M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約5分

,

ツインバード、ジャパネットによるTOBに反対表明 新中計を公表

ツインバード、ジャパネットによるTOBに反対表明 新中計を公表|M&A Times

新潟県燕市の家電メーカーであるツインバード(証券コード6897・東証スタンダード)は2026年8月31日、ジャパネットホールディングスによる同社株式へのTOB開始予定に反対の意見を表明すると発表しました。取締役会は全員一致で賛同しない旨を決議しました。同日には次期の中期経営計画も公表しています。

発表の概要

ツインバードは「匠プレミアム」ブランドの高付加価値な家電製品と、業務用のFPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)技術を柱とするB2B事業を展開する燕三条発の家電メーカーです。ジャパネットホールディングスは2026年6月19日付でツインバードの完全子会社化を目的とする非公開化の一連の取引としてTOBの開始予定を公表していました。

項目内容
対象会社ツインバード(東証スタンダード・証券コード6897)
公開買付者ジャパネットホールディングス
スキーム公開買付け(完全子会社化目的)
買付価格1株800円(2026年6月18日終値395円に対し102.53%のプレミアム)
買付予定期間・時期2026年10月下旬を目途に開始予定、買付期間30営業日、公開買付代理人はみずほ証券
買付予定数の下限7,270,800株(上限の設定なし)
対象会社の意見反対(賛同しない旨の意見、取締役全員一致で決議)

背景

本公開買付けに至る経緯についてツインバードは次のように説明しています。同社は2026年2月にジャパネットから完全子会社化検討の打診を受けましたが検討を行う状況にない旨を回答しました。続いて同年5月11日には1株800円と記載された法的拘束力のない意向表明書を受領し、社外取締役3名による特別委員会を設置しましたが、ジャパネットは同年6月19日、ツインバードとの合意がないままTOB開始予定を公表しました。

反対を決議した理由についてツインバードは次の3点を挙げています。第一に資本関係の変化や経営方針の相違により量販店との取引縮小や役職員の離反などディスシナジーが生じ得ること。第二にジャパネットが主張するチャネルミックスでの販売拡大や製造移管などシナジー7項目について実現可能性の具体的な根拠がないこと。第三に同日公表した新中期経営計画2026-2030に基づく事業運営の方が企業価値向上に資すると判断したことです。

なおジャパネットは6月19日付リリースで、ツインバードから3分の1程度の出資にとどめる資本業務提携から始めたいとの提案を受けたとしています。これに対しツインバードは「そのような提案を行った事実はございません」と否定しています。またジャパネットは同リリースで、本提案について決して敵対的な買収を意図するものではないと表明しています。

今後の予定

ジャパネットは、ツインバードが賛同しない意見表明を行った場合または意見表明のないまま2026年10月30日を経過した場合には、提案を取り下げTOBを実施しないとしています。ツインバードは今回の反対表明により提案が取り下げられ、本公開買付けは実施されないことになる見解だとしています。一方のジャパネットは同日、ツインバードの発表を受けて今後の対応および見解は精査・整理のうえ改めて伝えるとのお知らせを公表しており、8月31日時点では今後の対応は明らかになっていません。

解説

本公開買付価格800円は公表前日の2026年6月18日終値395円に対し102.53%のプレミアムでした。それでもツインバードの特別委員会は、ジャパネットが主張するシナジー7項目それぞれに具体的な数値や実現可能性の裏付けを求め、示されなかった項目は根拠として認めない検証を行っています。高いプレミアムが提示されても裏付けが伴わなければ反対しうるという今回の判断は、買収提案を受けた際の経営者の行動としての参考例になります。

なお本件の検証を支えたのは独立した社外取締役による特別委員会と、財務・法務の専門アドバイザーによる検討体制でした。買収提案はある日突然届くため、こうした体制や自社の企業価値の把握は事前に備えておくほど交渉力につながります。将来の会社売却や事業承継を検討する経営者は売却準備のポイントから確認しておくとよいでしょう。

※本記事は2026年8月31日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

出典

次に読む