JDSC(東証グロース・証券コード4418)は2026年8月14日、連結子会社メールカスタマーセンター株式会社(MCC)の全株式をラクスル株式会社へ譲渡すると発表しました。譲渡価額は27億円で、株式譲渡実行日は2026年10月1日を予定しています。
発表の概要
MCCは東京都中央区築地に本社を置く1999年7月2日設立のダイレクトメール発送代行会社です。JDSCは2023年10月にMCCを完全子会社化し、以降マーケティング活用による事業変革やグループ内クロスセルを進めてきました。MCCの2026年6月期業績は売上高178.47億円・営業利益1億円・当期純利益0.53億円・純資産8.65億円です。
今回JDSCはこの全株式(A種類株式100株)を、印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」を運営するラクスル株式会社(東京都港区・2009年設立・代表取締役社長 グループCEO 永見世央氏)へ譲渡する契約を8月14日付で締結しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元(売り手) | 株式会社JDSC(東証グロース4418・代表取締役 加藤聡志氏) |
| 取得対象 | メールカスタマーセンター株式会社(MCC・東京都中央区築地・1999年7月2日設立・代表取締役 太田淳一郎氏) |
| 事業内容 | ダイレクトメール発送代行業 |
| スキーム | 株式譲渡(全株式・A種類株式100株) |
| 取得価額 | 27億円(2,700百万円) |
| 契約締結日 | 2026年8月14日 |
| 株式譲渡実行日 | 2026年10月1日(予定) |
背景
JDSCは2023年10月にMCCを完全子会社化し、マーケティング活用による事業変革とグループ内クロスセルを進めてきました。2025年4月の郵便料金改定に伴い一時的に取引量が減少し減収の影響を受けましたが、既存顧客の平均粗利率約3%に対し、直近1年で新規獲得した顧客の平均粗利率は約8%に改善するなど高付加価値商材の拡大に注力しています。
企業のAI投資が急拡大し、AIエージェント開発を中心としたAX(AI Transformation)やフィジカルAIが成長分野として注目される中、JDSCはAI技術の活用・実装支援への引き合い増加に対応するため経営資源を配分し直し事業ポートフォリオを最適化する必要があると判断しました。またラクスルとの交渉の結果、MCCとしてもラクスルグループのプラットフォームのもとでダイレクトメールの配送体制を整備することが事業価値向上につながると判断しました。
ラクスルは公式サイト「M&Aの実施方針」で、印刷や広告などの既存領域・周辺領域でのサービス強化と「BtoB受発注プラットフォーム」の構築を方針に掲げ、「オポチュニティーベースで検討・実施するのではなく、連続的かつ戦略的に年間数件以上実施していきたい」としています。過去のM&A一覧には2025年7月に取得したダイレクトメール発送・封入封緘を手がける株式会社メーリングジャパンも含まれており、本件はダイレクトメール領域の買収を重ねる方針の一環と位置づけられます。
今後の予定
本件は2026年9月28日開催予定のJDSC第8期定時株主総会で本件株式譲渡が可決承認されることを実行条件としており、株式譲渡実行日は同年10月1日を予定しています。国内外の競争法当局のクリアランス等の状況により実行日が変更となる可能性があります。
MCCは2027年6月期第2四半期以降JDSCの連結対象から除外される予定で、関係会社株式売却益として連結ベースで約4.5億円、個別ベースで約4.1億円の特別利益計上を見込んでいます(いずれも現時点の概算で変動する可能性があります)。これを踏まえたJDSCの2027年6月期連結業績予想は売上高110億円・営業利益9.5億円で、前期実績(売上228.33億円・営業利益6.4億円)から規模が縮小する見通しです。
解説
今回は売上高178億円に対し営業利益1億円という水準の事業に、27億円の譲渡価額がついた事例です。単体の損益だけでなく配送インフラとしての価値や譲渡先とのシナジーが評価に反映されたと考えられます。
また、AI関連事業への投資を優先する企業が物流・DM発送など周辺子会社を手放す動きは、今後も広がる可能性があります。事業の一部を切り出すカーブアウトに限らず、子会社を丸ごと株式譲渡する形でも、経営資源を成長領域へ再配分する目的は共通しています。自社の一部門・子会社の譲渡を検討する経営者にとって、譲渡先選びの視点を学べる事例といえます。詳しい進め方は会社売却の進め方完全ガイドで解説しています。
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※本記事は2026年8月14日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

