M&Aの「リアル」を伝える経済メディア

読了目安 約4分

,

AI inside、Wanderlustを70%子会社化 7億円

AI inside、Wanderlustを70%子会社化 7億円|M&A Times

AI inside株式会社(証券コード4488、東証グロース)は2026年9月30日、AI開発コンサルティング会社の株式会社Wanderlustの株式70%を7億円で取得し子会社化すると発表しました。

発表の概要

Wanderlustは東京大学・松尾研究所発のAI開発コンサルティング会社です。生成AI・LLM領域を中心に、プライム市場上場企業などのAI活用を戦略づくりから実装・定着まで支援しています。

案件の条件一覧を見る譲渡元(売り手)・取得対象・事業内容・対象会社の業績(2026年3月期) ほか(10項目)
項目内容
譲渡元(売り手)西川響氏(対象会社代表取締役。株式譲渡実行日までに他の株主の株式を譲り受けて集約する予定)
取得対象株式会社Wanderlust(2023年1月設立・東京都千代田区)
事業内容AI開発コンサルティング事業
対象会社の業績(2026年3月期)売上高2億4,100万円・営業利益3,100万円・当期純利益2,600万円・純資産7,300万円・総資産1億4,500万円
大株主(2026年9月29日時点)西川響氏66.35%・ANOBAKA3号投資事業有限責任組合9.99%・その他株主等23.66%
スキーム株式譲渡による子会社化
取得株式数・比率普通株式86,411株(発行済株式総数の70.0%)
取得価額7億円(別途アドバイザリー費用等の概算5,000万円・合計概算7億5,000万円)
契約締結日2026年9月30日
株式譲渡実行日(予定)2026年10月中

背景

株式取得の理由としてAI insideは、企業のAI活用が複数の部門やシステムをまたぐ形に広がり案件が大型化しているためと説明しています。AI insideはこれに対応するため、顧客のAI戦略を起点に業務全体へのAI導入を支援するFDE Divisionを立ち上げており、その体制強化策の一つとして株式取得を検討してきました。

AI insideが評価したのはWanderlustの「顧客のAI戦略上流から提案を行える点」です。この提案力と自社のプロダクト・実装支援体制を組み合わせ、大型案件への迅速な対応と導入後の契約規模の拡大につなげる考えです。

AI insideは2026年6月の「事業計画及び成長可能性に関する事項」で、AIエージェント基盤「Leapnet」の立ち上げ施策に顧客へのFDEサービス提供を掲げています。同資料はリスク項目の中で、関連事業のM&A戦略を検討していく方針にも触れています。

なおWanderlustの売り手は代表の西川響氏個人です。西川氏は株式譲渡実行日までに他の株主の株式を譲り受けて集約し、発行済株式の70.0%をAI insideに譲渡します。集約後の西川氏の保有比率と残る30.0%の扱いは開示に記載がありません。

今後の予定

株式譲渡は2026年10月中に実行する予定です。AI insideは2027年3月期連結業績への影響を精査中としています。

解説

AI insideが70%分に払う7億円を100%に換算すると10億円で、Wanderlustの2026年3月期純資産7,300万円の約13.7倍、当期純利益2,600万円の約38倍にあたります(編集部試算)。

中小企業庁の成約データでは情報通信業のPER中央値は14.3倍、上位四分位でも27.4倍で、本件はその上を行く水準です。Wanderlustは同期に売上高を前期の7,600万円から2億4,100万円に伸ばし営業利益3,100万円を計上しており、AI insideが取得理由に挙げたのは「顧客のAI戦略上流から提案を行える点」でした。なお今回の取得価額の算定根拠については開示に記載はありませんでした。倍率の相場について、詳しくは業種別の実測倍率と純資産規模別のPBR・PERをご覧ください。

純資産を上回る価格で評価される余地は企業規模を問わず存在します。中小企業庁の同集計では純資産規模11帯すべてでPBR中央値が1倍を超えており、最小の500万〜1,000万円帯では2.2倍となっています。

創業間もないことや純資産の小ささを理由に売却を諦める前に、自社の専門性がどのような買い手の戦略を補えるかをまず専門家に相談してみるのも一手です。M&A Timesの無料相談では状況に応じて仲介会社や専門家をご紹介しています。

※本記事は2026年10月1日時点の開示情報に基づいています。最新の状況はAI inside株式会社の適時開示をご確認ください。

出典

次に読む