日本商工会議所は2026年9月11日、「事業承継に関する実態アンケート」調査結果を公表しました。後継者不在で事業継続を望む60歳以上の経営者のうち、M&Aを事業継続の手段として検討した経験がある割合は18.3%(196件中約36件・編集部試算)でした。
調査の概要
調査は事業承継・経営資源引継ぎの実態や課題、事業承継税制の活用状況等を把握し、商工会議所の政策提言の基礎資料とする目的で実施されました。
案件の条件一覧を見る調査主体・公表日・調査対象・回答件数 ほか(6項目)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | 日本商工会議所(産業政策第一部) |
| 公表日 | 2026年9月11日 |
| 調査対象 | 各地商工会議所管内の会員企業 |
| 回答件数 | 3,033件 |
| 調査期間 | 2026年5月18日~6月30日 |
| 調査方法 | 郵送・手渡し・メールによる調査票送付、web・郵送・FAXによる回答 |
主な結果
先代→現代表、現代表→後継者(候補)への承継はいずれも“親族内”が8割前後を占め、2017年調査からは若干減少しています。代表者が60歳代の15.1%、70歳以上の9.4%は「後継者候補はいないが事業は継続したい」と回答し、日本商工会議所は60歳以上の後継者決定状況に過去調査から大きな変化はないとしています(「既に後継者がいる」と「後継者候補はいる」の合計は2017年73.7%→2026年74.3%・編集部計算)。
日本商工会議所が事業承継税制の活用が想定されるとする株価1億円超の企業(代表者60歳以上・親族内に後継者候補あり)でも、特例措置を適用または検討している割合は30.3%にとどまり、制度上の障壁には適用期限や猶予取消のリスクが挙がりました。同じ条件で株価1億円以下の企業は51.5%が税制を“知らない”と回答しています。60歳以上で後継者(候補)がいる企業では事業承継・M&A補助金と引継ぎ支援センターもそれぞれ約半数が「知らない」と答えました。
M&A(買収)を実施・検討した経験がある企業は回答企業全体の18.5%で、2020年調査の15.5%から3ポイント上昇しました。目的は「売上・市場シェアの拡大」が最多で、紹介者は取引金融機関やM&A仲介業者が上位です。買収の目的や効果を実施後に「概ね達成した」と51.8%が、「一部達成した」と35.9%が回答し、合計9割弱が達成したと回答しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 「既に後継者がいる」(60歳以上・2017年→2026年) | 49.3%→42.6% |
| 「後継者候補はいる」(同) | 24.4%→31.7% |
| 「後継者はいない」(同) | 19.0%→13.0% |
| 事業承継税制特例の適用・検討(60歳以上・親族内に後継者候補あり・株価1億円超) | 30.3% |
| 買収の目的・効果「達成した」計(買収実施企業) | 87.7%(概ね達成51.8%+一部達成35.9%) |
| M&Aを検討しない理由「M&Aに良いイメージがない(取引先からの信用不安等)」(60歳以上・後継者不在・n=150・複数回答・上位3つまで) | 40.7% |
| 同「悪質な買い手や仲介業者への警戒感がある」 | 38.0% |
解説
日本商工会議所の調査では代表者が60歳以上で後継者はいないが事業継続はしたい企業(回答196件)のうち、事業継続の手段としてM&Aを検討したことがある割合は18.3%でした。検討しない理由(回答150件・複数回答・上位3つまで)の上位は「M&Aに良いイメージがない(取引先からの信用不安等)」40.7%と「悪質な買い手や仲介業者への警戒感がある」38.0%です。
上位2つはいずれも取引先の信用や相手の信頼性をめぐる不安で、取引先への伝え方や買い手・仲介会社の見極め方といった進め方次第で和らげられる面があります。
警戒感を理由に選択肢から外す前に、進め方をまず専門家に相談してみるのも一手です(悪質な買い手の手口はM&A詐欺とは?悪質な買い手の手口と対策で解説)。M&A Timesの無料相談では状況に応じて仲介会社や専門家をご紹介しています。
※本記事は2026年9月29日時点の公表資料に基づいています。

