M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約4分

,

トリドリ、子会社トリドリISを完全子会社化へ 共同経営側の49%買い取り

トリドリ、子会社トリドリISを完全子会社化へ 共同経営側の49%を買い取り・みずほ銀行から12億円調達|M&A Times

株式会社トリドリ(東証グロース・9337)は2026年7月27日、連結子会社の株式会社トリドリISについて、同社代表取締役社長の雨瀧浩一郎氏が保有する残り49%の株式を追加取得し、完全子会社化することを取締役会で決議しました。取得対価に充当するため、みずほ銀行から財務上の特約付きで12億円を借り入れます。

発表の概要

トリドリは同日の取締役会で、連結子会社トリドリISの株式譲渡による追加取得(完全子会社化)と、取得対価に充当するための金銭消費貸借契約の締結を決議したと発表しました。トリドリグループは『「個の時代」の、担い手に。』というミッションを掲げ、Instagram・YouTube・TikTokなどSNS上で活動するインフルエンサーの支援を手がける企業です。案件の概要は次の通りです。

項目内容
対象会社株式会社トリドリIS(東京都渋谷区円山町28番1号、代表取締役社長 雨瀧浩一郎氏)
事業内容インフルエンサーマーケティング事業、インサイドセールス事業
設立2024年7月30日(資本金1,000万円)
取得の相手先雨瀧浩一郎氏(トリドリIS代表取締役社長。トリドリ株式14万株、保有割合4.24%〔2025年12月31日時点〕を保有)
取得株式数4,900株(発行済株式の49%)
取得前後の持分トリドリ51%→100%(雨瀧氏49%→0%)
取得価額非公表(守秘義務のため)
株式譲渡実行日2026年7月31日

背景

トリドリIS社はグループのセールス及びマーケティングの重要な役割を担う一方、トリドリの取締役3名が同社の取締役を兼務するなど、両社の一体性は既に高い状態にありました。開示によると、完全子会社化の理由は主に3点です。第一に、完全子会社でない現状では営業活動とリスク管理の一体的運営、統一的な意思決定に課題があったこと。第二に、IS社が持つセールス・マーケティングのノウハウが外部組織に属する出向人材に依存しており、グループ全体での可視化・共有が不十分だったことです。

第三に、連結子会社にとどまる資本構成では、グループが創出したシナジーの一部が非支配株主に帰属する構造となり、投資対効果に制約が生じていました。トリドリは100%子会社化により、代理店網やコンプライアンスの一元管理、営業教育・人材育成・代理店管理の標準化、アップセル・クロスセルなどのシナジー施策を推進するとしています。

トリドリが2025年8月に公表した決算説明資料によると、同社は中期経営計画において中堅・大手企業を対象とする「マーケティングパートナー領域」を、組織拡大とグループ間シナジーの強化により年平均22.8%で成長させる方針を掲げています。IS社の完全子会社化は、この方針に沿ったグループ体制の強化の一環と位置付けられます。

今後の予定

株式譲渡の実行日は2026年7月31日です。取得対価に充当する借入契約は、みずほ銀行を借入先として2026年7月中に締結・実行される予定で、期間は7年、担保・保証はいずれもありません。契約には財務上の特約(コベナンツ)が付されています。

項目内容
借入先みずほ銀行
借入金額12億円
金利変動金利(基準金利+スプレッド)
契約締結・借入実行2026年7月(予定)
期間7年
担保・保証無担保・無保証
財務上の特約①各事業年度末の連結貸借対照表上の純資産の部の金額をゼロ以上に維持/②連結損益計算書上の経常損益につき2期連続して経常損失を計上しない

今回の完全子会社化及び借入契約が業績に与える影響については、現在精査中としています。

解説

本件は、中小企業のM&Aや事業承継を考える経営者にとって2つの点で参考になります。1つ目は、共同経営者が保有する少数株主持分を、事業の一体運営を目的に買い取った実例であることです。自社株の分散と集約・少数株主対策株主間契約は、共同経営や出資を伴う事業立ち上げの初期段階から検討しておくべきポイントです。

2つ目は、買収資金を財務コベナンツ付きの銀行借入(無担保・無保証)で調達した実例であることです。株式譲渡の対価を自己資金だけでなく借入で賄う手法は、企業規模を問わず活用されています。なお、共同経営体制から完全子会社化に移行する背景には一般に経営権の明確化やガバナンス強化などの事情が考えられますが、本件での具体的な事情は公表されていません。

次に読む

※本記事は2026年7月27日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典