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競業避止義務とは?M&A売却後に注意すべきポイント

競業避止義務とは?M&A売却後に注意すべきポイント|M&A Times

M&Aで会社や事業を売却すると、売り手であるオーナー経営者には売却後の行動を制限する条項が課されることがあります。その代表例が競業避止義務です。買い手が対価を支払って手に入れた事業価値をなお同じ経営者に脅かされては、取引の意味が薄れてしまうためです。本記事では競業避止義務の意味と、売却を検討する経営者が事前に押さえておきたいポイントを解説します。

競業避止義務とは

競業避止義務とは、一定の期間・地域・事業範囲において、売却した事業と競合する事業を自ら行ったり、他社のために行ったりしないという義務のことです。英語では「Non-compete obligation」や「Non-compete clause」と呼ばれます。

たとえば地域の飲食チェーンを売却したオーナーが、契約から3年間は同一都道府県内で同業態の店舗を新たに開業しない、と定めるようなケースが典型です。多くの場合、最終契約書(DA)の中に条項として盛り込まれ、違反した場合の損害賠償や差止めについても合わせて定められます。

なぜ定められるのか・定め方の考え方

買い手が支払う対価には、有形資産だけでなく、顧客基盤・ブランド・ノウハウといったのれんの価値が含まれています。売却した経営者本人が競合事業を始めてしまうと、顧客や従業員が流出し、買い手が取得した価値が損なわれかねません。競業避止義務は、この価値を一定期間守るための取り決めといえます。

条項は主に次の要素で構成され、交渉によって内容が決まります。

要素内容の考え方
期間クロージング(決済)から数年間とされることが多く、事業の性質により幅があります
地域事業の商圏に応じて都道府県単位・全国など、実態に即した範囲が定められます
対象事業売却した事業と実質的に競合する範囲に限定するのが原則です
対象者売り手経営者本人に加え、役員として関与を続ける親族等が含まれる場合があります
違反時の効果損害賠償請求や差止め請求ができる旨が定められるのが一般的です
競業避止義務条項で定められる主な要素

期間や地域、対象事業の範囲が事業実態に照らして過度に広い場合、職業選択の自由を不当に制限するとして、条項の一部または全部が無効と判断される可能性があるとされます。あくまで一般原則であり、有効性の判断は個別の事情によります。

実務での意味

買い手にとって

買い手にとって競業避止義務は、支払った対価に見合う事業価値を確保するための防御策です。表明保証と並び、売り手のリスクを契約で手当てする代表的な条項の一つとして扱われます。範囲が狭すぎると実効性を欠くため、事業の実態を踏まえた設計が求められます。

売り手(オーナー経営者)にとって

売り手にとって競業避止義務は、売却後の人生設計に直結する論点です。「引退のつもりだったが、数年後に新しいアイデアで事業を始めたくなった」というケースは珍しくありません。契約時に範囲を曖昧にしたまま合意すると、後になって想定外の制約に気づくことがあります。

特に次の点は、契約締結前に自分の希望と照らし合わせて確認しておく価値があります。

  • 期間が自分の今後のキャリア・生活設計と矛盾しないか
  • 対象事業の範囲が、将来やってみたい別分野の事業まで縛っていないか
  • コンサルタントや顧問としての関与も制限対象に含まれるか
  • 対価(売却価格)の水準と、課される制約のバランスが取れているか

競業避止義務は交渉の余地がある条項です。売却後にどのような生き方をしたいかを早い段階で言語化し、売却プロセスの中でアドバイザーに伝えておくことで、条件面での行き違いを防ぎやすくなります。売却後の人生については会社を売った後の経営者の人生も参考になります。

まとめ

  • 競業避止義務とは、売却後に一定期間・地域で同種事業を行わない義務のこと
  • 買い手が取得したのれんの価値を守るために、最終契約書に定められるのが一般的
  • 売り手は期間・地域・対象事業の範囲を、自身の今後の人生設計と照らして事前に確認すべき

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