ブッキングリゾート(東証グロース324A、「宿泊業界をUP DATE」をビジョンに掲げる宿泊施設の開発・集客・運営会社)は2026年10月8日、ペットと泊まれる本格温泉宿「阿蘇温泉御宿小笠原」を運営する株式会社おがさわらの全株式を株式譲渡により取得し、子会社化すると発表しました。
発表の概要
おがさわら(熊本県阿蘇市、代表取締役・小笠原幸信、設立2008年4月1日)は全室が離れの一戸建てで天然温泉付きの、ペットと泊まれる温泉宿「阿蘇温泉御宿小笠原」を運営しています。
2026年3月期の売上高は2億400万円、営業利益1,100万円、当期純利益900万円、純資産は5,800万円で、従業員数は23名(2026年9月30日現在)です。
売上高は過去3期とも2億円前後で推移し、営業利益は2025年3月期の2,200万円から半減しています。株主は代表取締役の小笠原幸信氏80.0%、小笠原通子氏10.0%、小笠原明氏10.0%です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元(売り手) | 小笠原幸信(80.0%)・小笠原通子(10.0%)・小笠原明(10.0%)の個人3名 |
| 取得対象 | 株式会社おがさわら(熊本県阿蘇市、代表取締役・小笠原幸信) |
| 事業内容 | 宿泊施設(阿蘇温泉御宿小笠原)の運営 |
| スキーム | 株式譲渡(取得株式数100株、議決権所有割合100.0%) |
| 取得価額 | 株式取得価額1億4,700万円+アドバイザリー費用等2,600万円(合計1億7,300万円)。決済は手許現預金を充当 |
| 契約締結日 | 2026年10月8日 |
| 株式譲渡実行日 | 2026年11月2日(予定) |
背景
子会社化の理由についてブッキングリゾートは、自社の集客ノウハウ・デジタルマーケティング力とおがさわらの温浴・ペット共生型宿泊施設の運営ノウハウを融合し、施設の付加価値向上と収益力強化を図るためとしています。
同社の成長戦略上の本件の意義として、阿蘇エリアで高い集客力を持つおがさわらを迎えて九州における集客支援事業の拠点を確保すること、温泉付きペットリゾートの運営・ブランド構築のノウハウを全国のグランピング・リゾート施設の集客支援や「施設再生・リセール事業」のバリューアップ提案に水平展開すること、おがさわらのブランドと自社の集客基盤を連動させて全国のパートナー施設に「集客・売上アップの成功モデル」を示すことの3点を挙げています。
なお2026年7月28日に発生した熊本地震については一時的なキャンセル等が出たものの影響は限定的で速やかに解消したとし、本件の事業価値と中長期的な収益性への影響は軽微と説明しています。
ブッキングリゾートは2026年7月公表の「事業計画及び成長可能性に関する事項」で、ペットと泊まれる宿を探す人が最初に思い浮かべるサービスになること(同社の表現では「第一ブランド想起」)を集客支援事業の目標に掲げています。業界初のペットツーリズム専門の集客サービスという立ち位置を土台に、新規開発施設の獲得と既存宿泊施設のペット同伴可へのリブランドで掲載施設を増やす方針です。
また同資料では「施設再生・リセール事業」を新たなセグメントに位置づけています。遊休資産や小規模旅館などを自ら取得し、改装と自社プラットフォームの集客で黒字化してから事業会社や不動産投資家に売却し、売却後も集客手数料を得続ける事業です。
第1号案件「DOG VILLA 伊豆 悠泉」は2027年4月期中の開業とリセールを予定しています。今回の子会社化はこの事業とつながっており、おがさわらで得る温泉付きペットリゾートの運営・ブランド構築のノウハウを、再生対象施設のバリューアップの提案力強化に水平展開するとしています。
今後の予定
本件が2027年4月期の連結業績に与える影響についてブッキングリゾートは精査中とし、開示すべき事項が生じた場合は速やかに公表するとしています。株式譲渡の実行日は2026年11月2日(予定)です。
解説
小笠原幸信氏ら個人株主3名から全株式を取得する価額は1億4,700万円(別途アドバイザリー費用等2,600万円)で、2026年3月期の純資産5,800万円の約2.5倍、当期純利益900万円の約16倍にあたります(編集部試算・算定根拠は非開示)。同規模の中小企業の成約中央値はPBR1.2倍・PER11.1倍で、利益倍率は成約のばらつきの範囲内です(規模別の実測PBR・PER・ホテル・旅館の売却相場)。
ブッキングリゾートは開示で「阿蘇温泉御宿小笠原」を「ペットと泊まれる本格温泉宿として高いブランド力と実績を誇る」と評価し、阿蘇エリアでの集客力から九州の集客支援事業の「フラッグシップハブ(拠点)」と位置づけています。
直近期に減益となった年商2億円規模の宿でも、立地やブランド、運営ノウハウが買い手の戦略上の拠点として評価されれば、純資産を上回る価格が付き得ることがわかります。
減益や規模の小ささを理由に売却を諦める前に、自社の立地やブランドが買い手にどう評価され得るかをまず専門家に相談してみるのも一手です。M&A Timesの無料相談では状況に応じて仲介会社や専門家をご紹介しています。
※本記事は2026年10月8日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。
出典
- 株式会社ブッキングリゾート(証券コード324A)「株式会社おがさわらの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2026年10月8日)
- 株式会社ブッキングリゾート(証券コード324A)「事業計画及び成長可能性に関する事項」(2026年7月)
- 株式会社おがさわら公式サイト「阿蘇温泉御宿小笠原」

