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経営承継円滑化法とは?3つの支援措置を解説

経営承継円滑化法とは?3つの支援措置を解説|M&A Times

事業承継に関する税制や金融支援の多くは、一つの法律を土台にしています。それが経営承継円滑化法です。事業承継税制の納税猶予や、後継者への株式集中を助ける民法の特例なども、この法律に基づく都道府県知事の認定が入口になります。本記事では経営承継円滑化法の全体像と、4つの支援措置の内容を解説します。

経営承継円滑化法とは

経営承継円滑化法とは、中小企業の事業承継を税制・金融・民法特例など複数の面から支援する法律です。正式名称は「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」で、2008年に制定されました。中小企業の代表者交代に伴う税負担や資金調達の難しさ、遺産分割上の問題に対応するため、国と都道府県が連携して支援する枠組みを定めています。

同法に基づく支援を受けるには、原則として都道府県知事の認定を得る必要があります。認定は制度ごとに要件が定められており、認定後に税務署への申告や登記所での手続きに進む流れが一般的です。

4つの支援措置

経営承継円滑化法には、性質の異なる4つの支援措置が盛り込まれています。まず全体を比較表で整理します。

支援措置概要主な対象
①事業承継税制非上場株式にかかる贈与税・相続税の納税を猶予・免除贈与・相続による株式承継
②金融支援日本政策金融公庫等による融資、信用保証の特例代表者交代に伴う資金調達
③遺留分の民法特例除外合意・固定合意により遺留分トラブルを予防親族内の株式・事業用資産の承継
④所在不明株主の株式取得の特例買取り手続きに必要な期間を5年から1年に短縮連絡が取れない株主が残る会社
いずれも原則として都道府県知事の認定が前提となります

①事業承継税制

後継者が贈与・相続で取得した非上場株式について、贈与税・相続税の納税を猶予する制度です。2018年度に創設された特例措置では、原則として税負担が実質ゼロになる設計になっています。特例措置の適用を受けるには、2027年9月30日までに「特例承継計画」を都道府県に提出して確認を受け、2027年12月31日までに贈与・相続により株式を取得する必要があります(2026年7月時点)。詳しい要件は事業承継税制の記事で解説しています。

②金融支援

代表者の交代は、金融機関からの信用低下につながりやすく、資金調達が難しくなる場合があります。これに対し、都道府県知事の認定を受けた中小企業者は、日本政策金融公庫等による低利融資や、信用保証協会の通常枠とは別枠の信用保証を利用できます。事業承継やM&Aに伴う運転資金・買収資金の確保に活用されています。

③遺留分に関する民法の特例

先代経営者から後継者に生前贈与された自社株式や事業用資産は、相続開始後に他の相続人から遺留分(相続人に最低限保障される取り分)を主張されると、株式が分散する原因になります。この特例では、後継者と非後継者となる推定相続人全員の合意により、贈与財産を遺留分の算定対象から除外する「除外合意」、または評価額を合意時点の時価に固定する「固定合意」を選択できます。親族内承継で株式の分散を防ぐ手段として位置づけられています。

④所在不明株主の株式取得の特例

連絡が取れない株主が残っていると、株式の集約や意思決定の妨げになります。会社法上、所在不明株主の株式を会社が買い取るには原則5年間の継続的な通知・催告の実績が必要ですが、都道府県知事の認定を受けた中小企業では、この期間が1年に短縮されます。2021年8月の改正で新設された比較的新しい支援措置です。

実務での意味

親族内承継の経営者にとって

子や親族に自社株式を引き継がせる場合、事業承継税制による納税猶予と、遺留分の民法特例による株式分散の予防を組み合わせて検討する価値があります。自社株評価の結果によっては、贈与税・相続税の負担が承継の重い足かせになるため、早期の計画提出が実務上のポイントとなります。

M&A売却を検討する経営者にとって

事業承継税制の納税猶予は、贈与または相続により株式を取得した場合が対象です。第三者への有償譲渡であるM&A売却には適用されません。この点は誤解されやすいため注意が必要です。一方で、金融支援や所在不明株主特例は、M&Aに向けた資金調達や株主整理の場面でも活用できる余地があります。事業承継の選択肢を比較する際は、どの支援措置が自社の承継方法に対応しているかを見極めることが重要です。

まとめ

  • 経営承継円滑化法は、事業承継税制・金融支援・遺留分の民法特例・所在不明株主特例の4つを支える法律です
  • 多くの支援措置は、都道府県知事の認定を受けることが利用の入口になります
  • 事業承継税制の納税猶予は贈与・相続が対象で、M&A売却には使えない点に注意が必要です

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