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みなし配当とは?発生するケースと税金の計算方法

みなし配当とは?発生するケースと税金の計算方法|M&A Times

事業承継の場面で自社株を発行会社に買い取ってもらう「金庫株」を検討すると、想定より税負担が重くなり驚くことがあります。原因の多くは、受け取る対価の一部が株式の譲渡益ではなく「みなし配当」として扱われることです。本記事では、自社株を発行会社に売却する株主(オーナー経営者や相続人)の視点を中心に、みなし配当の定義・発生するケース・税金の計算方法を解説します。

みなし配当とは

みなし配当とは、会社法上の配当ではないものの、税務上は株主が配当を受け取ったとみなして課税される金銭等の交付のことです。所得税法25条・法人税法24条に定められた制度で、自己株式の取得(いわゆる金庫株)や資本剰余金からの払戻しなどの場面で生じます。

結論から言うと、みなし配当とされた部分は配当所得として総合課税(他の所得と合算する累進課税)の対象になり、通常の株式譲渡益にかかる申告分離課税とは税率の仕組みが異なります。どちらに区分されるかで手取り額が大きく変わるため、対価を受け取る前に区分と金額を確認しておくことが重要です。

みなし配当が生じる代表的なケース

みなし配当は、主に次のような場面で発生します(自己株式の取得等における譲渡収入とみなし配当の区分は国税庁タックスアンサーNo.1536を参照)。

ケース内容
自己株式の取得(金庫株)会社が株主から自社株を買い取ること。中小企業の事業承継でもよく使われる
資本剰余金からの配当(資本の払戻し)利益剰余金ではなく資本剰余金を原資とする配当
解散による残余財産の分配会社の解散・清算時に残った財産を株主に分配すること
合併・分割型分割等の組織再編交付を受けた金銭等が税制適格要件を満たさない場合

みなし配当額の計算方法

みなし配当の金額は、株主が交付を受けた金銭等の額のうち、その株式に対応する資本金等の額を超える部分として計算されます。超えない部分は資本の払戻しにあたり、株式の譲渡所得の計算に使われます。

たとえば、発行済株式1万株・資本金等の額5,000万円(1株あたり5,000円)の会社が、株主Aさんの保有する1,000株を1株12,000円、合計1,200万円で金庫株として買い取るとします。Aさんの株式に対応する資本金等の額は500万円(5,000円×1,000株)のため、差額の700万円がみなし配当、残りの500万円が株式の譲渡収入になります。

M&A・事業承継における実務上の注意点

自社株買い(金庫株)を検討する売り手にとって

非上場株式の配当は原則として総合課税のみが選択でき、上場株式のような申告分離課税は選べません。支払時には20.42%が源泉徴収され(国税庁タックスアンサーNo.1330)、確定申告で他の所得と合算し累進税率で精算します。一方、通常の株式譲渡益は申告分離課税で税率は20.315%で一定です(同No.1463)。

所得水準によっては、みなし配当部分が多いほど手取りが目減りする可能性があるため、事前に自社株の評価額と交付対価の内訳を確認しておくことが大切です。少数株主から自社株を集約する目的で金庫株を使う場合は、株主ごとの対応関係も整理しておく必要があります。

相続で取得した株式を会社に売却する場合の特例

相続や遺贈で取得した非上場株式を、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに発行会社へ譲渡した場合には、みなし配当課税を行わず全額を株式の譲渡所得として扱う特例があります(措置法9条の7、国税庁タックスアンサーNo.1477)。事業承継で相続人が自社株を会社に売却して納税資金を確保する場面などで活用されており、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例(同No.3267)と併用できるかどうかも含め、適用要件の確認が欠かせません。

手続きは相続人と会社の合意や税務署への届出を伴うため、通常は税理士など専門家に依頼し、報酬は相続財産の規模や案件の複雑さに応じて変動します。

まとめ

  • みなし配当は、自己株式の取得(金庫株)や資本剰余金の払戻しなどで生じる、税務上配当とみなされる交付金
  • みなし配当は配当所得として総合課税の対象になり、申告分離課税の株式譲渡益とは税率の仕組みが異なる
  • 相続した非上場株式を発行会社に譲渡する場合はみなし配当課税を行わない特例があり、事業承継の資金確保に活用できる

みなし配当に該当するかどうか、どの特例を適用できるかは株主構成や取引スキームによって判断が分かれます。金庫株の実行や相続株式の売却を検討する際は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

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