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ゴールデンパラシュートとは?仕組みと論点

ゴールデンパラシュートとは?仕組みと論点|M&A Times

買収により経営陣が退任することになった場合、多額の退職慰労金が支払われる契約があることをご存じでしょうか。この仕組みは「ゴールデンパラシュート」と呼ばれ、敵対的買収への防衛策として語られることが多い一方、株主から見ると別の論点も抱えています。本記事ではゴールデンパラシュートの定義・仕組み・実務上の論点を解説します。

ゴールデンパラシュートとは

ゴールデンパラシュート(golden parachute)とは、買収などにより経営陣が解任・退任した場合に、通常の退職金を大きく上回る金銭を支払うことをあらかじめ契約で定めておく仕組みのことです。「黄金の落下傘」という名のとおり、経営陣が地位を追われても、安全に(かつ高額な補償を得て)着地できるようにする仕組みという意味合いで名づけられたとされます。

たとえば、役員の通常の退職慰労金が数百万円程度であるところ、買収に伴う解任時には数年分の報酬に相当する金額(仮に年間報酬の3〜5倍など)を一時金として支払う、といった設計が典型例です。この契約により、買収を仕掛ける側は経営陣の退職金支払いというコストを追加で負担する必要が生じます。

仕組みと類似概念

ゴールデンパラシュートは、単独の契約というより、チェンジオブコントロール条項(経営権の異動を発生事由とする条項)と連動した退職金契約として設計されるのが一般的です。買収により議決権の一定割合が異動する、取締役の過半数が入れ替わるといった事由が生じた場合に、退職金の支払い義務が発生する形が典型とされます。

対象者の範囲や名称により、いくつかの類似概念があります。

名称対象者特徴
ゴールデンパラシュート取締役・執行役員などの経営陣買収時の解任に伴う高額な退職慰労金
ティンパラシュート経営陣以外の一般従業員「ブリキ(tin)」の名のとおり経営陣ほど手厚くない補償だが、対象を広げることで買収コストを底上げする狙い
経営陣向け・従業員向けで対象範囲と補償水準が異なります。

実務での意味

買い手にとって

買収を検討する側にとって、ゴールデンパラシュートは買収コストを引き上げる要因になります。特にTOB(株式公開買付け)のように市場を通じて経営権の取得を目指す局面では、対象会社の退職金規程や役員との契約内容を事前のデューデリジェンスで確認し、買収後に想定外の支出が発生しないかを見極める必要があります。想定を超える規模のゴールデンパラシュートは、買収そのものを見送る判断材料になることもあります。

売り手・経営陣にとって

経営陣にとっては、買収によって自身の地位を失うリスクへの備えという側面があります。同時に、退任後は競合他社での活動が制限される競業避止義務を負うことも多く、ゴールデンパラシュートはこうした制約への対価という位置づけで語られることもあります。一方で、経営陣自身が買収防衛を目的にこの契約を主導する場合、株主の利益より自らの保身を優先しているとの疑念を招きかねない点には注意が必要です。

株主にとって

株主から見ると、ゴールデンパラシュートには二面性があります。買収コストを引き上げることで不当に安い価格での買収を防ぐ効果が期待される一方、支払い水準が過大であれば、本来株主に帰属すべき企業価値が経営陣個人に流出することになり、ガバナンス上の問題として批判の対象になります。導入にあたっては、株主総会や取締役会での適切な手続きを経て、金額や発動条件の妥当性を説明できる設計にすることが求められます。

中小企業M&Aにおける関連論点

ゴールデンパラシュートは本来、上場企業の敵対的買収を念頭に語られる概念ですが、中小企業のM&A実務でも近い発想が用いられる場面があります。譲渡オーナーである経営者が退任するにあたり、役員退職慰労金を支払い、これを譲渡対価の設計の一部として組み込む手法です。役員退職慰労金は、原則として、株式譲渡対価と比べて税務上の取り扱いが異なるため、双方の配分によって手取り額に差が生じ得ます。具体的な税務上の有利・不利は個別の事情により異なるため、実行にあたっては税理士など専門家への確認が欠かせません。

まとめ

  • ゴールデンパラシュートは、買収に伴う経営陣の解任時に高額な退職慰労金を支払う契約で、買収コストを引き上げる防衛策の一種
  • チェンジオブコントロール条項と連動して設計され、対象を従業員に広げた類似概念がティンパラシュートと呼ばれる
  • 過大な支払い水準は株主利益の流出やガバナンス上の問題となり得るため、金額・発動条件の妥当性が問われる

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