M&Aのニュースや検討の場面で、「シナジー効果」という言葉を耳にすることは多いでしょう。買収価格や相手選びを検討している経営者の方に向けて、本記事ではシナジー効果の意味と種類、実務上のポイントを解説します。
シナジー効果とは
シナジー効果とは、複数の企業が統合することで、それぞれが単独で事業を行う場合の合計を上回る価値が生まれる効果のことです。「1+1」が2ではなく3にも4にもなるイメージ、と説明されることもあります。英語のsynergy(相乗効果)に由来する言葉です。
たとえば、単独では売上5億円ずつの2社が統合し、互いの顧客基盤へのクロスセルによって合計12億円の売上が生まれたとします。単純合計の10億円を上回る2億円が、統合によって新たに生まれた売上シナジーです。
シナジーの種類
M&Aにおけるシナジーは、効果が表れる領域によって主に3種類に分けられます。それぞれの内容と具体例を比較表で整理します。
| 種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 売上シナジー | クロスセルや販路の相互活用により売上が増加する効果 | 相手の顧客基盤へ自社商品を販売する、双方の販売網を共有する |
| コストシナジー | 仕入れの統合や重複部門の集約によりコストが削減される効果 | 仕入れ交渉力の向上、管理部門の統合による固定費の削減 |
| 財務シナジー | 資金調達力や信用力が向上する効果 | グループ全体の信用力向上による資金調達コストの低下 |
統合が計画どおりに進まない場合、逆に価値が損なわれるディスシナジー(負のシナジー)が生じることもあります。企業文化の摩擦から従業員が離職したり、想定していた部門統合が進まずかえってコストが増えたりするケースが典型です。シナジーは統合すれば自動的に生まれるものではなく、あくまで見込みにすぎない点に注意が必要です。
実務での意味
買い手にとって
買い手は、対象企業の現在の収益力だけでなく、統合後に見込めるシナジーの大きさを踏まえて買収価格を検討するのが一般的です。シナジーを見込んで純資産を上回る価格を支払った場合、その差額は会計上「のれん」として計上され、シナジーは買収価格に上乗せされるプレミアムの源泉のひとつとなります(詳しくはのれんとはを参照)。価格交渉の場面でも、シナジーの根拠を具体的に示せるかどうかが交渉力を左右します(M&Aの交渉で売り手が押さえるべきポイントも参照)。
売り手にとって
売り手にとっては、自社の事業とシナジーが生まれやすい相手を選ぶことが、高値売却につながる可能性があります。買い手が大きなシナジーを期待できるほど、通常の評価額にプレミアムが上乗せされやすくなるためです(会社売却の相場はいくら?も参照)。もっとも、シナジーは買収時点ではあくまで見込みであり、実際に実現するかどうかは、統合後の実務であるPMIの進め方次第で大きく変わります。
まとめ
- シナジー効果とは、統合により単独の合計を上回る価値が生まれることで、売上・コスト・財務の3種類に分けられます
- 統合がうまくいかない場合、逆に価値が損なわれるディスシナジー(負のシナジー)が生じることもあります
- 買い手はシナジーを見込んで買収価格を検討し、売り手はシナジーが出る相手を選ぶことで高値売却につながる可能性があります。実現の度合いはPMI次第です
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- 企業価値評価(バリュエーション)とは? シナジーが買収価格にどう反映されるか、算定の仕組みを解説します。
- PMIとは? シナジーが実際に実現するかどうかは、買収後のPMI(統合プロセス)にかかっています。
- 中小企業M&Aの買い手にはどんな企業がいる?4つの類型 買い手企業がシナジーをどう見ているか、類型別に理解できます。

