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相続した会社を売却するには?継がない場合の選択肢

相続した会社を売却するには?継がない場合の選択肢|M&A Times

親の経営していた会社の株式を、継ぐ気がないまま相続してしまった――事業承継の相談窓口には、こうした声が少なくありません。結論から言えば、継がない場合の選択肢は「売却」「親族内・従業員への承継」「廃業」の3つで、放置するほど選べる道は狭くなります。本記事は主に売却を検討する読者に向け、株式の名義変更手続きから売却の流れ、税務上の論点までを解説します。迷っている場合は事業承継の選択肢まとめもご覧ください。

相続した株式の名義を変える基本手続き

非上場会社の株式を相続すると、まず相続人全員による遺産分割協議で誰がどの株式を取得するかを確定し、会社に名義書換を請求します。相続は「譲渡」ではなく一般承継のため、譲渡制限株式であっても相続による取得自体に会社の承認は不要です。承認が必要になるのは、相続した株式をその後第三者へ譲渡(売却)するときです(詳しい流れは譲渡制限株式の承認手続き参照)。手続きは相続人自身でも、司法書士・弁護士への依頼でも進められます。逆に定款に「相続人等に対する売渡しの請求」(会社法174条)の定めがあると、会社側から売渡しを求められることもあるため早めの確認が必要です。

また、亡くなった経営者が代表取締役を務めていた場合は、株式の手続きと並行して会社側の代表者交代の手続きも必要です。代表取締役の地位は株式と異なり相続されないため、株主総会での取締役選任や取締役会での代表取締役の選定によって後任を決め、死亡による退任登記と就任登記を法務局へ申請します。会社法上、登記事項の変更は2週間以内の申請が原則です。なお、定款そのものの変更は通常必要ありません。この手続きの詳細は社長が急死したら会社はどうなるで解説しています。

相続してから売却する場合の流れ

相続した株式を売却する場合、名義変更と並行して準備を進めるのが一般的です。おおまかな流れは次のとおりです。

ステップ内容
遺産分割・名義書換帰属を確定し会社に名義書換を請求
相続税の申告準備株式の評価額を算出し申告の要否を判断
仲介先の選定・相談仲介会社やFAに契約形態を確認
企業価値評価・買い手探索ノンネームシートで買い手候補へ打診
DD・契約・クロージング調査を経て契約締結、対価を授受

実務での意味

相続人(売り手)にとって

名義書換や相続税の申告は相続人自身でも進められますが、遺産分割が難航するケースは司法書士・税理士への相談が実務的です。顧問契約になれば別途報酬が発生するため、事前の見積もり確認が欠かせません。相談先の選び方は事業承継の相談先で整理しています。

買い手にとって

相続株式の売却案件では、買い手側の調査で遺産分割・名義書換が済んでいるかが重要な確認点になります。名義未了のまま交渉が進むと当事者適格が揺らぐため、早期の名義整理が売却スピードに直結します。

税務上の論点

相続税がかかる場合、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税を行う必要があります(国税庁タックスアンサーNo.4205)。株式の評価方法は自社株評価の基礎で解説しています。

納税後に株式を譲渡する場合、一定の要件のもと相続税額の一部を株式の取得費に加算できる特例があります(租税特別措置法39条、国税庁タックスアンサーNo.3267)。適用には、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで、つまり相続開始からおおむね3年10か月以内の譲渡が要件です。加算額は個別事情で変わるため、試算は税理士へ相談してください(税負担全体は会社売却にかかる税金参照)。

放置するとどうなるか

相続放棄には原則相続を知った時から3か月の熟慮期間があり、株式だけを選んで放棄することはできません。放置すると名義書換が未了のまま経営者不在の状態が長期化し、取引先や金融機関からの信用低下につながります。相続人が複数いれば共有状態のまま残りやすく、時間が経つほど合意形成も難しくなります。

売却以外の選択肢

継ぐ気がない場合でも、選択肢は売却だけではありません。

選択肢特徴
親族内・従業員承継後継者候補がいれば継続できるが、集約や教育に時間を要する
M&A(第三者への売却)会社を存続させたまま離れられるが、相手探しに時間がかかる
廃業手続きは相対的に単純だが、清算費用や取引先への影響を伴う

親族内承継は親族内承継の進め方、廃業の費用感は廃業にかかる費用で解説しています。

まとめ

  • 相続株式は遺産分割協議→名義書換を経て初めて会社に対し株主として権利行使できる(相続自体に会社の承認は不要)
  • 売却する場合は相続税の申告期限(10か月)や取得費加算の特例(申告期限の翌日以後3年)など期限のある税務論点に早めに向き合う
  • 継がない場合の選択肢は売却だけでなく、親族内・従業員承継や廃業も含めて比較検討したい

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