東京商工リサーチ(TSR)は2026年7月9日、2026年上半期(1〜6月)の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)が264件だったと発表しました。前年同期比14.7%増で、集計を開始した2013年以降で最多となりました。
発表の概要
今回の264件は、後継者不在などを理由に事業継続を断念した倒産(負債1,000万円以上)を集計したものです。従来の最多は2024年の256件で、2年ぶりに過去最多を更新しました。
内訳
要因別では「代表者の死亡」が119件(前年同期比15.5%増)、「体調不良」が107件(同15.0%増)で、両者を合わせると226件・構成比85.6%に達しました。倒産形態別では破産が254件で全体の96.2%を占め、資本金1千万円未満の小・零細企業が173件(同21.8%増、構成比65.5%)と大半を占めています。
| 区分 | 件数 | 前年同期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 代表者の死亡 | 119件 | +15.5% | ー |
| 体調不良 | 107件 | +15.0% | ー |
| 死亡・体調不良 合計 | 226件 | +15.3% | 85.6% |
| 形態:破産 | 254件 | +18.1% | 96.2% |
| 資本金1千万円未満 | 173件 | +21.8% | 65.5% |
参考 帝国データバンクの集計
同じ時期の集計として、帝国データバンク(TDB)も2026年7月8日に上半期の倒産動向を公表しています。同社調べの「後継者難」倒産は312件で、集計開始以来初めて300件を上回り過去最多を更新しました。うち「経営者の病気・死亡」を主因とするものは157件、構成比50.3%です。TSRとTDBは調査対象や集計基準が異なるため件数はそのまま比較できませんが、いずれの調査でも代表者の健康問題が後継者難倒産の主因である点は共通しています。
解説
代表者の死亡・体調不良は、本人の意思や準備とは関係なくある日突然生じるリスクです。今回の集計でも、この2つの要因だけで後継者難倒産の9割弱を占めています。後継者が決まっていない経営者にとっては、健康なうちに承継の方向性を固めておくことが何よりの備えです。後継者不在のまま経営を続けた末に廃業を選ぶケースも少なくありませんが、事業と雇用を残す選択肢としてM&Aによる第三者承継が使える場面もあります。会社売却の進め方を早めに把握しておけば、体調の変化など不測の事態が起きたときにも選べる道が広がります。
次に読む
- 後継者がいない会社の選択肢 — 後継者不在の企業がとれる具体的な対応策を解説します。
- 事業承継の選択肢まとめ — 親族内・従業員・M&Aの3つの道を比較します。
- 事業承継にかかる期間・スケジュール — 何年前から準備を始めるべきかを解説します。
出典
東京商工リサーチ「2026年上半期「後継者難」倒産」(2026年7月9日発表)、帝国データバンク「2026年上半期の全国企業倒産集計」(2026年7月8日発表)

