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財務デューデリジェンスとは?調査項目・流れ・費用を解説

財務デューデリジェンスとは?調査項目・流れ・費用を解説|M&A Times

M&Aの交渉が基本合意まで進むと、次に行われるのが財務デューデリジェンス(財務DD)です。決算書の数字をそのまま信じるのではなく、収益力や資産・負債の実態を専門家の目で確認する重要な工程といえます。本記事では、財務DDの調査項目や進め方、期間・費用の目安、買い手・売り手それぞれにとっての実務上の意味を解説します。

財務デューデリジェンスとは

財務デューデリジェンス(財務DD)とは、M&Aの実行前に対象企業の財務諸表や事業計画の実態を、公認会計士などの専門家が調査することです。例えば決算書上の営業利益が5,000万円であっても、オーナー個人の交際費や親族への給与など事業に直接関係しない費用が含まれていれば、実態の収益力(正常収益力)はそれより低くなることがあります。財務DDでは、こうした一時的・非経常的な項目を調整し、会社が実際に稼ぐ力を明らかにします。英語では「Financial Due Diligence」と呼ばれ、実務では単に「財務DD」と略されることが一般的です。

財務DDの主な調査項目

調査の目的は、決算書の表面上の数字ではなく「実態」を把握することにあります。主な調査項目は次のとおりです。

調査項目確認内容
収益力の実態(正常収益力)一時的な損益や役員個人の費用を除いた、実質的な稼ぐ力
運転資本売掛金・在庫・買掛金の水準や季節変動の有無
純有利子負債有利子負債から現預金を差し引いた実質的な負債の大きさ
簿外債務未払残業代や訴訟リスクなど、帳簿に現れない債務
事業計画の妥当性将来の収益計画の前提が合理的といえるか

財務DDの期間・費用の目安

財務DDにかかる期間は、資料が整った小規模な会社であれば2〜4週間程度、子会社を含む中堅規模以上の案件では1〜2ヶ月程度が一般的な目安とされます。期間を左右する主な要因は、対象会社の規模、資料の整備状況、調査範囲(財務DD単独か、税務・法務DDと並行するか)の3点です。

費用は公認会計士への依頼が一般的で、1時間あたり2万〜5万円程度のタイムチャージ×作業時間で算定されることが多いとされます。目安として、中小M&Aでは50万〜300万円程度、売上規模の大きい中堅企業では200万〜1,000万円程度、大企業向けの案件では1,000万円を超えることもあるとされます。いずれも対象会社の規模や調査範囲で大きく変動するため、依頼前に見積もりを確認しておくことが望ましいでしょう。

費用は誰が負担する?仲介手数料との関係

財務DDの費用は、調査を依頼する買い手側が負担するのが原則で、仲介会社を利用する場合でも仲介手数料には通常含まれません。中小企業庁「中小M&Aガイドライン」(第3版)では、利益相反防止の観点から仲介者自身がDDを直接実施すべきでないとされており、仲介者はスケジュール調整や資料授受の補助にとどまり、DDの実務は公認会計士など別の専門家に依頼する必要があります。仲介会社が提携する専門家を紹介・手配してくれるケースもありますが、その場合も費用は仲介手数料とは別に発生する点に注意が必要です。売り手側でも、DDでの指摘事項を減らすため、事前に自社の財務状況を整理する簡易な調査(セルサイドDD)を行うケースがあります。

実務での意味

買い手にとって

買い手にとって財務DDは、譲渡価格の妥当性を検証し、想定外のリスクを事前に把握するための重要な工程です。財務DDで見つかった論点は、最終契約書の表明保証や価格調整条項に反映されることもあるとされます。デューデリジェンス全体の中でも、財務DDは価格交渉に直結する情報を提供する工程といえます。

売り手にとって

売り手にとっては、事前に自社の財務状況を整理しておくことで、DDでの指摘事項を減らし、交渉を円滑に進めやすくなるとされます。決算書と実態に乖離がある場合は、早い段階で専門家に相談し、説明できる状態にしておくことが望ましいといえます。財務DDの結果は、その後の企業価値評価にも影響します。

まとめ

  • 財務DDは、対象企業の収益力・資産・負債の実態をM&A実行前に確認する調査
  • 調査項目には正常収益力・運転資本・純有利子負債・簿外債務・事業計画の妥当性などが含まれる
  • 買い手はリスク把握と価格交渉に、売り手は円滑な交渉準備にそれぞれ活用できる

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