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レオパレス21、光通信連合のTOBで上場廃止へ 1株1,000円

レオパレス21、光通信連合のTOBで上場廃止へ 1株1,000円|M&A Times

単身者向け賃貸住宅約54万戸を管理するレオパレス21(東証プライム・8848)は2026年9月14日、株式会社K891によるTOBに賛同し応募を推奨すると発表しました。買付価格は普通株式1株1,000円です。K891は電気・ガスや通信・保険を手がける光通信とMBKパートナーズ・NECキャピタルソリューションの投資ファンドが共同運営する予定の会社で、成立後はスクイーズアウトを経て上場廃止となります。

発表の概要

レオパレス21は賃貸事業・シルバー事業・その他事業の3つを報告セグメントとし、中核の賃貸事業が自社物件と一括借上げ物件の賃貸管理や建築請負を担います。管理物件は約3分の2が法人の社宅利用です。

案件の条件一覧を見る対象会社・公開買付者・スキーム・買付価格 ほか(8項目)
項目内容
対象会社株式会社レオパレス21(東証プライム市場・証券コード8848)
公開買付者株式会社K891(2026年3月4日設立・光通信の完全子会社である株式会社K892の完全子会社)
スキームTOB後に株式併合によるスクイーズアウトを実施し完全子会社化・上場廃止
買付価格普通株式1株1,000円/新株予約権1個99,900円
買付期間2026年9月15日〜2026年10月30日(30営業日)
買付予定数の下限158,716,000株(買付け後の株券等所有割合66.36%)・上限は設定なし
買付代金267,668百万円
対象会社の意見賛同および応募推奨

背景

非公開化を提案した背景について光通信は、レオパレス21の業界における競合環境の激化と管理戸数の減少傾向を挙げ、レオパレス21が掲げる中期経営計画「New Growth 2028」の達成には更なる投資が必要だとしています。そのうえで「現在の資本構成に制限されることなく非上場化した上で改革を進めることが望ましい」と判断したとのことです。

保有の経緯を補足すると、光通信は2018年の施工不備問題で業績が悪化したレオパレス21について財務基盤は安定しているとして、2022年4月から9月にかけて純投資目的で株式を取得していました。現在は投資ファンド等を通じ59,188,300株(所有割合18.11%)を間接保有する筆頭株主となっています。

続いて買い手3社の出資構造を整理します。光通信の共同投資の打診に、1978年にNECの金融サービス会社として創設されたNECキャピタルソリューションと、東アジアでのプライベート・エクイティ投資に特化した独立系のMBKパートナーズが応じました。TOB成立後の決済開始日前に3社がK891の親会社へ出資して議決権割合は光通信が34.0%、2社のファンドが各33.0%となり、公開買付者は光通信の関連会社になります。

また価格交渉は9か月近くに及んでいます。2025年12月19日の意向表明は1株800円(直近6か月平均678円に17.99%のプレミアム)以上でしたが、特別委員会は2026年5月15日に「本源的価値を下回っており」同種事案のプレミアム水準に照らしても「不十分な価格である」として再提案を要請、価格は900円以上・950円以上と動き7月6日に1,000円が示されたという経緯です。

委員会はその後も4回の再提案を求めましたが、3社は7月6日の提案が「最大かつ最終の価格」だとして1,000円を据え置き、レオパレス21が9月10日に応諾しました。プレミアムは公表前営業日9月11日の終値657円に対し52.21%、直近6か月平均649円に対し54.08%となっています。

買い手の経営戦略から見ると本件は主力チャネルの延長線上にあります。光通信は自社の2026年3月期決算説明会で「当社の低圧チャネルの大部分は個人向けであり、その中心は不動産賃貸チャネルです」と説明しました。今回の開示でも管理物件約54万戸の入居者への電気・ガス・通信・保険等の提供をシナジーに見込んでいます。

なお同社の「統合報告書2025」は純投資を「対象会社の連結子会社化や持分法適用関連会社化を目的とするものではありません」と注記しており、本件は純投資ではなく関連会社化を目的とする取引とのことで、2025年10月28日の当初の意向伝達から関連会社化の方針が掲げられていました。

なお付随取引は2件あります。レオパレス21は完全子会社あすか少額短期保険の普通株式をA種(議決権)とB種(無議決権)の種類株式へ転換し、A種373株(議決権割合50.0%)を光通信子会社インシュラントグループへ5,000万円で譲渡します。同日にはシルバー事業のアズ・ライフケアなど2社の全株式を日本革新投資がサービスを提供するファンドを株主とするSPCへ備忘価額で譲渡する基本合意も結び、2027年3月期第2四半期に連結約3,679百万円・個別約4,048百万円の特別損失を計上する見込みです。

今後の予定

買付期間は2026年9月15日から10月30日までの30営業日です。成立後は2027年1月頃を目途に臨時株主総会を開催し、株式併合により株主を公開買付者と光通信子会社HTIOのみとする予定です(具体的な時期は決定次第公表)。あすか少額短期保険株の譲渡は11月6日、シルバー事業は9月下旬の最終契約と10月末のクロージングが目標となります。

解説・補足

本件は筆頭株主の光通信が買い手側に立つ取引で、買い手と対象会社の一般株主の利益が一致しない構図です。開示によれば、レオパレス21はこの点を踏まえて独立した特別委員会を設け、委員会は独自の第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを、会社側もみずほ証券を選任しました。委員会は2025年12月の当初提案800円(当時の6か月平均678円に17.99%)を「本源的価値を下回っており」同種事案のプレミアム水準に照らしても「不十分な価格である」として差し戻し、価格は900円以上・950円以上を経て1,000円(公表前営業日までの6か月平均649円に54.08%)に達しました。

価格の根拠として開示されたのは3つの算定機関の結果です。買い手側のSBI証券は市場株価平均法639〜657円、類似会社比較法917〜936円、DCF法1,134〜1,322円と算定し、レオパレス21が選任したみずほ証券は同じ順に639〜657円、752〜1,082円、945〜1,806円、特別委員会のプルータス・コンサルティングは639〜657円、632〜984円、955〜1,568円と算定しました。買付価格1,000円は3機関いずれのDCF法のレンジにも収まり、市場株価と類似会社比較法のレンジをおおむね上回る位置にあります。同じ会社でも手法と算定機関によってレンジが大きく異なる点は、企業価値評価の3つの算定アプローチで解説しています。

特別委員会はプレミアムの水準も同種事案と比較しました。開示が定義する同種事案は、2019年6月のM&A指針公表以降2026年3月末までに成立した国内上場企業の完全子会社化・非公開化TOBのうち、MBOやディスカウントTOBなどを除いた事例です。そのプレミアムの中央値は公表前営業日の終値比47.38%、直近6か月平均比53.14%で、本件の52.21%・54.08%はいずれも上回ります。委員会はこの比較と算定結果を踏まえて賛同を答申しています。プレミアムについてはTOBの解説で整理しています。

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※本記事は2026年9月14日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典