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DCF法とは?計算の流れと具体例で解説

DCF法とは?計算の流れと具体例で解説|M&A Times

企業価値評価の代表的な手法のひとつに、DCF法があります。対象企業の将来の収益力をもとに理論的な価値を算定できる一方、前提の置き方によって結果が大きく変わる点には注意が必要です。本記事では、DCF法の考え方と計算の流れを、架空の設例を交えて解説します。

DCF法とは

DCF法(Discounted Cash Flow法、割引キャッシュフロー法)とは、対象企業が将来生み出すと見込まれるキャッシュフロー(現金創出力)を、一定の割引率で現在の価値に割り引くことで、企業価値を算定する評価手法です。英語名の頭文字をとってDCF法と呼ばれ、ファイナンス理論における「将来のお金は現在のお金より価値が低い」という割引現在価値の考え方を、企業価値の算定に応用したものといえます。

例えば、架空のA社が1年後に1億円のフリーキャッシュフロー(FCF、事業が生み出す自由に使える現金)を生み出すと見込まれ、割引率を8%と仮定すると、その1年後の1億円の現在価値は「1億円 ÷ (1 + 0.08)」で計算され、約9,259万円と評価されます。DCF法では、この計算を将来複数年分について行い、合計することで事業価値を求めます。なお、ここでの割引率8%はあくまで説明のための仮の数値であり、実際の水準は企業ごとに異なります。

計算の流れ

DCF法の計算は、大きく分けて次のようなステップで進みます。

ステップ内容
1. 将来FCFの予測事業計画から5年程度のFCFを見積もる
2. 割引率(WACC)の設定株主と債権者の要求収益率を加重平均
3. 現在価値への割引各年のFCFをWACCで割り引く
4. 残存価値の加算予測期間以降の価値を算定して加える
5. 事業価値の算出割引後FCFと残存価値の合計
6. 株式価値の算出非事業用資産を加え有利子負債を控除
DCF法の計算手順。将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引き、株式価値まで算出する

割引率(WACC)をめぐる留意点

割引率として用いられるWACC(加重平均資本コスト)の水準は、業種・企業規模・資本構成・その時々の市場環境によって変動するため、一律の目安を示すことは適切ではありません。同じ将来FCFの予測であっても、割引率の設定次第で算定される企業価値は大きく変わるため、前提の妥当性を確認することが欠かせません。こうした前提の置き方も含め、DCF法は企業価値評価の一手法として位置づけられています。

実務での意味

買い手にとって

DCF法は事業計画の内容次第で算定結果が大きく変わるため、買い手にとっては、提示された将来FCFの予測が実現可能な水準かどうかを見極めることが重要になります。デューデリジェンス(買収前調査)を通じて事業計画の前提や収益力の実態を確認したうえで、割引率の設定を含めて評価の前提を検証する姿勢が求められます。

売り手にとって

DCF法は理論的な裏付けのある算定方法ですが、算出された金額がそのまま交渉の落としどころになるとは限りません。前提となる事業計画が楽観的すぎると買い手から指摘を受けることもあるため、実現性のある計画をもとに説明できるよう準備しておくことが望まれます。実務では、類似会社の取引倍率をもとに評価するマルチプル法などと併用され、複数の手法から相場観を確認することが一般的です。

まとめ

  • DCF法は、将来のキャッシュフローを割引率で現在価値に換算し、企業価値を算定する手法
  • 割引率(WACC)の水準は企業ごとに変動するため、前提の妥当性を確認することが重要
  • 実務では事業計画の実現可能性が問われ、マルチプル法など他の評価手法と併用されることが多い

次に読む

  • マルチプル法とは:DCF法と並ぶもう一方の主要な評価手法で、考え方の違いを比較できます
  • 企業価値評価とは:DCF法を含む評価手法全体の位置づけを理解できます
  • EBITDAとは:DCF法やマルチプル法の基礎となる収益指標です