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サーチファンドとは?個人が会社を買う承継の新手法

サーチファンドとは?個人が会社を買う承継の新手法|M&A Times

後継者が見つからないまま、譲渡先の選択肢を探している経営者は少なくありません。M&Aというと同業他社やファンドへの売却をイメージしがちですが、近年は個人の買い手による事業承継の手法として「サーチファンド」が注目され始めています。本記事では、サーチファンドの仕組みと日本での広がり、譲渡先として検討する際の注意点を解説します。

サーチファンドとは

結論から言うと、サーチファンドとは、経営者になることを志す個人(サーチャー)が投資家から資金を集めて譲渡先企業を探し、買収後は自らその企業の経営者として就任する仕組みです。1984年に米国のビジネススクールで生まれた手法とされ、日本では後継者不在に悩む中小企業向けの事業承継の選択肢として広がり始めています。

サーチファンドの買い手は投資ファンドそのものではなく、企業を探す個人です。中小企業M&Aの買い手の類型の中では、サーチャーは同業他社やファンドとは異なる、比較的新しい買い手層に位置づけられます。譲渡後は雇われ経営者ではなく、株主として経営に責任を持つ点が特徴です。

サーチファンドの流れ

サーチファンドは、資金調達から企業探索、買収、経営、イグジットまで数年単位で進みます。譲渡する経営者から見ると、買い手があらかじめ会社を決めて買いに来るのではなく、まず個人が投資家から活動資金を集めてから譲渡先を探す点が、一般的なM&Aと異なります。流れを整理すると、次のとおりです。

ステップ主な内容
資金調達(サーチ資金)サーチャーが投資家から、企業を探すための当面の活動資金を集めます。
企業探索集めた資金をもとに、譲渡意向のある中小企業を探し、経営者との面談を重ねます。
買収譲渡先が決まると、投資家からあらためて買収資金を調達し、株式を取得します。
経営サーチャー自身が新しい経営者として会社に入り、数年単位で経営にあたります。
イグジット企業価値を高めた後、数年後に株式を売却するなどして投資家に利益を還元します。

投資ファンドが企業を丸ごと経営することは基本的にありません。1人のサーチャーが1社を買い、自ら経営する点が、複数の投資先に資金を分散し外部から経営陣を送り込むことが多いPEファンドとの大きな違いです。

日本におけるサーチファンドの広がり

一般社団法人日本サーチファンド協会によると、同協会は2025年3月に設立され、「日本におけるサーチファンドエコシステムの発展に貢献し、社会に新たな価値を生み出す」ことを目的に掲げています。志ある起業家が中小企業の承継と成長に挑戦できる環境を育みながら、事業承継に悩む企業に新たな選択肢を届けることを目指すとしています。

2026年6月に開催された「サーチファンドサミット2026」の開催報告によると、当日は100名超が参加し、全国約50行の地域金融機関が集まりました。基調講演では金融庁が、サーチファンドを「経営人材と企業を一体として捉え、企業の存続と成長を実現しようとする枠組み」と位置づけています。サミットでは、地域によっては中小企業の後継者不在率が6割を超えるとの指摘もあり、サーチファンドが人材難と承継難を同時に解決する選択肢として期待されていると報告されています。

東京都は2024年度から、サーチファンドを活用した中小企業の事業承継支援事業を開始しました。都の発表によると、都が出資してサーチファンドを設立し、民間資金とあわせて後継者不在の中小企業への出資とハンズオン支援を行う仕組みです。

地域金融機関の取り組みも活発です。YMFGキャピタルは2019年に国内で初めてサーチファンド事業に着手した金融機関グループとされ、2025年には同社取締役が日本サーチファンド協会のアドバイザーに就任したと発表しています。

サーチファンドを運営するGrowthix Investment(現・Fore Bridge)が2024年1月に公表した「サーチファンド白書2023年」によると、2023年の国内サーチファンドによる投資実行件数は9件で、過去最多を記録したとされています。

サーチファンドを譲渡先に選ぶときの注意点

サーチャーは、譲渡先の業界について必ずしも経験があるとは限りません。譲渡後の企業運営を任せる相手として、事前の面談や事業計画の確認を通じて相性を見極める必要があります。

買収資金は投資家からの出資に加えて金融機関からの借入を組み合わせるケースもあり、譲渡後の会社の財務体質に影響する可能性があります。契約前に資金調達の構成を確認しておくとよいでしょう。

サーチファンドを通じた事業承継にかかる費用や期間は、案件ごとの個別性が大きく、一律の相場は確認できません。継続的な支援体制の有無や譲渡までのスケジュール感については、個別の運営会社や日本サーチファンド協会などの窓口に確認することをおすすめします。従業員の雇用維持や処遇についても、他のM&Aと同様に事前に方針をすり合わせておくことが大切です。

まとめ

  • サーチファンドは、個人のサーチャーが投資家の資金で譲渡先を探し、自ら経営者として承継する手法です。
  • 日本では2025年の協会設立や地域金融機関の参入など、支援体制の整備が進んでいます。
  • 譲渡先として検討する場合は、サーチャーの経験や資金調達の構成、雇用方針を事前に確認することが重要です。

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