M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約4分

,

JRC、し尿処理ポンプ保守のナンヨートレイディングを孫会社化

JRC、し尿処理ポンプ保守のナンヨートレイディングを孫会社化|M&A Times

コンベヤ部品の製造・販売を主力とするJRC(東証グロース市場・証券コード6224、大阪市西区、代表取締役社長:浜口稔氏)は2026年9月14日、連結子会社のJRC E&E(川崎市幸区)が水処理施設向け特殊ポンプの保守メンテナンスを手掛けるナンヨートレイディング(東京都文京区)の全株式を取得し孫会社化すると発表しました。

発表の概要

ナンヨートレイディングは東京都文京区の企業で、水処理施設向け特殊ポンプの販売・設置・保守メンテナンスを手掛けています。1965年3月19日の設立から約60年の業歴を持ち、主に静岡から青森にかけての東日本エリアでし尿処理施設等約100施設の保守・更新業務を担っています。

2025年10月期の売上高は3億35百万円、当期純利益は49百万円でした。同社の資本金はJRCの資本金の10分の1以上に相当するため、JRCの特定子会社に該当します。

項目内容
譲渡元(売り手)複数の個人株主(守秘義務により非開示)
取得対象株式会社ナンヨートレイディング(東京都文京区)
事業内容水処理施設向け特殊ポンプの販売・設置・保守メンテナンス
スキームJRC E&E(JRCの連結子会社)による全株式60,000株の取得・孫会社化
取得価額非開示(DCF法による第三者評価機関の株式価値算定範囲内で協議し決定)
契約締結日2026年9月14日
株式譲渡実行日2026年10月1日(予定)

背景

本株式取得の目的についてJRCは、環境・発電プラント向け機器の設計・製作・据付・メンテナンスを一貫して手掛けるJRC E&Eにとって、今回の買収によってこれまで限定的だったし尿処理施設市場への参入を実現できるとしています。また、グループ各社の技術・サービス機能とナンヨートレイディングの顧客基盤・販売メンテナンス機能を組み合わせることで、下水・し尿処理施設における受注機会の拡大と周辺設備を含む提供サービスの拡充を目指す方針です。

買い手となるJRC E&Eの成り立ちを補足すると、同社は2026年3月1日に高橋汽罐工業を存続会社としてJRC C&Mとセイコーテックを吸収合併し商号を変更して発足した従業員150名規模の総合エンジニアリング会社で、環境・エネルギー・産業プラント分野の設計・製造・据付工事からメンテナンスまでを担っており、本件によりこの対応範囲にし尿処理施設が加わります。

JRCは自社の中期経営計画(2026年2月期〜2028年2月期)で、環境プラント事業のM&A目的として「設計・製作・据付・メンテナンスのワンストップ体制強化」「バリューチェーン隣接領域の取り込み」「設計・生産能力・エリアの拡大」を挙げており、「M&Aを活用し、既存事業とシナジーのある分野へ進出」する方針を示しています。同社推計で400億円規模の水処理施設市場における自社シェアは1.4%、施設カバー率は0.5%と示しており、ナンヨートレイディングの取得はこの隣接領域への進出方針に沿うものです。

今後の予定

株式譲渡の実行日は2026年10月1日を予定しています。連結業績への影響についてJRCは現段階では軽微とし、今後必要が生じた際には内容を速やかに開示するとしています。

解説

本件は売上高3億35百万円、営業利益70百万円規模で業歴約60年の企業について、複数の個人株主が全株式を譲渡した事例です。取得価額は非開示ですが、DCF法による第三者評価機関の算定範囲内で決定されており、JRCが挙げる取得目的にはナンヨートレイディングの顧客基盤や販売・メンテナンス機能の活用が含まれます。開示では同社の特徴として、東日本エリア約100施設の保守・更新業務と主要メーカー各社との安定した仕入・協力関係を挙げています。

本件でJRCが顧客基盤と保守機能を取得目的に挙げたように、継続的な保守業務と地域の顧客基盤は買い手の評価対象になります。相手先の提案を受けた際に自社の強みをどう伝えるかを考えるうえでも、こうした評価軸を把握しておくことが交渉の材料になります。詳しい進め方は会社売却の進め方完全ガイドをご参照ください。

次に読む

※本記事は2026年9月14日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典