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譲渡制限株式の承認手続き|会社の承認を得る流れ

譲渡制限株式の承認手続き|会社の承認を得る流れ|M&A Times

非公開会社の株式には、多くの場合「譲渡制限」が付いています。株式を第三者に譲渡しようとする際、なぜ会社の承認が必要なのか、どのような手続きを踏めばよいのか分からず不安に感じる経営者や株主の方も多いのではないでしょうか。本記事では、譲渡制限株式の承認請求から承認、通知までの一連の流れをわかりやすく解説します。

そもそも譲渡制限は、見ず知らずの第三者が株主として経営に関与することを防ぎ、株主構成を会社にとって望ましい範囲にコントロールするために設けられる仕組みです。中小企業の多くは定款でこの譲渡制限を定めており、株式譲渡による会社売却やM&Aの場面でも、承認手続きを避けて通ることはできません。

はじめに、立場を整理しておきましょう。この承認手続きの実務は、仲介会社や司法書士など専門家が支援してくれます。本記事では株式を譲渡する側(売り手)の視点を中心に解説しますが、承認する会社側や株式を譲り受ける側にとっても流れは共通です。売り手の立場で押さえておくべきなのは、次の3点です。

  • 自社の株式に譲渡制限が付いているか(会社の定款で確認できます)
  • 承認には時間がかかるため、売却スケジュールに織り込んでおく
  • 万一承認されなくても、会社か指定買取人が株式を買い取る仕組みがある

細かい条文や書式は、専門家に任せてよい部分です。以下では、株式を売る場面で「会社の承認」というハードルがどう進むのかを、承認する会社側の動きにも触れながら見ていきます。

結論:承認請求→機関決議→通知が基本の流れ

売り手であるあなたから見ると、株を売るには「会社の承認」というハードルをひとつ越える必要がある、ということです。手続きの流れはこうなります。まず、株主(譲渡人)であるあなた、または譲受人が、会社に対して譲渡承認請求を行います。会社は取締役会設置会社であれば原則として取締役会、非設置会社であれば株主総会の決議によって承認するかどうかを決定し、その結果を請求者へ通知します。取締役会設置会社と非設置会社のどちらに当たるかは、自社の定款で確認できます(顧問税理士に聞けば分かります)。この通知を一定の期間内に行わないと、原則として承認したものとみなされる規定があります。株式譲渡の手続き全体の中では、この承認プロセスは初期段階に位置づけられる工程です。

承認請求から通知までの流れ

具体的な手続きは以下の通りです。

ステップ主な内容
①譲渡承認請求譲渡人(株主)または譲受人が、譲渡する株式の種類・数、譲受人の氏名・名称などを記載した書面等で会社に承認を請求します
②取締役会・株主総会での決議取締役会設置会社は取締役会、非設置会社は株主総会の決議により、承認するか否か(不承認の場合は会社または指定買取人〈会社が買い取らせる相手として指定する第三者〉による買取の要否)を決定します
③請求者への通知決定内容を請求者に通知します。原則として一定期間内に通知しないと承認したものとみなされる(みなし承認。会社が期限内に通知しないと、承認したものとして扱われる仕組み)規定があります

もし会社があなたの株式譲渡を承認しない場合でも、売却の道が完全に閉ざされるわけではありません。この場合は、会社自身が買い取るか、指定買取人を指定して株式を買い取らせる対応が必要になります。その際の売買価格は、当事者間の協議や裁判所への申立てによって決まる仕組みが原則として用意されています。

一方、無事に承認された場合も、そこで終わりではありません。譲渡人と譲受人が共同(または譲受人単独)で、株主名簿の名義書換(株主名簿上の株主の名前を買い手に書き換える手続き)を会社に請求します。名簿が書き換えられて初めて、買い手は会社に対して株主であることを主張できます。承認の決議が下りただけでは手続きは完了しない、という点に注意が必要です。

承認にかかる期間の目安(売却スケジュールへの影響)

会社の承認手続きには、会社法で期限が定められています。売却スケジュールを組むうえで、次の期間を頭に入れておきましょう。

  • 承認結果の通知は請求から2週間以内:会社は譲渡承認請求を受けた日から2週間以内に、承認するか否かを通知する義務があります(会社法145条1号)。定款でこれより短く定めることもできます
  • 通知しなければ承認扱い:この2週間以内に通知がないと、原則として承認したものとみなされます(みなし承認)
  • 不承認で会社が買い取る場合は40日以内:会社が自ら買い取るときは、不承認の通知から40日以内に買取の通知が必要です(会社法141条1項・145条2号)
  • 指定買取人が買い取る場合は10日以内:指定買取人による買取はさらに短く、10日以内の通知が求められます(会社法142条1項・145条3号)

つまり、承認そのものは最短で2週間程度で結論が出ます。ただし不承認になると、買取の協議や価格の決定にさらに時間がかかります。クロージングの日程を逆算し、余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。

実務上の準備と関連手続き

M&Aで株式譲渡による会社売却を進める場合、譲渡承認請求は最終契約の締結後、クロージングに向けた手続きの一環として行われることが一般的です。あなたの立場で押さえておくと役立つ準備・関連手続きは、次のとおりです。

  • 承認機関と書式の事前確認:定款で承認機関がどう定められているか、請求書式や添付書類に会社独自の指定がないかを確認しておくと、手続きがスムーズに進みます
  • 情報管理の徹底:譲受人候補の情報を含む請求書を出す段階では、社外に情報が漏れないよう秘密保持契約(NDA)に基づく管理が引き続き重要です
  • 買取請求の記載:承認請求書には、株式の種類・数や譲受人の氏名・名称に加え、不承認だった場合に会社または指定買取人による買取を請求するかどうかをあわせて記載できる場合があります。定款や会社所定の書式を確認しておきましょう
  • 決議の手続き(会社側の作業):取締役会・株主総会での決議に先立ち、議事録の作成や招集手続きも会社法・定款の定めに沿って進める必要があります。この部分は主に会社側の作業ですが、遅れると承認全体が後ろ倒しになる点は知っておくとよいでしょう

よくある失敗・注意点

  • 定款の承認機関の定めを確認せず、誤った機関に請求してしまう
  • 通知期限を意識せず放置し、意図せず「みなし承認」となってしまう
  • 不承認時の買取対応(資金準備・買取人の指定)を事前に検討していない
  • 取締役会・株主総会の招集手続きや議事録作成を省略し、後日決議の有効性が問題になる
  • 承認決議で満足し、株主名簿の名義書換を失念してしまう

承認手続きに関する具体的な期間要件や書式は会社の定款や状況により異なるため、実際の手続きにあたっては司法書士・弁護士など専門家への相談を原則としておすすめします。

まとめ

  • 譲渡制限株式の譲渡には、原則として会社(取締役会または株主総会)の承認が必要です
  • 承認可否は請求者へ通知され、一定期間内に通知しないとみなし承認となる規定があります
  • 不承認の場合は会社または指定買取人による買取対応が原則として用意されています

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