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M&A仲介手数料の実態|登録3,498社×成約1.4万件データ

M&A仲介手数料の実態|登録3,498社×成約1.4万件データ|M&A Times

「M&A仲介の手数料は結局いくらかかるのか」――会社の売却を検討し始めた経営者から必ず出る質問です。ネット上には相場情報が数多くありますが、根拠となる一次データを示すものは多くありません。本記事では、これから売却を検討する経営者の視点を中心に、中小企業庁の公的データベースを独自集計した数値から手数料の実態を解説します。

結論、登録社全体の平均は相場を安く見せる

結論として、登録支援機関全体の届出データを単純に集計すると、相場は実際より安く見えます。案件を継続的にこなしているプロ層の会社ほど、最低手数料を高めに設定している傾向があるためです。中小企業庁の「登録支援機関データベース」全3,498社の届出と、同庁の成約報告データ約1.4万件を突き合わせると、この構造が浮かび上がります。まず届出の料金表から見ていきます。

届出料金表にみる最低手数料の分布

中小企業庁の登録支援機関データベース(2026年8月2日時点、全3,498社)には、各社が届け出た仲介の手数料体系が公開されています。譲渡側の最低手数料を集計すると、200万円以下と回答した社が32.5%で最多、201万〜500万円が24.8%と続きます。合計すると57.3%の社が500万円以下の水準で届け出ています。ただし、最低手数料の欄が空欄(未記載)の社も25.4%にのぼり、単純平均には注意が必要です。

最低手数料の区分社数割合
200万円以下1,137社32.5%
201万〜500万円869社24.8%
501万〜1,000万円299社8.5%
1,001万〜2,500万円293社8.4%
未記載890社25.4%
出典:中小企業庁「登録支援機関データベース」全3,498社(2026年8月2日時点、仲介・譲渡側の届出)を集計。このほか0円が3社、2,500万円超が7社(億円単位の届出4社を含む)

成功報酬以外の着手金等(着手金・中間金など)を設定している社は53.8%で、過半数を占めます。完全成功報酬制を採用しているのは約3社に1社にとどまります。契約前にどの段階でどの費用が発生するか、必ず確認しておきたいポイントです。

成約実績のある会社ほど最低手数料は高い

届出データを全社まとめて見ると相場は安く映りますが、実際に2024年度中に成約実績のある507社に絞ると様相が変わります。最低手数料の中央値は500万円、平均は約946万円(金額を記載している419社ベース)で、全社集計より明確に高い水準です。さらに、年間11件以上の成約実績を持つプロ層96社では、1,001万〜2,500万円帯が41%で最多となり、高額帯への偏りがはっきり表れます。

案件を継続的に扱う会社ほど最低手数料が高い傾向があるため、「登録社全体の平均」を鵜呑みにすると相場観を見誤るおそれがあります。M&A仲介の業務内容や手数料体系の全体像はM&A仲介とは?業務内容・手数料・FAとの違いを解説でも整理しています。

実際に支払われた報酬率は取引額で大きく変わる

届出の料金表は「最低手数料」という下限を示すものですが、実際にいくら支払われたかは別のデータで確認できます。中小企業庁が2022〜2024年度の成約報告(譲渡側約1.4万件)を集計した資料によると、譲渡価額500万〜1,000万円帯の案件では報酬率(譲渡価額に対する手数料の割合)の中央値が50%に達します(n=278)。譲渡価額が大きくなるにつれて報酬率は逓減し、5,000万円超〜1億円の帯では中央値14.8%、5億円超の帯では4.3%まで下がります。

譲渡価額帯報酬率の中央値
500万〜1,000万円50%(n=278)
5,000万〜1億円14.8%
5億円超4.3%
出典:中小企業庁「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」2022〜2024年度成約報告(譲渡側)

これは、最低手数料が小規模案件ほど相対的に重くのしかかる構造を裏づけています。届出料金表で見た「中央値500万円前後」の最低手数料が、取引額の小さい案件ほど報酬率を押し上げる主な要因といえます。

報酬体系はレーマン方式が84.1%を占め、なかでも株式価額を基準とする「株価レーマン」が38.2%で最多です。ただし金融機関は「移動総資産レーマン」が51.7%と主流で、同じレーマン方式でも基準額の取り方により支払額は大きく変わります(中小企業庁の令和3年度アンケート調査)。基準額の違いはM&A仲介の手数料相場とは?レーマン方式・着手金・成功報酬を解説で詳しく解説しています。

数字を読むときの注意点

この記事で紹介した数値には、押さえておきたい限界がいくつかあります。届出料金表はあくまで登録時点の届出内容であり、実際の契約条件は会社や案件により異なります。また、成約報告の集計は項目の一部が任意報告であるため、報告した支援機関・案件に偏りがある可能性があります。中小企業庁自身も「相当程度ばらつきのあるデータ」であり、あくまで参考として活用してほしいと注記しています。

加えて、これらのデータはいずれも中小企業庁に登録した支援機関のスコープに限られ、日本国内の仲介業者すべての統計ではありません。未登録の業者と契約すると、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の対象外になる点も、依頼先を選ぶ際の実務上のポイントです。登録の状況についてはM&A支援機関の登録が累計3,498件に 中小企業庁が新規104件を公表 補助金利用は登録業者が条件もあわせてご確認ください。

まとめ

  • 登録支援機関全体の届出データでは最低手数料200万円以下が32.5%で最多だが、成約実績のある会社に絞ると中央値は500万円まで上がる
  • 実際に支払われた報酬率は取引額が小さいほど高く、500万〜1,000万円帯では中央値50%、5億円超では4.3%まで逓減する
  • 数字はいずれも登録支援機関のスコープにおける参考値であり、契約前に個社の料金体系を必ず確認する

出典:中小企業庁「M&A支援機関登録制度」登録支援機関データベース(https://ma-shienkikan.go.jp/search、2026年8月2日時点)、同「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」(https://ma-shienkikan.go.jp/statistics-report

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