典
- 株式会社MAKE VALUEからの事業譲受け(新たな事業の開始)に関するお知らせ(株式会社アスリナ〔証券コード3647〕、2026年9月24日、日本経済新聞 適時開示)
- 2026年8月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(株式会社アスリナ、2026年7月14日)
- (株)MAKE VALUE|TSR速報(東京商工リサーチ)
- カーテンファクトリー 会社概要(株式会社MAKE VALUE)

