2026年9月1日、家電量販店を運営するノジマ(証券コード7419・東証プライム上場)は、宅配便大手ヤマトホールディングス(証券コード9064)の連結子会社だったヤマトクレジットファイナンス(東京都豊島区)の株式取得を完了したと発表しました。資金調達目的で設立したSPCを通じ発行済株式の70%を取得しています。
発表の概要
ヤマトクレジットファイナンスは1974年8月設立の金融会社で、個別・包括信用購入あっせんによるクレジット事業のほか企業間の売掛決済代行、売掛金・動産を担保にした融資、集金代行を手がけています。2025年3月期は売上高38億46百万円で、営業損益は71百万円の赤字ながら経常利益48百万円・当期純利益872百万円を計上しており、純資産は172億80百万円となっています。営業損失は2023年3月期の4億18百万円から2024年3月期の3億56百万円、2025年3月期の71百万円へと縮小してきました。株式取得前の株主構成はヤマトホールディングスが70%、ヒューリックが25%、みずほ銀行が5%です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元(売り手) | ヤマトホールディングス株式会社(証券コード9064) |
| 取得対象 | ヤマトクレジットファイナンス株式会社(東京都豊島区)の発行済株式70%(589,400株) |
| 事業内容 | クレジット(個別・包括信用購入あっせん)、企業間売掛決済、売掛金・動産担保融資、集金代行 |
| スキーム | ノジマの完全子会社として設立したSPC「株式会社NJM5」を通じた株式譲受け |
| 取得価額 | 普通株式(概算)35億円+アドバイザリー費用等(概算)43百万円=合計(概算)35.43億円 |
| 契約締結日 | 2026年5月14日 |
| 株式譲渡実行日 | 2026年9月1日 |
背景
子会社化の目的についてノジマは、家電販売とヤマトクレジットファイナンスの金融機能を一体化したビジネスモデルの構築を掲げています。販売・決済・回収を一体化したサービスの提供により顧客の利便性を高めるとともに、ヤマトクレジットファイナンスが手がけてきた企業間の売掛決済や集金代行などのBtoB事業の拡大につなげる考えです。
一方で売り手ヤマトホールディングス側は今回の子会社化は、「稼ぐ力」の再構築を優先課題とする事業ポートフォリオの見直しの一環と説明しています。IT決済事業者等との競争が激しさを増すなかヤマトクレジットファイナンスの成長と競争力強化にはAI等への継続的なシステム投資と金融実務ノウハウの拡充が不可欠である中、グループ外のパートナーへ事業を承継するのが最適と判断したとしています。
本件により2027年3月期第2四半期に関係会社株式売却損として約90億円を特別損失に計上する見込みで、親会社株主に帰属する当期純利益への影響として約80億円の減少を見込んでいます。あわせてヤマトクレジットファイナンスが連結の範囲から外れることで同社の有利子負債316億円(2026年3月末時点)がヤマトHDの連結バランスシートから外れ、グループの投下資本が圧縮されます。ヤマトHDは本件により財務体質の改善を進め、解放される経営資源の最適配分で資本収益性(ROIC)の改善につなげるとしています。
新体制と業績への影響
株式譲渡の実行と同日付の臨時株主総会で、ヤマトクレジットファイナンスは商号を「Nクレジットファイナンス」に変更しました。代表取締役社長には執行役員事業統括部長だった永田輝巳氏が就任し、本山裕二氏は退任となりました。ノジマは今回の子会社化による2027年3月期業績への影響は軽微としています。
解説
本件はヤマトホールディングスが関係会社株式売却損約90億円を計上してでも、ヤマトクレジットファイナンスの有利子負債316億円をオフバランスして投下資本を圧縮する道を選んだと自ら位置づける、大手グループによる金融子会社カーブアウトの完了案件です。買い手のノジマは資金調達目的のSPCを介して70%を取得し、実行と同日に商号変更と経営体制の刷新まで済ませており、クロージング当日からPMIの初動を進めた形です。
会社の譲渡先を選ぶ際は、価格だけでなく譲渡実行後にどれだけ早く新体制へ移行できる相手かも判断材料になります。譲渡の進め方を具体的に知りたい方は会社売却の進め方完全ガイドもあわせてご覧ください。
※本記事は2026年9月1日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典
- ノジマ「ヤマトクレジットファイナンス株式会社の子会社化完了並びに商号変更及び代表取締役の異動に関するお知らせ」(ノジマ、2026年9月1日)
- ノジマ「ヤマトクレジットファイナンス株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(ノジマ、2026年5月14日)
- ヤマトホールディングス「連結子会社の異動(株式譲渡)に伴う特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ」(ヤマトホールディングス、2026年5月14日)
- ノジマ「ヤマトクレジットファイナンス株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(ノジマ、2026年5月14日)

