東京商工リサーチが2026年7月19日に公表した調査によると、2025年に「倒産」と「休廃業・解散」により市場から退出した普通法人は6万5,858社となり、集計を開始した2013年以降で最多となりました。退出率も2.17%で過去最高を更新しています。
退出法人数と退出率の概要
2025年の退出法人数(倒産+休廃業・解散)は6万5,858社で、前年比6.8%増加しました。内訳は倒産が8,795件(同2.5%増)、休廃業・解散が5万7,063件(同7.5%増)で、いずれも前年を上回りました。普通法人全体に占める退出法人の割合を示す退出率は2.17%となり、前年の2.06%から0.11ポイント上昇しています。
| 項目 | 2025年(前年比) |
| 退出法人数合計 | 65,858社(+6.8%) |
| 倒産 | 8,795件(+2.5%) |
| 休廃業・解散 | 57,063件(+7.5%) |
| 退出率 | 2.17%(前年2.06%) |
産業別の退出率
産業別の退出率は情報通信業が4.98%で突出して高く、前年の4.52%から0.46ポイント上昇し、2016年以降で最高となりました。次いで卸売業が3.06%、製造業が2.61%と続いています。
| 産業 | 退出率 |
| 情報通信業 | 4.98% |
| 卸売業 | 3.06% |
| 製造業 | 2.61% |
背景
東京商工リサーチは、倒産・休廃業ともに前年から増加した中で、後継者の不在や事業承継に課題を抱える企業を中心に休廃業・解散の増加が目立つと指摘しています。一方、倒産については金融支援や準則型私的整理手続きの拡充、M&Aの活用などにより、休廃業・解散に比べて増加率は小さかったとの分析です。
解説
今回の調査では、倒産よりも休廃業・解散の増加ペースが速いことが分かります。後継者が見つからないまま、倒産という形をとる前に静かに市場から退出する企業が多いと考えられます。5万7,000件を超える休廃業・解散の中には、事業自体はまだ続けられる状態のまま会社を畳んだケースも含まれている可能性があります。
経営者にとって見逃せないのは、廃業と売却の金銭面の差です。廃業(清算)では設備や在庫は処分価格でしか換金されず、原状回復や登記などの費用も差し引かれるため、培ってきた顧客基盤や収益力(のれん)は手取りに反映されません。一方、M&Aで会社を譲渡できれば、のれんを含めた評価で対価を受け取れる可能性があり、黒字企業では清算より手取りが多くなるケースもあります。税負担の面でも、清算時の残余財産の分配が原則としてみなし配当として総合課税の対象になるのに対し、株式譲渡の対価には原則20.315%の申告分離課税が適用されるため、手取りに差がつきやすい構造です。
そして廃業はいつでも選べますが、売却は事業が動いているうちにしか選べません。従業員が離れ、設備や在庫を処分した後では、買い手が現れても売るものが残っていないためです。退出を考え始めた段階でまず売却や第三者への承継という選択肢を検討することで、従業員の雇用や取引先との関係を守りながら、廃業より多くの手取りを残せる可能性があります。実際の手取り額の考え方は会社売却の手取りで解説しています。

