M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約3分

,

abc、株式交付でFar East Innovators子会社化へ

abc、株式交付でFar East Innovators子会社化へ|M&A Times

abc株式会社(コード8783・東証スタンダード市場)は2026年8月21日、株式会社Far East Innovators(以下FEI社)を株式交付により子会社化すると発表しました。簡易株式交付のためabcの株主総会承認は不要です。

発表の概要

FEI社は東京都渋谷区の企業で、2021年7月28日設立・従業員1人の会社で、笠松晃太郎氏が代表取締役を務めます。インフルエンサーやIPを起点に商品化・イベント・ECを横断展開し「GANMA!」「マンガワン」などの実績があります。2026年5月期の売上高は4,697万円で当期純損失は1,117万円、純資産は1,512万円のマイナスで債務超過でした。

項目内容
譲渡元(既存株主)FEI社の既存株主6名
取得対象株式会社Far East Innovators(FEI社)
事業内容インフルエンサー・IPマネタイズ事業(グッズ販売等)
スキーム簡易株式交付(会社法816条の4第1項、abcの株主総会承認不要)
交付比率FEI社株式1株につきabc株式111株
取得株式数・比率6,885株(発行済13,500株の51.0%)
新株発行数(下限)・希薄化率普通株式764,235株/1.84%
譲渡申込期日2026年9月9日(予定)
効力発生日2026年9月11日(予定)

背景

本株式交付の目的についてabcは、新設準備中の合弁会社「Crawford Production Japan」の「メディア・ライブイベント事業」とのシナジー創出、IPマネタイズ機能の内製化、ストック型収益基盤の強化を挙げています。合弁は現在最終協議中です。

FEI社の笠松晃太郎代表取締役はabcの執行役員と子会社CAMELOTの代表取締役を兼務するため、abcは同氏を買い手側の意思決定プロセスから隔離しました。第三者算定機関の東京フィナンシャル・アドバイザーズ(TFA)はabc株式を市場株価法で65〜123円、FEI株式をDCF法で6,613〜8,083円と算定し、abcはこの結果を踏まえ交付比率を1対111と決定しています。

abcは旧GFAから2025年9月1日に商号変更した企業です。2026年4月付の会社概要資料はCulture & Entertainment領域に「アスリート支援、ライブ・ナイトカルチャー、NFTアート・コミュニティ形成」を掲げており、本件はこの方針の延長線上に位置づけられます。なおabcは、FEI社の債務超過は新規事業への先行投資と大型スポット案件の一巡による一時的なものであり、SaaS事業の契約獲得などで業績の回復基盤が整いつつあると説明しています。

今後の予定

abcは2026年9月9日を株式の譲渡申込期日、9月11日を株式交付の効力発生日として手続きを進める予定です。手続きの進行上の必要性などにより日程が変更される場合があるとしています。

解説

株式交付は2021年3月施行の改正会社法(令和元年改正)で新設された比較的新しい手法です。買い手企業は現金でなく自社株式を対価に議決権の過半数を取得でき、完全子会社化が前提の株式交換とは異なる設計が可能です。

売却を検討する経営者には、対価を現金だけでなく買い手企業の株式で受け取る選択肢がある一例で、株式で受け取る場合は買い手企業の株価変動リスクを負う点にも留意が必要です。売却対価の受け取り方も含めて条件を整理する際は会社売却の準備・磨き上げの進め方も参考にしてください。

次に読む

※本記事は2026年8月21日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典