トライアイズ(4840・東証スタンダード)は2026年8月26日、株式会社LIMNO(鳥取県鳥取市、代表取締役会長・小野久人氏)の発行済株式全部を取得し完全子会社化する基本合意を締結したと発表しました。売主は小野氏を委託者兼受益者とする信託の受託者・株式会社朝日信託です。
発表の概要
LIMNOは1966年に鳥取県で設立された鳥取三洋電機の製造部門を源流とする企業で、タブレット・表示器・IoTモジュールなどの電気機器を企画・開発から製造、修理・保守まで一貫して手がけています。企画・設計・開発機能を強化した受託製造であるDMS(Design and Manufacturing Service)を採用しています。カラオケの選曲端末や自動販売機の決済端末など高耐久機器の製造にも実績があり、2025年9月期の連結売上高は168.04億円・営業利益4.35億円、従業員数は262名(2025年4月1日現在)となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売主 | 株式会社朝日信託(小野久人氏を委託者兼受益者とする信託の受託者、LIMNO株式の100%を保有)※最終契約時には信託契約を解約し小野氏個人との株式売買契約となる可能性があり、売主は最終契約で確定する |
| 取得対象 | 株式会社LIMNO(鳥取県鳥取市)の発行済株式全部(LIMNOが保有する自己株式を除く) |
| 事業内容 | タブレット・表示器・IoTモジュールなどの電気機器を企画・開発から製造・販売、修理保守まで一貫して手がける(ソフトウェア開発も含む) |
| スキーム | 金銭を対価とする株式譲渡。トライアイズ株式の発行・自己株式の処分・株式交換等は行わない |
| 取得価額 | 6億円(600百万円・予定)。デュー・デリジェンス及び第三者算定機関による株式価値算定の結果を踏まえ最終契約で確定 |
| 基本合意締結日 | 2026年8月26日 |
| 今後の前提条件 | 法務・財務・税務・事業等のデュー・デリジェンス、独立した第三者算定機関による株式価値算定を経た上での最終契約締結 |
背景
トライアイズは今回の株式取得は、2026年4月に公表した中長期成長戦略「TRIiS2.0」の具体化だとしています。同戦略は情報通信技術×投資・金融業×経営コンサルティングという特色を「100年企業継承カンパニー」としてブランディングし、老舗企業承継市場への参入を掲げるもので、投資判断を高度化する「スマートインベストメント」と投資後の価値創出を仕組み化する「スマートカンパニー化」を二本柱としています。
買い手の経営戦略から見ると本件は、この方針に沿った老舗企業承継の実行例に当たります。「TRIiS2.0」の資料では、初期段階では設備の償却が概ね完了しオペレーションが一定程度確立された企業を投資対象に選定する方針を示しています。
対象会社の評価についてトライアイズは、数百名規模の技術者と日本的な品質管理・改善活動に裏打ちされた製造品質をLIMNOの強みとみており、その実績として2023年のタブレット国内販売台数がアップル・NECレノボ・マイクロソフトに次ぐ4位だったことを挙げています。一方で企画・販売力には課題があるとし、自社のノウハウとネットワークでこの弱点を補い、LIMNOの製造基盤・技術・人材・顧客との関係を継承しながら経営・資本・情報技術の機能を実装することで事業シナジーが見込めると説明しています。
今後の予定
本基本合意は、秘密保持や独占交渉といった一部事項については法的拘束力を持つものの株式取得や最終契約の締結を義務付けるものではありません。開示によればデュー・ディリジェンスは2026年7月から9月まで実施予定で、最終契約締結に係る取締役会決議及び株式譲渡契約締結は同年9月15日、株式譲渡の実行は10月1日を予定しています。連結開始は2026年12月期の期末を見込んでいます。小野会長は2026年9月30日付でLIMNOを退職し、すみやかに経営体制を変更する予定です。
解説
本件は、信託を経由して株式を保有していたオーナーが全株式を譲渡し会長を退任するという事業承継の型を示しています。オーナー経営者が株式を信託等で管理している場合でも、譲渡先の方針と合致すれば株式取得による事業承継は選択肢になり得ます。売却を検討する経営者は譲渡後の経営体制や拠点の扱いも条件として確認しておくと良いでしょう。詳しくは進め方や準備の詳細は会社売却ガイドをご参照ください。
次に読む
※本記事は2026年8月26日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

