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事業承継の失敗事例に学ぶ|よくある原因と対策

事業承継の失敗事例に学ぶ|よくある原因と対策|M&A Times

事業承継の準備を進めるなかで、「知り合いの会社は承継でもめて大変だったらしい」といった話を耳にして、不安になることはないでしょうか。実際、多くの中小企業で起きている承継の失敗は、特別な事情からではなく、よくあるパターンの積み重ねから生じています。本記事では、事業承継でつまずきやすい典型的な失敗パターンを一般化した仮想ケースで紹介し、それぞれの対策を解説します。

事業承継の失敗は「時間切れ」と「対話不足」に行き着く

事業承継の失敗事例を横断的に見ると、原因の多くは「時間切れ」と「対話不足」という2つの軸に集約されます。準備を始める時期が遅れて選択肢がなくなってしまうケースと、後継者や親族、幹部との対話が不足して不満や対立が表面化してしまうケースです。以下では、この2つの軸に沿って代表的な失敗パターンを見ていきます。

時間切れが招く失敗パターン

準備開始の遅れによる無防備な相続

たとえば、製造業を営むA社では、先代経営者が70代後半になっても後継者を明確に決めず、承継の準備を先送りしていたとします。ある日先代が急病で倒れ、事業承継計画も自社株の整理もされないまま相続が発生し、株式は複数の相続人に分散してしまいました。多額の相続税の納税資金も用意できておらず、経営権は分散した株式の影響で不安定になり、後継者は資金繰りと株主対応の両方に追われることになります。

対策としては、経営者が元気なうちから急な承継が起きた場合の備えも含めて準備のスケジュールを具体化し、事業承継計画として文書に落とし込んでおくことが有効です。

後継者の育成不足・押し付け型の承継

たとえば、卸売業のB社では、後継候補である息子に十分な経営経験を積ませないまま、社長交代を急いだとします。本人の経営者としての覚悟が固まっておらず、取引先や金融機関との関係構築も途上のまま就任したため、就任後わずか数年で業績が悪化し、社内外の信頼を失う結果になりました。

こうした事態を避けるには、後継者に段階的に権限と責任を委譲しながら、後継者育成の計画を数年単位で設計することが欠かせません。

自社株・資産の対策漏れ

たとえば、建設業のC社では、株式対策を後回しにしていたため、先代の相続時に株式が複数の子どもに均等分割されたとします。経営に関与しない相続人にも株式が渡ったことで、遺留分をめぐる話し合いが長期化し、後継者は経営判断のたびに他の株主の同意を取り付けなければならなくなりました。

自社株の分散は、生前贈与や種類株式の活用、株式集約の対策によってあらかじめ防ぐことができます。遺留分についても遺留分に関する制度を理解し、早期に対応方針を家族で共有しておくことが重要です。

対話不足が招く失敗パターン

先代が引退せず院政が続く

たとえば、小売業のD社では、社長交代後も先代が会長として実権を握り続け、後継者が決めた方針を現場で覆すことが続いたとします。後継者の指示と会長の意向が食い違うたびに社員は判断に迷うようになり、やがて有力な幹部社員が退職する事態に至りました。

対策としては、代表権や決裁権限の範囲を交代のタイミングで明確に取り決め、先代の関与を段階的に縮小していく合意をあらかじめ文書化しておくことが有効です。

親族間・兄弟間の対立

たとえば、サービス業のE社では、経営権を継ぐ長男と、財産の取り分を主張する他のきょうだいとの間で、事前の話し合いが不足していたとします。相続が発生した際に経営権と財産権の整理がついておらず、きょうだい間の対立が表面化して、経営に必要な意思決定が滞る事態に陥りました。

経営権と財産権を切り分けて整理し、親族内承継を選ぶ場合には特に、家族全員が納得できる形を早期に話し合っておくことが対立を防ぐ鍵になります。

承継以外の選択肢を検討しなかった結果の廃業

たとえば、印刷業のF社では、親族にも社内にも後継者候補が見当たらないまま時間が過ぎ、第三者への承継という選択肢を検討しないまま廃業を決めたとします。後継者不在率はおよそ半数とされるなかで、選択肢を早期に広げていれば、事業と雇用を残せた可能性がありました。

こうした結果を避けるには、親族内・社内での承継にこだわらず、M&Aによる第三者承継も選択肢に含めて早めに検討することが重要です。後継者不在の実情については後継者不在率に関するデータも参考になります。

よくある誤解・注意点

事業承継の失敗事例には、共通する誤解が見られます。「まだ何年も先の話だから大丈夫」と考えて準備を先延ばしにしてしまうことや、「家族なのだから話し合えば自然にまとまる」と思い込み、具体的な取り決めを先送りにしてしまうことです。

後継者本人の意向を確認しないまま「継ぐのが当然」と決めつけてしまうケースも少なくありません。事業承継の準備には数年単位の時間がかかるため、誤解に気づいた時点ですでに選択肢が狭まっていることもあります。

まとめ

  • 事業承継の失敗の多くは「時間切れ」と「対話不足」に行き着く
  • 自社株・資産の対策漏れや後継者育成の不足は、早期の準備によって防げる
  • 親族内・社内での承継にこだわらず、M&Aを含めた選択肢を早めに検討することも重要

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