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分散した自社株の集約方法とは?事業承継前の少数株主対策

分散した自社株の集約方法とは?事業承継前の少数株主対策|M&A Times

相続や過去の増資をきっかけに、株式が親族や元役員、取引先など複数の株主に分散している中小企業は少なくありません。結論から言うと、事業承継やM&Aの前には、任意の買い取り交渉から会社法上の強制取得手続きまで、複数の方法を組み合わせて株式を集約しておく必要があります。本記事は、株式の分散に悩み集約を検討している経営者向けに、代表的な集約手法と実務での進め方を解説します。

自社株の集約とは

自社株の集約とは、親族や元役員、取引先など複数の株主に分散した株式を、後継者や会社自身など特定の経営株主のもとに集めることです。相続による分割承継や、資金調達のために行った第三者割当増資、退任役員への功労株の付与などが、分散の主な原因になります。たとえば創業者が保有していた株式を相続で子3人が均等に取得した場合、後継者が議決権の3分の1しか持たず、定款変更などの特別決議を単独で通せなくなる、といった事態が起こり得ます。

自社株を集約する主な方法

株式の集約には、相手との合意による方法から、会社法上の手続きで少数株主の意思にかかわらず株式を取得できる方法まであります。株主の人数や保有割合、相手との関係性に応じて選びます。

手法使える場面留意点
①任意の買い取り交渉相手との関係が良好で、合意による売買が見込める場合価格交渉が難航しうるほか、応じない株主には効果がない
②会社による自己株式取得会社に分配可能額の余裕があり、会社として買い取りたい場合原則として株主総会決議が必要で、分配可能額の範囲内でのみ実施できる。特定の株主から買い取る場合は特別決議になる
③特別支配株主の株式等売渡請求既に総株主の議決権の90%以上を保有し、残る少数株主を整理したい場合原則として対象会社の承認が必要。売買価格に不服がある株主は裁判所に価格決定の申立てができる
④株式併合等のスクイーズアウト90%未満の保有でも、株主総会の特別決議(原則として出席株主の議決権の3分の2以上)で実施したい場合反対株主には株式買取請求権がある。詳しくはスクイーズアウトで解説
⑤名義株の整理相続や過去の増資で、名義人と実質株主が異なる株式が残っている場合実質株主の確認・整理が必要で、個別の法的判断は弁護士への相談が前提になる

実務での意味

承継やM&Aを控える経営者にとって

株式が分散したままでは、株主総会での意思決定に時間がかかるだけでなく、M&Aでは買い手が株式100%の取得を前提に検討することが一般的で、少数株主が残っていると売却そのものが成立しにくくなります。買い手からすると、一部の株主が売却に応じないリスクや、後日その株主から権利を主張されるリスクを抱えたまま引き継ぐことになるためです。

誰に相談し、何を負担するか

株式等売渡請求や株式併合、名義株の整理といった法的手続きは、原則として弁護士に依頼して進めます。株価の算定や、自己株式取得の分配可能額の確認、みなし配当などの税務面の検討は税理士の領域です。相手方との交渉窓口は、経営者自身のほか、事業承継・M&A仲介会社や取引金融機関が間に入る場合もあります。これらは案件ごとに継続的な報酬や個別の見積もりが発生するため、着手前に依頼範囲と費用の目安を確認しておくことが望まれます。また、株式を買い取る対価によっては税負担の扱いが変わるため、実行前に税理士へ確認することが欠かせません。すぐに買い取れない株主が残る場合は、議決権行使や将来の売却を制限する株主間契約(SHA)を結んでおく方法もあります。

まとめ

  • 自社株の集約方法は、任意の買い取り交渉から会社法上の強制取得手続きまで複数あり、株主の状況に応じて選ぶ
  • 事業承継やM&Aでは株式を100%に近づけておくことが重要で、少数株主が残ると意思決定の遅れや売却の障害になる
  • 名義株の整理や税務の論点は個別性が高いため、早めに弁護士・税理士に相談し計画的に進める

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