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合同会社は売却できる?持分譲渡と事業承継の注意点

合同会社は売却できる?持分譲渡と事業承継の注意点|M&A Times

合同会社を経営していると、「株式会社と違って持分は自由に譲渡できないのでは」「結局は畳むしかないのか」と迷う場面があります。実際、合同会社の持分譲渡には株式会社にはない制約があり、準備を誤ると譲渡そのものが成立しません。本記事では、合同会社の売却を検討する経営者に向けて、持分譲渡・事業譲渡・株式会社への組織変更という3つのルートと、それぞれの注意点を解説します。

結論・全体像

結論として、合同会社も売却は可能です。ただし株式会社の株式譲渡と異なり、会社法585条により持分の譲渡には原則として他の社員全員の承諾が必要です。合同会社の売却には「持分譲渡」「事業譲渡」「株式会社への組織変更を経た株式譲渡」という3つのルートがあり、社員構成や買い手の意向によって適した方法が変わります。まずは全体像を比較表で押さえ、自社に合うルートを絞り込むことが検討の出発点になります。

3つの売却ルートを比較する

持分譲渡・事業譲渡・組織変更には、それぞれ必要な手続きとメリット・留意点があります。次の表で全体像を整理します。

ルート必要な手続き・同意主なメリット主な留意点
持分譲渡原則、他の社員全員の承諾(会社法585条)手続きが比較的シンプルで会社をそのまま存続できる社員が1人でも反対すれば成立しない。定款で緩和されている場合がある
事業譲渡業務執行社員の過半数による決定が原則。定款の定めを確認譲渡対象を事業の一部に限定でき、不要な資産・負債を切り離せる契約・許認可・取引先との関係を個別に引き継ぐ手間があり、法人はそのまま残る
組織変更→株式譲渡組織変更計画について総社員の同意(会社法781条)と債権者保護手続株式会社化後は株式譲渡で自由度が高まり、買い手が受け入れやすい手続きに手間と期間がかかり、登記・公告の費用が別途発生する

ルート別に見る具体的な進め方

持分譲渡

合同会社の持分は、株式会社の株式と違って自由に譲渡できません。会社法585条は、社員が持分の全部または一部を他人に譲渡するには、原則として他の社員全員の承諾が必要と定めています。業務を執行しない有限責任社員に限っては、業務を執行する社員全員の承諾があれば譲渡できるという例外もあります。

定款で別段の定めを置くことも認められているため、まずは自社の定款を確認することが出発点です。社員が1人だけの合同会社では反対する他の社員がいないため、実務上は持分譲渡を進めやすいケースもあります。

事業譲渡

会社という器を残さず、事業の中身だけを買い手に引き継ぐのが事業譲渡です。合同会社では、事業譲渡の実行を業務執行社員の過半数の決定によって進められる場合が多く、定款の定めを確認したうえで手続きを進めます。契約や許認可、取引先との関係は個別に引き継ぐ必要があり、譲渡側の法人はそのまま存続します。持分譲渡で社員全員の合意形成が難しい場合の代替ルートとして検討されることがあります。

株式会社への組織変更

買い手が株式会社としての承継を前提としている場合や、将来的に持分を株式として分散譲渡したい場合は、いったん株式会社に組織変更してから株式を譲渡する方法があります。会社法746条は組織変更計画に定めるべき事項を、747条は効力発生日に株式会社となる旨を定めています。

組織変更には、効力発生日の前日までに総社員の同意を得ることが会社法781条で義務づけられており、あわせて債権者保護手続として1か月以上の公告・催告期間も必要です。手間と期間はかかりますが、組織変更後は非上場株式の譲渡として進められるため、買い手側の受け入れやすさが増す場合があります。

よくある失敗・注意点

実務では、次のような見落としが売却の遅れやトラブルにつながります。

  • 定款の確認漏れ: 持分譲渡の要件や事業譲渡の決定方法は、定款で会社法の原則と異なる定めがされていることがあります。着手前に必ず現行の定款を読み直します。
  • 一人合同会社の相続リスク: 社員が1人しかいない合同会社は、その社員が亡くなると持分の扱いや会社の存続について事前の備えがないと混乱が生じます。
  • 相場を鵜呑みにしない: 合同会社の持分評価は純資産や収益力を踏まえた個別算定が必要で、業種や規模によって幅があります。単純な倍率で決めつけず専門家に確認します。
  • 税務の扱いを確認する: 持分譲渡・事業譲渡・組織変更はそれぞれ課税関係が異なります。原則として税理士など専門家への相談が欠かせません。

まとめ

  • 合同会社も売却できるが、持分譲渡には原則として他の社員全員の承諾が必要
  • 持分譲渡が難しい場合は、事業譲渡や株式会社への組織変更という選択肢もある
  • 定款の確認と税務・法務の専門家への相談を、検討の早い段階で行う

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