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ロールアップとは?連続買収の成長戦略

ロールアップとは?連続買収の成長戦略|M&A Times

「同業のライバル企業が、次々と別の会社に買われている」——分散した業界でこうした動きを目にしたら、それはロールアップと呼ばれる戦略かもしれません。単発の買収とは異なり、同一業種の中小企業を連続して買収し統合していく手法には、独自の狙いとリスクがあります。本記事では、ロールアップの定義から向く業界の特徴、売り手・買い手それぞれにとっての実務上の意味まで解説します。

ロールアップとは

ロールアップとは、同一業種内で分散している中小企業を短期間に連続して買収し、一つの事業体として統合することで規模の拡大と収益性の向上を狙う成長戦略のことです。英語の「roll-up(まとめ上げる)」に由来し、投資ファンドや事業会社が主導する買収戦略として知られています。

例えば、年商3億円規模の同業他社を3社買収した場合、単純合算では売上規模が9億円程度まで拡大します。ロールアップでは、こうした合算後の規模を土台に、単独では実現できなかった調達力や管理体制の効率化を積み上げていく点が特徴です。個別の企業価値評価を積み上げる通常の買収と異なり、統合後の全体像を見据えて連続的に案件を実行していく点が特徴です。

ロールアップの狙い

ロールアップが目指す効果は、主に次の3点に整理できます。

狙い内容
規模の経済仕入れ・物流・システムなどを統合し、単価あたりのコストを引き下げる
バックオフィス統合経理・人事・総務といった管理機能を一本化し、各社の重複コストを削減する
マルチプル拡大一般に、事業規模が大きいほど評価倍率(マルチプル、企業価値をEBITDA等の指標で割った倍率)が高くなる傾向があり、統合後の合算価値が個別評価の合計を上回りやすいとされます
ロールアップ戦略が狙う主な効果

向く業界の特徴

ロールアップは、どの業界でも成立するわけではありません。一般に、次のような特徴を持つ業界で採用されやすいとされます。

  • 事業者数が多く、一社あたりの市場シェアが低い「分散市場」であること
  • 各社の商流・業務プロセスが似ており、標準化・システム統合がしやすいこと
  • 地域密着型で、店舗や拠点単位での面的な展開が可能なこと

調剤薬局や自動車整備工場、美容室のような、拠点が地域に分散し独立性の高い個人事業・中小企業が多い業種は、一般にロールアップの対象として挙げられることがあります。ただし業界特性や個社の状況により適否は異なるため、あくまで一般論としての傾向です。

日本での代表例

日本でも、ロールアップを成長戦略として公言し、実行している上場企業があります。

  • GENDA(エンタメ業界):ゲームセンターなどアミューズメント施設の運営会社です。大手のゲームセンター事業の取得を皮切りに、同業や周辺領域の会社の買収を連続的に重ねて急成長しており、M&Aを成長の柱と公言する連続買収の代表例として知られています
  • ヨシムラ・フード・ホールディングス(食品業界):後継者不在などの課題を抱える中小の食品メーカーを連続的にグループ化し、製造・販売・管理機能の相互補完で成長させるモデルを掲げています。買収先の屋号や雇用を維持しながら統合を進める、中小企業のロールアップの代表例として紹介されます

このほか、調剤薬局や自動車整備など分散市場の業界では、大手チェーンによる中小事業者の連続的な買収が業界再編の主要な手段になっています。

実務での意味

売り手にとって

ロールアップ型の買い手に会社を売却する場合、統合後に自社がどう扱われるかを事前に確認することが重要です。屋号やブランドを存続させるのか、業務プロセスをどこまで買い手側に合わせるのか、従業員の処遇はどうなるのかといった点は、契約前の交渉で明確にしておく必要があります。また、買い手がPMI(Post Merger Integration、統合後の経営統合プロセス)の体制を整えているか、過去に複数の統合を実行してきた実績があるかも、売却先を見極める上での判断材料になります。

買い手にとって

買い手にとって、連続買収の成否を分ける生命線はPMIだと考えられます。1社ごとの統合が不十分なまま次の買収を進めると、業務の混乱や従業員の離職を招き、狙っていた規模の経済やマルチプル拡大が実現しないおそれがあります。買収ごとに標準化された統合プロセス(プレイブック)を整備し、デューデリジェンスの段階から統合後の体制を見据えて計画することが、ロールアップを機能させる鍵になります。

まとめ

  • ロールアップは、同業の中小企業を連続買収し統合することで規模の経済とマルチプル拡大を狙う戦略
  • 分散市場かつ業務が標準化しやすい業界で採用されやすい傾向がある
  • 売り手は統合方針や従業員処遇の確認を、買い手はPMI体制の整備を重視すべき

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