会社を売却すると、オーナー経営者の手元にはまとまった売却代金が入ります。この売却によって生じた利益を指す言葉が「キャピタルゲイン」です。給与や配当のような継続的な収入とは性質が異なり、税金の計算方法も別立てになっています。本記事では、キャピタルゲインの定義とインカムゲインとの違い、会社売却での計算方法、税率について解説します。
キャピタルゲインとは
キャピタルゲインとは、保有する資産の値上がりによって得られる利益のことです。語源は英語の「capital gain」で、株式・不動産・投資信託など、売却によって利益が生じる資産全般で使われる言葉です。たとえば1,000万円で取得した非上場株式を3,000万円で売却すると、差額の2,000万円がキャピタルゲインにあたります。会社売却の場面では、オーナー経営者が保有する自社株式を買い手に譲渡した際の売却益を指します。
インカムゲインとの違い
資産から得られる利益は、キャピタルゲインと「インカムゲイン」の2種類に分けられます。インカムゲインとは、資産を保有し続けることで継続的に得られる利益のことです。株式であれば配当金、不動産であれば家賃収入がこれにあたります。両者の違いを整理すると、以下のとおりです。
| 項目 | キャピタルゲイン | インカムゲイン |
|---|---|---|
| 利益の性質 | 資産の売却によって一度に得る利益 | 資産を保有し続けることで得る継続的な利益 |
| 株式での具体例 | 株式譲渡益 | 配当金 |
| 会社売却での該当例 | 株式譲渡代金(売却益) | 在任中の役員報酬・配当 |
会社売却でのキャピタルゲインの計算方法と税率
会社売却における株式譲渡のキャピタルゲイン(譲渡所得)は、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で計算します。取得費は株式を取得した際の払込金額や取得にかかった費用、譲渡費用は仲介手数料など売却のために直接支出した費用です。譲渡価額は、株式の企業価値評価を踏まえた買い手との交渉によって決まります。たとえば、設立時に500万円を出資した株式をM&Aで5,000万円で売却し、仲介手数料として300万円を支払った場合、譲渡所得は「5,000万円-(500万円+300万円)=4,200万円」となります。
非上場株式を含む株式等の譲渡益は、給与所得など他の所得と合算せず税額を計算する「申告分離課税」の対象になります。個人が株式を譲渡した場合の税率は、原則として所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%を合わせた20.315%です(国税庁タックスアンサーNo.1463)。復興特別所得税は2037年まで所得税額に上乗せされる時限措置として設けられています。上記の例にあてはめると、譲渡所得4,200万円に20.315%を掛けた約853万円が税額の目安です。
会社そのもの(法人)が株式を保有し譲渡する場合は、個人とは異なり譲渡益が法人の所得に合算され、法人税等の課税対象になります。オーナー経営者個人が自社株式を売却する場合は前述の申告分離課税が適用されるため、保有主体が個人か資産管理会社かによって税制が変わる点に注意が必要です。
実務での意味
売り手(オーナー経営者)にとって
会社売却の対価は、経営者にとってそれまでの人生で最大級のキャピタルゲインになるケースが少なくありません。手取り額を把握するには、譲渡価額だけでなく取得費・譲渡費用・税額まで踏み込んで試算することが欠かせません。売却価格の交渉に気を取られ、税引き後の手取りを見落とすと、資金計画がずれる原因になります。株式譲渡の手続きを進める前に、税額の概算をつかんでおくと安心です。
誰に相談し、費用は誰が負担するか
譲渡所得の計算や申告分離課税の確定申告は、税理士に依頼して行うのが一般的です。M&A仲介会社やFAが提示するのは主に売却価格までで、税引き後の手取り試算は別途、税理士へ相談が必要になるケースが多い点に注意が必要です。税理士報酬は売り手自身が負担するのが一般的で、案件の規模や複雑さによって金額が変わります。早めに見積もりを確認しておくと、資金計画を立てやすくなります。
まとめ
- キャピタルゲインとは、資産の値上がりによって得られる利益のこと。保有し続けることで得る継続的な利益であるインカムゲインとは区別される
- 会社売却での株式譲渡益は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で計算し、個人の場合は原則20.315%の申告分離課税が適用される
- 手取り額の把握には税理士への相談が欠かせず、報酬は売り手自身が負担するのが一般的
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