飲食業界に特化した人材サービスを展開するクックビズ(証券コード6558)は、2026年8月19日の取締役会で、採用マーケティングツール「採用係長」を運営するネットオン(大阪府大阪市北区)を株式取得と第三者割当増資の引き受けにより連結子会社化することを決議しました。
発表の概要
ネットオンは2004年10月設立、資本金3億7,814万円の会社で、低コストかつスピーディに自社採用サイトを構築できる採用マーケティングツール「採用係長」を開発・運営するほか、アグリゲーションサイトや求人検索エンジンの代理店として運用代行サービスも手がけています。2025年9月期は純資産が△1億8,314万8千円と債務超過の状態ですが、クックビズは当事業年度において赤字幅が大幅に縮小するなど収益体質は急速に改善していると説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得対象 | 株式会社ネットオン(大阪市北区、2004年10月設立、資本金3億7,814万円、代表取締役CEO 木嶋諭氏) |
| 事業内容 | 採用マーケティングツール「採用係長」の開発・運営、アグリゲーションサイト・求人検索エンジンの代理店としての運用代行 |
| スキーム | 既存株主からの株式取得(2,257株)+第三者割当増資の引き受け(20,000株)で議決権71.0%を取得し連結子会社化 |
| 取得価額 | 株式取得の相手先との守秘義務により非開示(第三者によるデューデリジェンスと株価算定の結果を踏まえ当事者間で協議・決定) |
| 日程 | 取締役会決議・株式引受契約締結=2026年8月19日/本株式譲渡実行=2026年9月頃(予定)/第三者割当増資の効力発生=2026年12月頃(予定) |
背景
クックビズはこれまで成功報酬型の人材紹介と求人広告を中心に飲食業界向けサービスを展開してきましたが、採用予算が限られるSMB領域(主に中小飲食店舗)は十分にリーチできていなかったとしています。「採用係長」と運用代行を自社採用インフラとして組み合わせ、既存サービスと補完し合う体制を築く狙いです。
またクックビズが開示している成長可能性に関する説明資料では、SMB(10店舗未満)とエンタープライズでセールス体制を分ける方針や、投資・M&A実績(ラクミーへの第三者割当増資による1.0億円出資、きゅういちの完全子会社化1.2億円など)とともに食領域で自社と同等程度の事業規模までの企業を対象とする調査を始める方針が示されており、今回の子会社化はこの延長線上にあります。クックビズは労務クラウド「人事CREW」を運営するTECH CREWも子会社化しており、飲食業界周辺のサービス企業への投資を重ねています。
解説
ネットオンは債務超過で営業損益も赤字ですが、赤字幅の縮小という改善傾向と「採用係長」の事業基盤がクックビズの評価につながったとみられます。業績が厳しくても事業の補完性が認められれば買い手が現れる例は他にもあり、赤字会社でも売却できる?買い手がつくケースと評価されるポイントにて整理しています。
増資引受による取得分の対価は既存株主ではなく対象会社に払い込まれるため、本件は買収と同時に対象会社の資本増強を伴うスキームです。自社の強みが買い手のどの戦略を補うかを整理しておくことは、売却や資本提携を検討する経営者にとって交渉の出発点になります。
次に読む
- 第三者割当増資とは?手続き・メリットと株式の希薄化
- 赤字会社でも売却できる?買い手がつくケースと評価されるポイント
- クックビズ、労務クラウド「人事CREW」のTECH CREWを子会社化――飲食DXへ議決権79.5%を取得
※本記事は2026年8月19日時点の開示情報に基づいています。本株式譲渡は2026年9月頃、第三者割当増資の効力発生は2026年12月頃を予定しており、最新の状況はクックビズの適時開示をご確認ください。

