人材サービス大手のワールドホールディングス(ワールドHD)が、同業のnmsホールディングスを連結子会社化しました。2026年7月13日、ワールドHDはnmsに対するTOB(株式公開買付け)が成立したと発表したものです。ワールドHDは製造分野の人材派遣・請負を主力とする東証プライム上場企業で、nmsは人材サービスや電子機器の製造受託などを手掛ける東証スタンダード上場の中堅企業です。nmsはこれまで、ワールドHDが出資しつつも子会社ほどの支配は及ばない「持分法適用関連会社」(一定の影響力は持つが経営を支配するには至らない出資先)でした。
発表の概要
ワールドHD(証券コード2429、登記上の本店は福岡県北九州市・実務は福岡市博多区)は2026年6月1日から7月10日まで、nms(証券コード2162、本社は東京都新宿区)の株式を1株540円で買い付けるTOBを実施しました。あらかじめ定めていた買付予定数の下限を大きく上回る応募が集まり、TOBは成立しています(応募は11,825,411株で、下限の6,480,800株を上回りました)。
応募のあった株式はすべて買い付けられ、決済開始日は2026年7月17日です。同日付で、nmsおよびそのグループ会社(パワーサプライテクノロジー等)は、ワールドHDの連結子会社かつ特定子会社(親会社にとって資産・利益の規模が大きく、開示が求められる重要な子会社)となる予定です。この取得により、ワールドHDのnmsに対する所有割合は32.91%から94.50%へと大きく高まります。
背景
nmsは元社長の不適切な経費使用等のガバナンス(企業統治)課題を抱えていました。ワールドHDの傘下に入ることで、信用力・財務基盤の補完に加え、人材ビジネスにおける営業エリアの補い合いや採用力の強化につながると考えられます。
ワールドHDは「中期経営計画2026」(2022年2月公表、最終年度2026年12月期)で売上高2,750億円・営業利益150億円を目標に掲げ、人材教育ビジネスを成長の牽引役と位置づけています。同計画では、製造や設計開発などものづくり分野を担うプロダクツHR事業の「深化」と、サービス分野の裾野拡大の2本柱で「No.1 HRプラットフォーマー」を目指す方針を示しており、製造業向け人材サービスとEMS(電子機器の受託製造)を手がけるnmsの子会社化は、主軸であるものづくり領域の強化に沿った動きと考えられます。
今後の予定
ワールドHDは今後、nmsの株主を自社のみとするためのスクイーズアウト(残った少数株主から株式を買い取り、100%子会社にする手続き)を実施する予定です。手続きが完了すると、nms株式は東証スタンダード市場の上場廃止基準に従い上場廃止となる見通しです。具体的な手続きの内容は、nmsと協議のうえ決定次第公表するとしています。
中小経営者への示唆
nmsでは、元社長による不適切な経費使用などのガバナンス(企業統治)上の問題が明らかになった経緯があります。その後、同社は大手グループの傘下に入る道を選びました。
過去の問題と今回の子会社化の関係は開示では言及されていませんが、一般に経営管理体制のほころびは、会社の信用力を損ない、いざ売却する際の交渉力や選べる選択肢を狭めてしまいます。
裏を返せば、日頃から会計や内部管理の体制を整えておくことは、将来の事業承継やM&Aで有利な条件を引き出す備えにもなります。自社を売却の選択肢に入れている経営者ほど、早い段階での準備と専門家への相談が役立つでしょう。準備の進め方は会社売却の準備・磨き上げで解説しています。
※本記事は2026年7月13日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典:株式会社ワールドホールディングス「nmsホールディングス株式会社(証券コード:2162)に対する公開買付けの結果及び子会社の異動(特定子会社の異動)に関するお知らせ」(2026年7月13日)/株式会社ワールドホールディングス「中期経営計画2026」(2022年2月24日)/株式会社ワールドホールディングス IRリリース一覧

