PostPrime株式会社(東証グロース/SNS「PostPrime」運営/代表取締役社長・松島悟)は2026年8月31日、電子楽器「オタマトーン」で知られる株式会社キューブの発行済株式74.51%を取得し子会社化すると発表しました。株式取得の実行と同日に3億円(300百万円)を貸し付けます。
発表の概要
キューブは東京都千代田区の玩具企画製造販売会社で1995年設立以来キャラクター玩具を手がけており、中でも「オタマトーン」は明和電機とのコラボ商品として2009年に発売され2010年に日本おもちゃ大賞ハイターゲット・トイ部門大賞、2024年に楽器店大賞2024「プレゼントにおすすめの楽器部門」大賞を受賞した代表的商品となっています。2025年9月期の売上高は680百万円で本業(営業利益)は黒字を維持する一方、財務面では債務超過の状態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得対象 | 株式会社キューブ(東京都千代田区、代表取締役・酒井利夫) |
| 事業内容 | 電子楽器「オタマトーン」等キャラクター玩具の企画・製造・販売 |
| 譲渡元 | 酒井利夫氏(対象会社株式67.18%保有の代表取締役)ほか1名 |
| 取得株式数・比率 | 1,342株(発行済株式の74.51%、議決権所有割合74.51%) |
| 取得価額 | 対象会社株式1,342円+アドバイザリー費用等(概算) 合計1百万円 |
| 貸付け | 300百万円/既存の借入金・社債その他の債務の弁済及び運転資金/期間1年(更新制)/年1.8%/無担保無保証/期限一括返済 |
| 契約締結・実行日 | 2026年8月31日(契約締結。株式取得実行・事業開始・貸付実行の予定日も同日) |
背景
対象会社の財務状況について見ると、キューブは過去の資金繰り及び借入負担等を背景に2025年9月期の純資産が▲60百万円の債務超過にあります。財務デューデリジェンスで確認された簿外の買掛金・短期借入金等や売掛金の回収可能性等を反映した参考試算値では▲338百万円まで悪化していますが、他方で直近2期の営業利益は93百万円・95百万円を計上しており本業は黒字を維持しています。
買い手側の経営戦略から見ると、本件はエンタメIP領域への参入という同社の方針の具体的施策だと言えるでしょう。PostPrimeは2026年7月公表の決算説明資料で中期成長領域としてエンタメIP(声優・音楽・YouTuber)を投資テーマに掲げ、同年6月調達の約9億円をM&A予算としていました。同年8月31日更新の事業計画資料でも同テーマを投資方針として明記しており、本件はこの方針に従った実行案件です。
今後の予定
本株式取得、本事業開始及び本貸付けの2027年5月期連結業績への影響についてPostPrimeは現在精査中です。公表すべき事項が生じた場合は速やかに開示するとのことです。
解説
本件で注目すべきは、参考試算値で純資産▲338百万円まで悪化していた企業でも承継が成立した点です。取得価額についてPostPrimeは、直近期業績・将来の収益計画・第三者評価(DCF法による参考評価)・グループとの事業シナジー創出効果を総合的に勘案し当事者間の協議で合意した金額と説明しており、株式分は1,342円にとどまります。あわせて実行後に3億円を貸し付け、資金繰りの安定化と経営管理体制の強化を図るとしています。債務超過や借入負担を抱える会社でも事業に収益力があれば売却という選択肢が成立しうることを示す事例です。
本件では財務デューデリジェンスで簿外の買掛金・短期借入金等が確認され、PostPrimeはそれを反映した参考試算値まで開示しています。借入金があっても会社は売却できる?についても合わせてご覧ください。
出典
- PostPrime「エンタメIP事業領域への参入、株式会社キューブの株式取得(子会社化)及び同社への資金貸付けに関するお知らせ」(2026年8月31日)
- PostPrime「2026年5月期 通期 決算説明資料」(2026年7月15日)
- PostPrime「事業計画及び成長可能性に関する事項」(2026年8月31日更新)

