東京と大阪に本社を置くオフィスデザイン会社のヴィス(東証スタンダード・5071、代表取締役社長・金谷智浩氏)は2026年9月14日、ブランディング会社のパドルデザインカンパニー株式会社の全株式を取得し子会社化すると発表しました。取得価額は175百万円で、同日付で株式譲渡契約を締結しています。
発表の概要
パドルデザインカンパニーは経営理念の策定からロゴ・ビジュアルアイデンティティ開発、Webサイト制作、動画制作、採用ブランディングまで手掛けるブランディング会社です。
東京都港区南青山に本社を置き2000年1月に設立、代表取締役の豊田善治氏が全株式を保有しています。従業員16名で取引実績は3,000件超、直取引90%・リピート率70%を強みとしています。業績は守秘義務により非開示ですが、いずれも適時開示基準に該当しない軽微基準の範囲内です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 譲渡元(売り手) | 豊田善治氏(パドルデザインカンパニー代表取締役・持株比率100%) |
| 取得対象 | パドルデザインカンパニー株式会社(東京都港区南青山) |
| 事業内容 | ブランディング(MI/VI/CI開発)、Web制作、映像制作、コピーライティング等 |
| スキーム | 株式譲渡による全株式(600株)取得・完全子会社化 |
| 取得価額 | 株式175百万円+アドバイザリー費用等(概算)48百万円=合計(概算)223百万円 |
| 契約締結日 | 2026年9月14日 |
| 株式譲渡実行日 | 2026年11月2日(予定) |
背景
ヴィスは本件の目的を、パーパス「はたらく人々を幸せに。」のもとに掲げる「ワークデザイン」の深化にあるとしています。企業のパーパス策定等の川上工程(ソフト)から空間構築(ハード)までを一気通貫で提供し、オフィス移転の検討より前から顧客接点を持つ体制を作る考えです。パドルデザインカンパニーのクリエイター陣の参画で、グループ全体のデザイン力強化にもつなげる方針です。
ヴィスは開示の補足説明資料で本件を「中期経営計画の達成に向けた『足固め』」と位置づけています。自社の中期経営計画「VISION2027」(2025年6月11日公表)は「業務提携および計画的なM&Aを推進することで、ワークデザインを拡大」する方針を掲げ、中長期では2031年3月期に連結売上高250億円・連結営業利益25億円以上を財務目標としています。
投資基準との関係では、2027年3月期第1四半期決算説明資料(2026年8月10日公表)が中計期間のM&Aについて「最大40億円の投資」「買収規模:10〜20億円(1件あたり)」「EV/EBITDA倍率:8倍まで・原則自己資金にて実施」という基準を示しています。本件の取得価額175百万円は1件あたりの目安を下回る一方、想定EV/EBITDA倍率約6.5倍と全額自己資金は基準の範囲内です。なお同倍率は対象会社の不動産・非事業用資産を分割した後の2026年2月時点の試算に基づく参考値です。
今後の予定
株式譲渡の実行日は2026年11月2日を予定しています。実行後パドルデザインカンパニーはヴィスの子会社となります。2027年3月期の連結業績への影響についてヴィスは軽微と見込んでおり、今後公表すべき事項が生じた場合には速やかに知らせるとしています。
解説
本件は従業員16名で代表の豊田善治氏が全株式を保有してきたパドルデザインカンパニーが、全株式のヴィスへの譲渡で合意した事例です。譲渡の動機や譲渡後の豊田氏の処遇は開示されていません。
取得価額はヴィスと利害関係のない第三者によるデューデリジェンスと相手先との協議を経て決定されており、結果として想定EV/EBITDA倍率は約6.5倍・全額自己資金と、ヴィスが公表する投資基準の範囲に収まりました。本件のように買い手が投資枠や倍率の上限をIR資料で公表している場合、提案を受けた側は相手がどの範囲で検討しているのかを読み取れます。自社の利益水準や取引実績を整理しておくと、提示条件の意味を確かめる材料になります。
自社の利益水準や取引実績を可視化し買い手の投資基準と照らし合わせる準備は、会社売却の準備は何から?磨き上げの進め方で解説しています。
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※本記事は2026年9月14日時点の開示情報に基づいています。最新の状況は当事会社の適時開示をご確認ください。

