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Orchestra Holdings、Sharing Innovationsを株式交換で完全子会社化へ 11月に上場廃止

Orchestra Holdings、Sharing Innovationsを株式交換で完全子会社化へ 11月に上場廃止|M&A Times

Orchestra Holdings(6533・東証プライム市場)は2026年8月25日、連結子会社の株式会社Sharing Innovations(4178・東証グロース市場)を株式交換により完全子会社化すると発表しました。Sharing Innovations株式は同年11月26日に上場廃止となる予定です。

発表の概要

Sharing Innovationsは2008年6月設立のソフトウェア開発会社で、2019年に立ち上げたSalesforce製品の導入支援(クラウドインテグレーション事業)が急成長し会社の成長をけん引してきました。このほか企業のデータ活用を支援するBIツールの導入・運用サポートや、占い師とユーザーがリアルタイムでやり取りできるオンラインチャット占いアプリ「ウラーラ」の企画・運営も手掛けています。Orchestra Holdingsは2017年6月に同社(当時の商号は株式会社あゆた)の全株式を取得して連結子会社化しており、2021年3月の上場を経て2026年8月25日時点で株式の71.46%(2,675,000株)を保有しています。

項目内容
対象会社(株式交換完全子会社)株式会社Sharing Innovations(東証グロース・証券コード4178)
株式交換完全親会社株式会社Orchestra Holdings(東証プライム・証券コード6533)
スキーム株式交換(Orchestra Holdings側は会社法796条2項に基づく簡易株式交換)
割当比率Sharing Innovations株式1株につきOrchestra Holdings株式0.478株
交付する株式数510,791株(予定・Orchestra Holdingsの自己株式を充当)
割当対象外の株式Orchestra Holdingsが保有するSharing Innovations株式2,675,000株には割当を行わない
算定機関Orchestra Holdings側:株式会社SBI証券/Sharing Innovations側:株式会社赤坂国際会計(固定報酬のみ)
特別委員会Sharing Innovationsが設置し、2026年8月24日付で答申書を取得
取締役会決議・株式交換契約締結日2026年8月25日(両社)
Sharing Innovations臨時株主総会(予定)2026年10月26日
最終売買日/上場廃止日(予定)2026年11月25日/2026年11月26日
効力発生日(予定)2026年11月30日

背景

完全子会社化を決めた理由についてOrchestra Holdingsは、生成AIの普及や顧客ニーズの高度化、IT人材の獲得競争の激化などDX事業を取り巻く環境の変化に迅速に対応するため、グループ内の経営資源を一体的かつ効率的に活用する必要があるためと説明しています。上場子会社のままでは少数株主への配慮から経営資源の相互活用や両社間の取引、投資判断に一定の制約が生じ得る一方、完全子会社化すれば両社の利害を一致させ意思決定を速められるという経緯からです。そのうえで両社は株式交換後の施策として、開発・営業リソースの相互活用による大規模案件への対応力強化、人材・技術ノウハウの共有による開発品質・生産性の向上、顧客基盤の相互活用によるクロスセルなどのシナジーを想定しています。

一方のSharing Innovations側にも、完全子会社化を受け入れる事情があります。急成長を支えたクラウドインテグレーション事業は2022年頃から中小企業向けSalesforce製品の需要が一巡し、2024年以降は新卒採用も見送ったため生え抜き人員が減少傾向となりました。データ活用やAI、ITコンサル領域の新規事業も、会社全体の業績をけん引するには至っていません。売上・利益の縮小と投資余力の減少が続くなか、2026年2月13日には外部環境の変化や代表取締役社長の交代など中期経営計画策定時に想定していた前提条件との乖離を理由に、中期経営計画の取り下げを公表しています。

加えて上場維持コストとして年間4,000万円から5,000万円程度を要しており、東京証券取引所が公表した「親子上場等に関する投資者の目線」(2025年2月4日)等も踏まえ、2026年6月29日にOrchestra Holdingsから完全子会社化に係る初期的意向表明書を受領し、完全子会社化の具体的な影響の検討を開始しました。

買い手であるOrchestra Holdingsの経営戦略から見ると、本件はM&Aで広げたグループの再編に当たります。同社は2026年8月14日公表の「2026年12月期第2四半期決算説明資料」にて、創業時から一貫して、基本戦略として「M&Aの積極活用」を掲げていると説明しています。同資料によれば創業以来約30件のM&Aを実行してきたとしており、2026年5月にはシステム開発のSALTO株式会社を約17.2億円(デューデリジェンス諸費用含む)で完全子会社化しました。採用及びM&Aを通じた人的基盤の拡充をDX事業の成長戦略に位置づけており、グループ管理上はSharing Innovationsを含む3社を「SIグループ」と区分しています。

なお、一度全株式を取得したのち保有比率71.46%となったのは、2021年3月の上場に際してOrchestra Holdingsが保有株式985,000株を売り出すとともにSharing Innovationsの新株発行が行われたことに由来します。その後は新株予約権の行使や自己株式取得を経て、現在の水準となっています。

今後の予定

Sharing Innovationsは2026年9月10日を基準日として、同年10月26日に臨時株主総会を開催し本株式交換契約の承認を諮る予定です。承認を受けた場合、Sharing Innovations株式は2026年11月25日を最終売買日として同月26日に東証グロース市場で上場廃止となり、株式交換の効力発生日は同年11月30日を予定しています。Orchestra Holdings側は会社法796条2項に基づく簡易株式交換の手続きにより、株主総会決議を経ずに本株式交換を行う予定です。

解説

本件は買収した子会社を上場させた後、事業環境の変化に応じて非公開化するという買い手の資本政策の一例です。

Sharing Innovationsは2017年にOrchestra Holdings(当時デジタルアイデンティティ)の完全子会社となり、2021年に信頼性の向上や資金調達を目的に上場しましたが、主力事業の市場成長鈍化を受けて業績が縮小し、また年4,000万円から5,000万円程度を要する上場維持コストが経営課題ともなり、今回の上場廃止の決定へと至りました。

こうした親子上場の解消は本件に限りません。東京証券取引所は「親子上場等に関する投資者の目線」(2025年2月)や「親子上場等に関する事例集」(2025年12月)を公表しており、Sharing Innovationsもこれらの資料や上場子会社数の推移を確認する中で完全子会社化を選択肢として検討したと開示で説明しています。少数株主に配慮した意思決定の手続や上場維持費用を抱え続けるより、株式を買い戻して経営資源をグループで一体運用する方が企業価値の向上につながるという判断であり、本件はこの流れを映す事例といえます。

また、上場子会社の完全子会社化における対価の妥当性を確保する仕組みとして特別委員会と第三者算定機関が機能したことも本件から読み取ることができます。本件では当初1株当たり0.475株とする株式交換比率の提案に対し特別委員会が一般株主にとって公正と判断できない水準だと意見を示し、最終的に0.478株で合意された経緯が開示されています。

グループ内に上場子会社を持つ経営者にとっては、上場維持コストやガバナンス対応の負担を定期的に点検し、資本関係の見直しを資本政策の選択肢として備えておくことが重要と言えるでしょう。

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出典

※本記事は2026年8月25日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。