M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約4分

株主間契約(SHA)とは?目的と主要条項をわかりやすく

株主間契約(SHA)とは?目的と主要条項をわかりやすく|M&A Times

資本参加や合弁事業、あるいは会社の一部株式を譲渡した後など、複数の株主が同じ会社に関与する場面が増えています。役員の選び方や株式の譲渡ルールをあらかじめ決めておかないと、後になって意見が対立し、経営が止まってしまうこともあります。本記事では株主間契約(SHA)の目的と主要条項をわかりやすく解説します。

株主間契約(SHA)とは

株主間契約(SHA、Shareholders Agreement)とは、複数の株主の間で会社運営や株式の取扱いに関するルールを定める契約です。英語表記の頭文字を取って「SHA」と呼ばれることが多く、日本語では「株主間協定」と表記されることもあります。

たとえば発行済株式の70%を創業者が、30%を出資者が保有する会社であれば、SHAで役員の指名権や重要事項の決定方法をあらかじめ取り決めます。第三者割当増資で新たな株主を迎えるときや、合弁会社を設立するとき、あるいは会社の一部株式のみを譲渡し既存株主が引き続き経営に関わるときなど、複数株主が並存する場面で締結されるのが典型です。

主要条項を表で整理

SHAに盛り込まれる条項は会社の状況によって異なりますが、代表的なものは次のとおりです。

条項内容
役員指名権出資比率などに応じて取締役・監査役を指名できる権利を定めます。
拒否権・重要事項の同意増資、事業譲渡、多額の借入れなど重要な意思決定に少数株主の同意を必要とする条項です。
株式譲渡制限他の株主の承認なく第三者へ株式を売却できないようにする条項です。
先買権(First Refusal)ある株主が株式を売却する際、他の株主が優先的に買い取れる権利です。
タグアロング権大株主が株式を売却する際、少数株主も同条件で一緒に売却できる権利です。
ドラッグアロング権大株主が第三者への全株売却を決めた際、少数株主にも売却参加を求められる権利です。
デッドロック対応株主間の意見が対立し意思決定できない場合の解消手続き(協議期限、第三者調停など)を定めます。
配当方針利益配当の考え方や内部留保とのバランスについて取り決めます。
実際の条項は出資比率や会社の状況に応じて増減します

定款との違い

定款は会社法に基づき作成・備置きされる会社の基本規則です。商号・目的・役員などの登記事項は登記事項証明書として誰でも取得できますが、定款そのものの閲覧を請求できるのは原則として株主や債権者に限られます。一方でSHAは株主同士の私的な契約であり、非公開のまま柔軟に内容を決められる点が異なります。役員指名権やタグアロング権など、定款には書きにくい細かなルールをSHAで補うのが一般的な使い分けです。最終契約書(DA)の締結と合わせてSHAが交渉されることも少なくありません。

実務での意味

買い手にとって

出資後に想定外の意思決定がなされないよう、拒否権や役員指名権を確保することが目的になります。また将来の投資回収を見据え、タグアロング権や先買権を通じて株式の流動性を確保する狙いもあります。

売り手にとって(中小オーナー経営者の視点)

会社の全株式ではなく一部のみを譲渡し、少数株主として経営に残るケースでは、SHAの内容が今後の経営権や退出時の条件を左右します。株式譲渡と事業譲渡のどちらの形態であっても、一部売却後は自社の意思決定にどこまで関与できるか、将来的に残り株式を売却する際の条件(先買権・タグアロング権など)がどうなっているかを事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

  • 株主間契約(SHA)は複数株主の間で会社運営や株式の取扱いのルールを定める契約です。
  • 役員指名権、株式譲渡制限、タグアロング・ドラッグアロング権などが主要条項です。
  • 定款とは異なり非公開の私的契約であり、一部株式譲渡後の少数株主にとって特に重要な意味を持ちます。

次に読む

  • 最終契約書・DAーM&Aの取引条件を最終的に定める契約書で、SHAと合わせて締結されることもあります。
  • 第三者割当増資ー新たな株主が資本参加する典型的な場面で、SHAが締結されます。
  • 表明保証ー契約当事者が開示情報の正確性を保証する条項で、SHAと並んで重要な契約条件です。