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M&A仲介契約の注意点|専任条項・テール条項

M&A仲介契約の注意点|専任条項・テール条項|M&A Times

M&A仲介会社から契約書を渡されたものの、どの条項を注意して読めばよいか分からない、という経営者は少なくありません。専門用語が並ぶ契約書を前に、押印を急かされるまま署名してしまうケースもあります。本記事では、M&A仲介契約(アドバイザリー契約)で特に確認すべき専任条項・テール条項・手数料・解約条件のポイントを解説します。

結論・全体像|契約書で確認すべき主要条項

M&A仲介契約を結ぶ前に、少なくとも次の7項目には目を通し、不明点は署名前に質問することをおすすめします。

条項確認ポイント
専任条項他社への並行依頼を禁止しているか。対象範囲とセカンド・オピニオンの可否
テール条項契約終了後も手数料が発生する期間と対象範囲
手数料料率の算定方法(レーマン方式等)と算定基準額
契約期間何ヶ月・何年で自動更新されるか
中途解約依頼者側から任意のタイミングで解約できるか
直接交渉の禁止禁止される相手方の範囲と有効期間
秘密保持開示範囲と契約終了後の存続期間
仲介契約・FA契約でチェックすべき主要条項の一覧です。

特に専任条項とテール条項は、契約終了後の自由な経営判断に影響する条項であるため、内容を正確に理解しておく必要があります。仲介会社選び自体を見直したい場合はM&A仲介会社の選び方もあわせてご参照ください。

専任条項|専任と非専任の違い

専任条項とは、契約期間中は他のM&A専門業者に並行して依頼することを禁止する条項です。同一の候補先に複数の仲介会社が重ねて打診することを防ぎ、情報拡散を抑止する目的があります。

項目専任契約非専任契約
依頼できる社数1社のみ複数社に同時依頼可
メリット情報管理が一元化されやすく、担当者の関与も深くなりやすい複数社の候補先ネットワークを比較できる
デメリット相性が合わない場合も契約期間中は縛られる候補先への打診が重複し、心証を害するおそれがある
専任契約と非専任契約の比較表

中小M&Aガイドライン(第3版)では、専任条項を設けること自体には一定の合理性を認めつつ、その対象範囲は可能な限り限定すべきであり、依頼者が助言内容に疑義を持った場合には他の支援機関にセカンド・オピニオンを求めることを許容すべきとされています。また、専任条項を設ける場合の契約期間は最長でも6ヶ月〜1年以内を目安とし、依頼者が任意の時点で中途解約できる条項を設けることが望ましいともされています。

契約書に専任条項がある場合は、期間の長さと、セカンド・オピニオンを求めることが認められているかを確認しましょう。

テール条項|契約終了後も手数料が残る仕組み

テール条項とは、仲介契約・FA契約が終了した後も、一定期間(テール期間)内に譲り受け側とM&Aを実行した場合には仲介会社に手数料の支払義務が残る、とする条項です。仲介会社が人的・物的コストを費やして成約直前まで支援した後に、依頼者があえて契約を終了させて手数料の発生を免れようとするケースを想定した規定であり、相当程度の貢献があった場合には一定の合理性が認められるとされています。

一方で、テール期間が不当に長い場合や対象範囲が無限定な場合には、依頼者のその後の経営判断を損なうおそれがあります。中小M&Aガイドライン(第3版)では、テール期間は最長でも2年〜3年以内を目安とすることが望ましいとされ、対象となる相手方は当該仲介会社が関与・接触し、依頼者に紹介した譲り受け側に限定すべきとされています。具体的には、ロングリスト・ショートリストやノンネームシートの提示にとどまる段階では対象とすべきでなく、少なくともネームクリア(企業概要書の送付により譲り渡し側の名称を開示すること)が行われ、紹介された相手方に限定すべきとされています。

また、専任条項を設けていない契約で複数の仲介会社から同一候補先の紹介を受けた場合、成約に向けて選ばれなかった仲介会社がテール条項を根拠に手数料を請求すべきではないとも整理されています。契約書のテール条項が「関与した相手方に限定」となっているか、期間が目安の範囲内かを必ず確認しましょう。

手数料・解約条件の確認ポイント

手数料の算定方法には、譲渡金額等に応じて料率が変動するレーマン方式が広く使われています。5億円以下の部分に5%を乗じる、といった料率テーブルが一般的な例として紹介されることがありますが、これはあくまで一般的な例であり、料率や算定基準額(譲渡金額・企業価値など)は仲介会社により異なります。契約書では、算定基準額が何を指すのか(負債を含むか、オーナーへの役員退職金を含むか等)を確認する必要があります。手数料の全体像についてはM&A仲介の手数料相場で詳しく解説しています。

解約条件についても、依頼者側から任意のタイミングで中途解約できる旨が明記されているか、解約時に違約金や手数料相当額の支払いが発生する条項がないかを確認しましょう。直接交渉の制限に関する条項についても、有効期間は仲介契約・FA契約が終了するまでに限定されるべきとされており、契約終了後も無期限に直接交渉が禁止されるような条項には注意が必要です。

よくある失敗・注意点

  • 専任条項の説明を十分受けないまま、長期間(1年超)の専任契約に安易にサインしてしまう
  • テール条項の対象が「すべての相手方」となっており、仲介会社が関与していない候補先とのM&Aにも手数料が発生する条項になっている
  • 担当者の口頭説明と契約書の文言が食い違っており、後になって認識のズレに気づく
  • 複数社を比較検討せず、初回面談当日に契約書へ即日サインしてしまう

これらは実務上たびたび指摘される典型的な失敗パターンです。契約内容に疑問がある場合は、署名前に弁護士など専門家へ相談することをおすすめします。仲介会社とFAの立場の違いを理解しておくことも、契約内容を読み解くうえで役立ちます。詳しくは仲介とFAの違いをご覧ください。

まとめ

  • 専任条項は対象範囲・期間(目安6ヶ月〜1年)・セカンド・オピニオンの可否を確認する
  • テール条項は期間(目安2〜3年)と対象範囲が「関与した相手方に限定」されているかを確認する
  • 手数料・解約条件は口頭説明だけでなく契約書の文言で確認し、即日サインは避ける

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